産賀良助の普変なる日常

ちゃんきぃ

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1年生2学期

11月19日(金)晴れ 岸本路子との親交その15

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 毎週言っている気もするけど早くも金曜日。本日で文化祭の冊子の感想会は最終回となり、冬雷先生こと岸本さんもようやくみんなからの意見を貰うことになる。その意見の多くは称賛の声であり、改善点もほとんどないと判断されていたから僕の時とは大違いだ。

「あれ? 岸本ちゃん……なんかふわふわしてるね?」

「えっ!? そ、そんなことないです……ないですよね?」

 そんな岸本さんは褒められ過ぎたせいか結構表情に出てしまっていた。僕は知っているからわかりやすく見えてしまうけど、他の森本先輩以外の先輩方も勘が良ければ気付いてしまいそうだ。

「産賀くん、今のわたしってふわふわしてる……?」

「その質問がふわふわしてるからしてるんだと思う」

「そ、そうなの? わかったわ。ちょっと落ち着くから……」

「嬉しい気持ちなんだから別に落ち着かなくても。むしろもうちょっと噛み締めてもいいと思う」

「そうもいかないわ。わたし、これから産賀くんに話すことがあるから……すー……はー……」

 そう宣言しながら岸本さんは暫く深呼吸を繰り返す。その気持ちのまま話してもいいと思うけど、本人がそうしたいなら僕は待つしかない。

「よし。気を取り直して産賀くん。急な話になるのだけれど、明日は暇だったりする?」

「明日は土曜日だから暇だよ」

「じゃ、じゃあ……この前に言ってた行きたいところはお供してくれるって話……」

「ああ、それね。わかった。何時に集合したらいい?」

「ええっ!? ま、まだ場所も行ってないのだけれど……」

「ごめんごめん。言った手前断る選択肢はないと思ってたからつい」

「ううん。行きたい場所は美術館なの。何回か行こうと思っていたのだけれど、少し距離があって一人で行くのはどうにも勇気が出なくて」

「美術館か。もちろん大丈夫だよ」

「ありがとう。一応、うちの学生証を持っていると常設の展示は無料で見られるからお金はかからないことを付け加えておくわ」

「へぇ、そうなんだ」

「確か始業式の後の話で言っていたと思うのだけど……あっ、別に忘れたのが悪いと言いたかったわけじゃなくて」

 岸本さんの弁明に僕は「大丈夫」と返しておく。そんな話を聞いたような覚えがあるけど、今言われるまでは忘れていたからそう言われても仕方ない。

「他には誰が来るの?」

「今回はとりあえずかりんちゃんを入れて3人。先輩方は忙しいって火曜日にも言っていたから」

「了解。あと……正直に言っておくと僕はあんまり芸術に明るくないからお手柔らかにお願いします」

「わたしも興味があるだけで全然詳しくはないから大丈夫。それじゃあ、集合場所と時間は……」

 こうして明日美術館へ行く予定ができた。岸本さんに言われていなければお得に利用できても恐らく行ってなかったであろう場所。明るくないと言いつつ僕も興味がないわけではないから普通に楽しみだ。
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