産賀良助の普変なる日常

ちゃんきぃ

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3年生夏休み

8月6日(日)晴れ 岸本路子との夏創作Ⅲその3

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 夏休み16日目のハムの日。
 気が付けば夏休みも折り返しだけど、まだ夏らしい何かをした記憶がない。
 しかし、そんな今日はとても夏らしいこと……路ちゃんと夏祭りに行った。

「結構浴衣の人いるね。わたしも着てくれば良かったかな……」

「えっ。路ちゃん、浴衣を用意できるあてがあるの?」

「ううん。でも……良助くんが見たいって言うなら考えてもいいかも」

「いやまぁ、準備するの大変みたいだし……」

「見たくないの?」

「……見たいっす」

「ふふっ。じゃあ、考えておくね」

 最近は塾だと結構張り詰めた空気があったけど、今日は終始和やかな雰囲気が流れていた。
 僕と路ちゃんは人混みが苦手な方だけど、いざ行ってみるとお祭りを楽しむ人の声や屋台で食べ物が焼ける音が聞けてこちらも自然と楽しくなる。
 ここ2年間の夏祭りは色々あったから、純粋に楽しむ気持ちで来られたのは本当に良かったと思う。

「わたし、塾以外でこんな時間まで外に出てたの久しぶりだわ」

「僕も。今日は天気もいいし、この時間になったらわりと風も吹いて過ごしやすくて良かった」

「でも、風はちょっとだけ心配。昨日はどこかの夏祭りで火事があったらしいから」

「あっ、そのニュースみたよ。ここのお祭りも昔、ちょっとボヤ騒ぎがあったみたいで……」

「……ごめんなさい。せっかくいい雰囲気なのに火事の話題なんて振って」

「いやいや。僕も乗っかったから」

 僕と路ちゃんが急にそう思い直したのは、今いる祭り会場内にカップルがたくさんいて、夜が更けてからはいい雰囲気になっていたからだった。
 各々が腕を組んだり、肩を寄せ合ったりしている中で火事の話を発展させようとしたのは僕達くらいかもしれない。

「路ちゃん」

「あっ……どうぞ」

 だから、その場に合わせて僕は手を差し出して、路ちゃんがその手を取る。
 それから暫くして夜空に花火が上がり始めて、光と音、人々の歓声が沸き起こる。
 その中で僕らは上を見て、時折お互いの顔を確認しながらゆったりとした時間を過ごした。
 もちろん、屋台で買った焼きそばを食べたり、久しぶりにヨーヨー釣りをやってみたりと夏祭りの醍醐味は色々やったけど、この日の記憶で一番色濃く残ったのは花火を見ていた時だと思う。
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