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1年生2学期
11月26日(金)晴れ 岸本路子との親交その16
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どんどん寒くなっている気がしてしまう金曜日。部室内も先週辺りから暖房が稼働し始めていたけど、今日部室へ来た時点では完全に暖まり切っていないように感じた。
「うー エアコン調子悪いのかなー 去年はこんな感じじゃなかったんだけどー」
真っ先に来ていた森本先輩がそう言うことから本当に暖まり具合はあまり良くないようだった。これからもっと寒くなることを考えるとかなりの問題である。
「豊田先生に相談してみるしかないな。沙良、ちょっと今から行ってくるよ」
「ほーい。それじゃあ、汐留が帰ってくるまではおしくらまんじゅうでもしますかぁー」
そんな冗談を……と思っていたら先輩方は岸本さんを巻き込んで固まり出して、本当におしくらまんじゅうを始めてしまった。さすがに混ざれないというか、混ざったらまずいので藤原先輩とそれを眺めること数分後。水原先輩が帰還する。
「今も全然温まってなくて……」
「あら、本当ねー 付けてから20分くらいは経ってるのかしら?」
……豊田先生を連れて。いや、顧問の先生なのだから来てくれるのは普通だし、エアコンの問題に対応くれるのはありがたいけど、今の僕は豊田先生を見ると、別のことが頭によぎってしまう。
そう、野島さんから聞いた男の気配を感じるという噂のことだ。昨日あった古文の授業でも会っているけど、その時見た限りでは何か具体的に変わっている感じはしなかった。
「来週にはちゃんと見て貰えるように言っておくから、みんな今日のところは我慢してねー」
豊田先生はそう言い残して部室から去って行く。その短い時間で僕は観察していたけど……そもそも男の気配とはどういうものなんだろうか。表情とか化粧が変わったとかなのかもしれないけど、その空気感をわざわざ学校にまで持ってこないような気もする。そうなると、男子が感じられない女子の直感的な何かなのか……
「……産賀くん、大丈夫?」
そんなことを考えているうちに今日の勉強会は終わっていた。
「もしかして悩み事……? わたしで良ければ聞くけれど」
「あっ、いや……別に大したことじゃないよ。むしろ悩むのがしょうもないことっていうか」
「でも、言った方が気持ちが楽になることもあるから」
最近の岸本さんはそういう気遣いをしてくるけど、今回は事情が違う。というか、僕は悩んでいると思われるほど深刻な表情で考えていたのか。
「本当に相談するような悩みじゃないから大丈夫」
「わかったわ。ごめんなさい……この前からしつこく言っちゃって。何でも話せばいいってわけじゃないわよね」
「いやいや、そうやって気にかけて貰えるだけでもありがたいよ。でも、今日の本当にそういうのじゃなくて……」
「なくて……?」
「え、えーっと…………」
僕がそこで言葉を止めると、岸本さんの顔は一気に不安そうになる。完全に余計なことをしてしまった。
「産賀くん、やっぱり何か……」
「違う違う。今のはそういう意味で口ごもったわけじゃなくて、岸本さんに言うべきじゃないんじゃないかなーって思ったから……」
「わたしじゃ力不足……」
「そ、そうじゃないんだ! これはあくまで噂話だから確実じゃないことを広めることに抵抗が……」
「う、産賀くんが何か良くない噂をされてるの……!?」
「あー! 違う違う! 僕の噂じゃなくて…………岸本さん、ここだけの話なんだけど」
結局、上手く誤魔化せなかった僕は豊田先生の噂を岸本さんに話してしまった。もっと勘違いされないような言い回しができたと思うけど、その時は岸本さんに対する罪悪感の方に気を取られていた。
「そ、そんな噂が……!」
「僕は又聞きした立場だからあんまり詳しくないんだけどね。岸本さんのクラスでは話題になってない?」
「クラスの話題にあまり詳しくないからわからないわ。ここ最近の授業もいつもと変わらなかった気がするけれど……」
「だよね。だから、あくまで噂は噂だったってことで……」
「……先輩方なら知ってたりしないかな」
「えっ?」
「あっ。その……噂ではあるのだけれど、本当なら素敵なことだと思うし、この際真実をはっきりしておいた方がいいと思うの」
そう言った岸本さんは少しだけ前のめりな雰囲気がある気がした。先ほどまで僕を気遣ってくれていた姿はどこへ行ってしまったのだろうか。いや、僕のせいではあるんだけど。
「で、でも、これで先輩方が何も知らなくて、それからまた他の人に聞いて広まってしまう可能性が……」
「……そ、そうだよね。わたし、全然考えてなかったわ。ごめんなさい」
「ううん。僕も気になることではあるけど、とりあえずはここだけの噂話ということでお願いしていい?」
「わかったわ……ところで、産賀くん」
「な、何?」
「その豊田先生の噂が本当だとしたら……どんな人が相手だと思う?」
その後、豊田先生の噂について色々な想定をしながら岸本さんと話すことになった。その間の岸本さんは確実に今日一番いいテンションだったと思う。
「うー エアコン調子悪いのかなー 去年はこんな感じじゃなかったんだけどー」
真っ先に来ていた森本先輩がそう言うことから本当に暖まり具合はあまり良くないようだった。これからもっと寒くなることを考えるとかなりの問題である。
「豊田先生に相談してみるしかないな。沙良、ちょっと今から行ってくるよ」
「ほーい。それじゃあ、汐留が帰ってくるまではおしくらまんじゅうでもしますかぁー」
そんな冗談を……と思っていたら先輩方は岸本さんを巻き込んで固まり出して、本当におしくらまんじゅうを始めてしまった。さすがに混ざれないというか、混ざったらまずいので藤原先輩とそれを眺めること数分後。水原先輩が帰還する。
「今も全然温まってなくて……」
「あら、本当ねー 付けてから20分くらいは経ってるのかしら?」
……豊田先生を連れて。いや、顧問の先生なのだから来てくれるのは普通だし、エアコンの問題に対応くれるのはありがたいけど、今の僕は豊田先生を見ると、別のことが頭によぎってしまう。
そう、野島さんから聞いた男の気配を感じるという噂のことだ。昨日あった古文の授業でも会っているけど、その時見た限りでは何か具体的に変わっている感じはしなかった。
「来週にはちゃんと見て貰えるように言っておくから、みんな今日のところは我慢してねー」
豊田先生はそう言い残して部室から去って行く。その短い時間で僕は観察していたけど……そもそも男の気配とはどういうものなんだろうか。表情とか化粧が変わったとかなのかもしれないけど、その空気感をわざわざ学校にまで持ってこないような気もする。そうなると、男子が感じられない女子の直感的な何かなのか……
「……産賀くん、大丈夫?」
そんなことを考えているうちに今日の勉強会は終わっていた。
「もしかして悩み事……? わたしで良ければ聞くけれど」
「あっ、いや……別に大したことじゃないよ。むしろ悩むのがしょうもないことっていうか」
「でも、言った方が気持ちが楽になることもあるから」
最近の岸本さんはそういう気遣いをしてくるけど、今回は事情が違う。というか、僕は悩んでいると思われるほど深刻な表情で考えていたのか。
「本当に相談するような悩みじゃないから大丈夫」
「わかったわ。ごめんなさい……この前からしつこく言っちゃって。何でも話せばいいってわけじゃないわよね」
「いやいや、そうやって気にかけて貰えるだけでもありがたいよ。でも、今日の本当にそういうのじゃなくて……」
「なくて……?」
「え、えーっと…………」
僕がそこで言葉を止めると、岸本さんの顔は一気に不安そうになる。完全に余計なことをしてしまった。
「産賀くん、やっぱり何か……」
「違う違う。今のはそういう意味で口ごもったわけじゃなくて、岸本さんに言うべきじゃないんじゃないかなーって思ったから……」
「わたしじゃ力不足……」
「そ、そうじゃないんだ! これはあくまで噂話だから確実じゃないことを広めることに抵抗が……」
「う、産賀くんが何か良くない噂をされてるの……!?」
「あー! 違う違う! 僕の噂じゃなくて…………岸本さん、ここだけの話なんだけど」
結局、上手く誤魔化せなかった僕は豊田先生の噂を岸本さんに話してしまった。もっと勘違いされないような言い回しができたと思うけど、その時は岸本さんに対する罪悪感の方に気を取られていた。
「そ、そんな噂が……!」
「僕は又聞きした立場だからあんまり詳しくないんだけどね。岸本さんのクラスでは話題になってない?」
「クラスの話題にあまり詳しくないからわからないわ。ここ最近の授業もいつもと変わらなかった気がするけれど……」
「だよね。だから、あくまで噂は噂だったってことで……」
「……先輩方なら知ってたりしないかな」
「えっ?」
「あっ。その……噂ではあるのだけれど、本当なら素敵なことだと思うし、この際真実をはっきりしておいた方がいいと思うの」
そう言った岸本さんは少しだけ前のめりな雰囲気がある気がした。先ほどまで僕を気遣ってくれていた姿はどこへ行ってしまったのだろうか。いや、僕のせいではあるんだけど。
「で、でも、これで先輩方が何も知らなくて、それからまた他の人に聞いて広まってしまう可能性が……」
「……そ、そうだよね。わたし、全然考えてなかったわ。ごめんなさい」
「ううん。僕も気になることではあるけど、とりあえずはここだけの噂話ということでお願いしていい?」
「わかったわ……ところで、産賀くん」
「な、何?」
「その豊田先生の噂が本当だとしたら……どんな人が相手だと思う?」
その後、豊田先生の噂について色々な想定をしながら岸本さんと話すことになった。その間の岸本さんは確実に今日一番いいテンションだったと思う。
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