産賀良助の普変なる日常

ちゃんきぃ

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3年生1学期

4月7日(金)雨 騒がしい勧誘時間

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 入学式の世界保健デー。
 前日の夜からどしゃ降りが続いて、式が始まる直前も雨は強かったけど、体育館内はフレッシュな空気と緊張感が漂っていた。
 
 在校生と新入生の代表がそれぞれ言葉を述べて、通例の流れをやった後、1年生から退場が始まる。
 後ろ姿では明莉達がどの位置にいるのかわからなかったけど、退場のタイミングなら見つけられるかもしれない。
 そう思って新入生の女子の列を眺めていたけど……今考えたらだいぶ怖い上級生だった。
 しかし、そのおかげで明莉の姿を発見する。
 真ん中あたりの位置だったので、3組か4組だろうか。

「う、産賀くん、妹さん見つかった?」

「えっ? 探してるのバレた……?」

「う、うん。がっつり見てたし」

 大倉くんの指摘から自分の行動に反省しつつ、上級生も退場してから、今度は文芸部で集まる。
 残念ながらその時点でも雨が降っていたので、今回の部活勧誘はかなり場所が限られてしまう。

「場所に限らずチラシを受け取って貰うのが大事なので、声出していきましょー! おー!」

 運動部のような日葵さんの掛け声を合図に、部員は割り当てられた立ち位置に向かう。
 僕は路ちゃんと一緒に下駄箱の外……の予定だったけど、雨の影響から下駄箱の手前の廊下担当になった。
 ただし、新入生が帰宅しづらくならないよう配慮する必要があったので、実際は下駄箱からかなり離れた位置になる。

「この位置だと……あまりチラシは受け取って貰えなさそうだけれど……」

「うーん……まぁ、日葵さんの言ったように声出していくしかないか」

「そうだよね……すー……はー」

 路ちゃんはやや緊張気味だったけど、実際に配り始めると、いつもよりは大きな声でチラシを配っていた。
 そう言う僕も普段から大きい声を出しているわけではないので、ややかすれた声で呼びかけることになる。

「おっ、やってるねぇ、りょ……お兄ちゃん」

 すると、配り始めてから暫くして明莉が現れる。

「ど、どうしてここに」

「私、新入生だし」

「そういう意味じゃなくて……」

「明莉ちゃん……! ご入学おめでとう」

「ありがとうございまーす! 学校では……路子先輩の方がいいのかな?」

「わたしは何でも歓迎するわ」

 路ちゃんは配る時よりもいい声でそう言う。
 ……なんか複雑な気持ちだ。

「じゃあ、やっぱりあたしも良助先輩の方がいいですかね?」

「あっ、原田さん。入学おめでとう」

「ありがとうございます。あっ、あかちと同じ4組になれました」

「おお。それは良かった。僕も1年生の時は4組だったよ」

「兄妹揃ってなんですね。それで……もしかしてこちらの方は……」

「あー……えっと、同級生で同じ文芸部の岸本さん……」

「お兄ちゃん。お付き合いしてるを忘れてるよ」

「お、おい……」

「やっぱり! 初めまして。あたしは良助先輩の妹の明莉の友達の……」

「ちゆりん。前置き長過ぎ」

「ともかく原田千由美です!」

「ど、どうも……?」

「というか、2人は文芸部入るつもりないなら、話は後にして!」

「もう、私達がチラシを貰って後で友達になった子に配る可能性だってあるのに」

「いや、絶対雑談する目的で来てるだろ」

「わかりましたよー あっ、路子先輩、一応チラシは2枚貰っておきます」

「またの機会にゆっくり話聞きたいです!」

 そう言い残して明莉と原田さんは去っていった。

「……ごめん、路ちゃん。明莉が邪魔しちゃって」

「ううん。楽しそうで何よりだと思ったから。えっと……原田さんも」

 そんな一幕もありつつ、肝心のチラシ配りは……半分くらいは捌けた感じだった。
 入学初日で緊張して目を合わせられない子もいたから、しょうがない結果ではある。
 こんなことなら明莉と原田さんにもっと渡して広めて貰った方が良かったかもしれない。
 それはそれとして……新入生の皆さんは入学おめでとう。
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