産賀良助の普変なる日常

ちゃんきぃ

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2年生2学期

10月24日(月)晴れ 隣接する岸本路子その7

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 10月終盤に入った月曜日。
 テストが始まるのは明日からだけど、塾の方が今日から教室を解放してくれるようなので、珍しく学校から直接塾へ向かうことにした。
 その時、1人で行くのも何だと思って僕は路ちゃんにも声をかけてみると、予定していなかったけど一緒に行くことになった。

「……ちゃんと塾に行った成果が出せるかな」

 そんな塾へ向かう最中。路ちゃんはポツリと呟く。
 先日の僕も似たようなことを考えて焦っていたけど、路ちゃんの場合はより深刻そうな感じだった。

「まぁ、今日もテスト勉強するんだし、不安になり過ぎなくても」

「それはわかっているのだけど……ううん。テスト前からこんな風になっている時点でダメなのかもしれない……」

 先週はあんなにテンションが高かったのに、打って変わって今日は憂鬱な空気が漂っている。
 文芸部の部長としてはネガティブなところはあまり見ないけど、そこは頑張って見せないようにしているのだろう。

「駄目なんじゃなくて、これから伸びる可能性があるってことだから」

「そうかな……」

「そうそう。それに塾では僕より真剣に受けていたところを見てるから大丈夫」

 だから、何だか久しぶりに路ちゃんを肯定する流れになった気がした。
 直近で思い出せるのは体育祭の時なので、文化祭は特に頑張っていたことが改めてわかる。
 その事実に何目線なんだと思われるだろうけど、僕は心の中で感心していた。
 路ちゃんは確実に成長しているのだと。

「ありがとう、良助くん。そうだよね。やる前から諦めるのは良くないわよね」

「うん。そう言ってる僕も今回はちょっと不安があるけど、こんな感じにヘラヘラしてるから」

「全然ヘラヘラしてないと思うのだけれど……わたしから良助くんにも何か肯定の言葉をかけた方がいい……?」

「えっ? それは……じゃあ、お願いしてみようかな」

 急に言われたから僕は深く考えずにそう返す。
 肯定の言葉と言われても、今は落ち込んでいないから特に響くようなことは……

「……が、がんばれ。がんばれ」

 いきなり路ちゃんは精一杯可愛い声で言う。
 それがあまりに予想外のことだったので、僕は完全に固まってしまった。

「ど、どうかな? 男の子が好きな応援と言えばこれって……」

「…………」

「良助くん?」

「……はっ!? ありがとう! 十分受け取った!」

「う、うん? それなら良かった」

 路ちゃんは自分がやったことを特に意識していないようだった。
 いったいどこでそんな情報を……いや、僕が勘違いしているだけで、普通に応援されただけかもしれない。
 でも、男の子が好きと言ったから、それで思い当たるのは……やめておこう。
 女の子はどんとん成長していくのに、男の子はいつまで経っても成長しないなぁとこんなところで思うのだった。ごめん、路ちゃん。
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