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第6話:二人きりの夜(その26)

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その時「コンコン」とドアを叩く音がした。

おれと西森はビクッと驚いて、接近していた二人の距離をあわてて離し、自然な感じで、
「はい、どうぞ」
とドアに向かって声をかけた。

すぐにドアが開き、
「おはようございます。
朝食のご用意が出来ましたので、お持ちいたしますね」
と宿の人が部屋に入って来た。

おれは布団からあわてて飛び出すと、
「おはようございます。
すいません、よろしくお願いします」
と言って、そのまま洗面所に向かった。

さっきまで寝ぼけていたが、西森の「彼女宣言」と宿の人の乱入で、完全に目が覚めたようだ。

鏡に顔を映す。

髪は寝ぐせが付いて、ボサボサ状態になっているし、布団のシワのような跡が頬に残っていたため、
「おおおおお~っ!?
こんなみっともない状態を、西森に見られていたのか!?」
と叫んでしまった。

どれぐらい前から西森は起きて、おれのそばにいたのだろう?

変な寝言とか発して、西森に聞かれていないのだろうか?

くそ~っ!!
おれも早起きして、西森の寝顔を見るぐらいの余裕を持っていた方がよかったかも!!

そんな後悔をしながら、バシャバシャ顔を洗っていると、
「先生」
と西森が声をかけてきた。

いつの間にか洗面所に来ていた西森にビックリして、
「は、はい!?」
と大きな声で返事をしてしまった。
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