産賀良助の普変なる日常

ちゃんきぃ

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1年生3学期

2月9日(水)晴れ 大山亜里沙の再誕その6

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 連日冬季オリンピックが盛り上がる中での水曜日。そうは言いつつも僕がテレビかスマホのニュースで結果を知るばかりなので、選手がどのように活躍したかはメダルの凄さでしかわかっていない。

 しかし、クラス内ではそれに関連した会話が聞こえてくることから世間的には盛り上がっていることは実感できるのだ。

「うぶクンは昨日の男子ショート見た?」

 そんな中、現社のノートを見せたタイミングで大山さんに話を振られる。ショートとはフィギュアスケートのショートプログラムのことだ。

「ううん。ニュースで結果は知ってるけど、あれって昨日の昼過ぎくらいじゃなかったっけ?」

「アプリでハイライトが配信されてるからそれ見たんだー いや、ホント凄かったんだから!」

 大山さんは今までにないくらいテンションが上がっていた。バドミントンをやっているのもあって、僕と違ってスポーツに関心があるのだろう。
 
 それに対して、僕は何を返せばいいか一瞬迷ってしまった。

「あれだよね。4回転……ができなかったとか」

「そうなんだよねぇ。でも、まだフリーがあるからわからないよ?」

「なるほど、フリーね」

 僕はそう言うけど、フリープログラムは単語として知っているだけで、詳しいことは知らなかった。ショートからフリーの流れで逆転も可能なのかもしれない。

「……うぶクン、もしかしてそんなにフィギュアわかんないカンジ?」

 そのにわかっぽい空気がにじみ出てしまったのか、とうとう大山さんに指摘されてしまった。

「ご、ごめん。僕、フィギュアスケートの詳しいルールとか採点方式とか全然知らなくて……」

「なんだ、そうだったの。でも、大丈夫。アタシもルールはよくわかってないから」

「えっ」

「でもさ、綺麗な衣装で真っ白な氷上を滑ってるのってスゴくいいカンジしない?」

 僕は驚いてしまったけど、その後の大山さんの感想は言い訳ではなく、本当に楽しんでいることが伝わってきた。

「そう……かも」

「でしょでしょ? 女子なんか15歳の子がいて……あっ、この子なんだケド」

 その後も休み時間が終わるまで大山さんのフィギュアトークに付き合うことになった。

 てっきりみんなルールをわかった上で楽しんでいるのだと思ったけど、スポーツの魅力は単なる得点の高さやメダルの色だけではないようだ。

 ルールがよくわからないから何となくスポーツ観戦を避けていたところもあるけど、そういうカジュアルな楽しみ方でもいいなら僕も少しくらいはニュース以外で情報を追ってみてもいいかもしれないと思った。
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