産賀良助の普変なる日常

ちゃんきぃ

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1年生3学期

3月25日(金)晴れのち曇り 実感のない終わり

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 終業式の金曜日。今日で1年生は終わるけど、当然ながら高校生活はまだ続くので、それほど寂しさを感じない。むしろ、明日から始まる春休みへの楽しみの方が大きい人が僕も含めて多いと思う。

 体育館で式を終えて、クラスで春休みの注意点を聞くと、午前中で学校は終わりとなった。ただ、この1年生のクラスで過ごすのはこれで最後なので何人かはそのまま居残っていた。


「いやー 長いようで短かったなー 1年生」

 隣の席で松永はぽつりと呟く。それに対して本田くんは頷いた。

「松永に話しかけられてから1年も経つなんて信じられないな」

「まぁ、まっちゃんは色々あったからねー」

「ま、松永くん!?」

「倉さん、もうこいつの弄りは慣れてるから大丈夫」

 本田くんは焦る大倉くんの肩に手を置く。僕もツッコもうとしたけど、本人がそう言っているならこれ以上何も言わない。

「色々ってそこピンポイントで言ってわけじゃないから。俺たちと遊んだ思い出とか」

「だったらオレを名指しする必要ないだろ」

「ごめんってば。お詫びにこの後なんかおごるよ。りょーちゃんとクラさんもどっか寄ってくのいいでしょ?」

「ぼ、ボクは大丈夫だけど、親に連絡入れるね」

「元から今日一人で昼ご飯の予定だったから僕も大丈夫」

「じゃあ、決まり! ファミレスかコンビニかはたまた奮発するか……」

 そう言いながら立ち上がったの松永に僕ら三人も付いて行って教室を出ようとした。すると、ちょうど扉の前には女子のグループが固まっていた。

「おっ、松永たちはもう帰るの? お疲れー」

「これかどっか食べに行くよ。良かったら大山ちゃんも……」

「遠慮しとく。ほら、本田にも色々あるし」

「大山が言うと冗談じゃなくなる」

「別にいいじゃん。本当のことなんだし」

 それが和やかな会話か僕と大倉くんにはわからなかったので若干ひやひやしながら見ていたけど、周りは気にしていないようなので、恐らく杞憂だ。その会話を切り上げて松永と本田が先に進み始める。

「うぶクンと大倉くんもまた明日……じゃなくて、4月? まー、同じクラスかはわかんないケド、見かけたらよろしく!」

 大山さんの言葉に僕と大倉くんは返事をして教室を出た。そう、いつもの4人ならともかく、他のクラスの面々とはこれっきり話さない可能性は十分あった。特に女子は全員と話したわけじゃないし、話した女子だって次の不意に会った時に声をかけられるかは微妙なところだ。

「2年生のクラス、どうなるかな……」

「先生も考えてクラスを分けているとは噂で聞いたことあるけど、実際はどうなるかわからないよね」

「う、産賀くんとまた同じクラスだといいなぁ」

「そしたらまた4月からは僕が前の席で、大倉くんが後ろの席かも。それで身体測定に行って……」

「な、懐かしい。ボクはそこで話しかけた……いや、産賀くんが話しかけた……?」

「確か身長の話だった。本田くんの言う通り、あれから1年近く経ったのは信じられないよ」

「おーい。二人でイチャついてないで早く食べに行くぞー!」

 松永の呼びかけに僕と大倉くんは少しだけ足を早めて合流する。

 それからこの日の午後からの時間はゆっくりと流れていったけど、やっぱり1年生が終わったという感じはなくて、単に春休み前の節目が来たという感じだった。
 本当に寂しさを覚えるのは次の年が忙しくなる2年生か、はたまた新天地へ旅立つ3年生か。まだわからないけど、こういう時間こそ大切にしなければならないと思った。
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