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第6話:二人きりの夜(その15)

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その質問は、おれも気になる質問だけれど、同時に知るのが怖い質問でもある。

西森はあわてて、
「な、なんでそんなこと聞くの・・・?
別に私は・・・」
と返したが、水野君は、
「だって、きっぱり『いない』って言わないから」
と言った。

「勉強にしか興味ない西森のことだから、きっぱり『好きな人はいない。今は勉強にしか興味が無い』って答えるかと思ってたのに、なんか困ってるような感じだったからさ。
だから、誰か気になっている人でもいるのかと思って」

さすが水野君だ。

確かに西森の性格からすると、「好きな人がいるの?」と聞かれたら、きっぱり「いない」と答えそうだ。

でも、明らかに今の西森は動揺している。

つまり、その動揺は「好きな人がいる」ということを示していることになるに違いない。

おれは後ろから西森を抱きしめている腕にさらに力をこめて、ギュッと引き寄せた。

水野君の方に行かないで欲しい、という願いを込めて。

すると、西森は電話を持っていない方の手で、おれの手をギュッと握りしめてきた。

「え?」

西森の意外な行動に驚いて、思わず声が出そうになったが、そこはなんとか飲み込んだ。

西森はおれの顔を見上げながら、
「『好きな人』は、いないかもしれないけれど、『気になっている人』はいるかも・・・」
と言った。
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