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3年生1学期
4月16日(日)晴れ時々曇り 岸本路子と産賀良助
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ところによっては雹が降ったらしいボーイズビーアンビシャスデー。
僕の地域では天気が崩れなかったので、この日は午後から路ちゃんと外出した。
ただ、夕立が降る可能性があったので、曇り出してからは路ちゃんのお気に入りカフェで時間を過ごすことになった。
「降るなら早めに降る欲しいところだけれど、なかなか降りそうにない感じだね」
「まぁ、いざとなったら傘もあるし」
「じゃあ……雨が降ったら相合傘で送ってくれる」
「う、うん。たぶん2人入っても大丈夫だと思うから……」
「ほ、本当にやってくれるの?」
「……僕もちょっと憧れはあるから」
そんなことを言いながらお互いに照れ合うから僕らの関係は進んでいないようにも思うけど、実際は……そこそこ進展している。
だからこそ、あの話題について触れなければならない。
「路ちゃんはさ……進学する時、地元を離れたいって考えてる?」
「……今のところはそこまで考えられてないわ。偏差値を見る時も今の自分の偏差値に近い大学を選んでいるだけだから」
「そっか」
「……良助くんは?」
「僕は……無理して離れなくてもいいとは思ってる。ただ、そうなると通える大学の範囲は狭まるから、そこは考えなきゃいけない」
「そうだよね。先輩方は離れた人が多かったし」
「うん。それでなんだけどさ。路ちゃんが良ければ……2人で決めたいんだ。進学先をどうするかについて」
「えっ……?」
「もちろん、行きたい学科がある大学に行くのが一番なんだけど……僕はできれば路ちゃんと離れたくない。だから、同じ大学とまでは言わなくても、近くにいられるようにできたらと思って」
「…………」
「きっと将来を考えるなら、恋愛的な事情は挟まない方が絶対いいとは思うし、実際に希望する受験が上手くいくとは限らない。でも……少し考えてみて欲しいんだ」
自分で言いながら少し情けなさを感じるけど、言わずにいる方が良くないと思った。
すると、路ちゃんは少し考えた後、ゆっくりと口を開く。
「その……わたしとしても良助くんと遠距離恋愛する自信はあまりない。でも、それと同じくらい学力的に同じ学校へ行くのは不安があるし、そもそもどんな大学でも合格できるかは確約できないわ」
「それは僕も同じだよ」
「それでも……良助くんの方が学力的に上だから。自分に合った大学に行けるように勉強するのが正解だと思ってる」
「そう……か。うん、それが正しいよ」
「ま、待って! まだ終わりじゃないの。正解なのはわかっているのだけど……わたしも良助くんと並べるようにもう少しだけ頑張ってみたいの。だから……良助くんの考えに賛成する」
「ほ、本当に?」
「うん。そのために……今年はたくさん一緒に勉強して貰えたら嬉しい。お互いが頑張れるように」
そう言った路ちゃんに対して僕は力強く頷いた。
こうして、進路に関する方向性が少しだけ定まったけど……こんなことを言っておきながら僕も大学に余裕で受かるなんて思っていない。
でも、一つ目標ができたことは、大きなモチベーションになるはずだ。
どんな結果になるにしてもお互いの夢がなるべくいい形で叶うように頑張ろうと思う。
僕の地域では天気が崩れなかったので、この日は午後から路ちゃんと外出した。
ただ、夕立が降る可能性があったので、曇り出してからは路ちゃんのお気に入りカフェで時間を過ごすことになった。
「降るなら早めに降る欲しいところだけれど、なかなか降りそうにない感じだね」
「まぁ、いざとなったら傘もあるし」
「じゃあ……雨が降ったら相合傘で送ってくれる」
「う、うん。たぶん2人入っても大丈夫だと思うから……」
「ほ、本当にやってくれるの?」
「……僕もちょっと憧れはあるから」
そんなことを言いながらお互いに照れ合うから僕らの関係は進んでいないようにも思うけど、実際は……そこそこ進展している。
だからこそ、あの話題について触れなければならない。
「路ちゃんはさ……進学する時、地元を離れたいって考えてる?」
「……今のところはそこまで考えられてないわ。偏差値を見る時も今の自分の偏差値に近い大学を選んでいるだけだから」
「そっか」
「……良助くんは?」
「僕は……無理して離れなくてもいいとは思ってる。ただ、そうなると通える大学の範囲は狭まるから、そこは考えなきゃいけない」
「そうだよね。先輩方は離れた人が多かったし」
「うん。それでなんだけどさ。路ちゃんが良ければ……2人で決めたいんだ。進学先をどうするかについて」
「えっ……?」
「もちろん、行きたい学科がある大学に行くのが一番なんだけど……僕はできれば路ちゃんと離れたくない。だから、同じ大学とまでは言わなくても、近くにいられるようにできたらと思って」
「…………」
「きっと将来を考えるなら、恋愛的な事情は挟まない方が絶対いいとは思うし、実際に希望する受験が上手くいくとは限らない。でも……少し考えてみて欲しいんだ」
自分で言いながら少し情けなさを感じるけど、言わずにいる方が良くないと思った。
すると、路ちゃんは少し考えた後、ゆっくりと口を開く。
「その……わたしとしても良助くんと遠距離恋愛する自信はあまりない。でも、それと同じくらい学力的に同じ学校へ行くのは不安があるし、そもそもどんな大学でも合格できるかは確約できないわ」
「それは僕も同じだよ」
「それでも……良助くんの方が学力的に上だから。自分に合った大学に行けるように勉強するのが正解だと思ってる」
「そう……か。うん、それが正しいよ」
「ま、待って! まだ終わりじゃないの。正解なのはわかっているのだけど……わたしも良助くんと並べるようにもう少しだけ頑張ってみたいの。だから……良助くんの考えに賛成する」
「ほ、本当に?」
「うん。そのために……今年はたくさん一緒に勉強して貰えたら嬉しい。お互いが頑張れるように」
そう言った路ちゃんに対して僕は力強く頷いた。
こうして、進路に関する方向性が少しだけ定まったけど……こんなことを言っておきながら僕も大学に余裕で受かるなんて思っていない。
でも、一つ目標ができたことは、大きなモチベーションになるはずだ。
どんな結果になるにしてもお互いの夢がなるべくいい形で叶うように頑張ろうと思う。
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