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第6話:二人きりの夜(その31)

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『第6話のおまけ話』

両想いになった後、ベッドで寝ようとした夏菜ですが・・・


**********

「・・・眠れないなぁ・・・」

さっきからがんばって寝ようとしているんだけど、ぱっちり目が覚めてしまっている。

だって、先生の『本当の彼女』になってしまうなんて、思ってもいなかったからだ。

先生のことは『嫌い』では無いと思う。

けれど、彼氏がいる同級生の女の子達を見ていると、本当に彼氏のことが『大好き!』という感じなのだが、私はそこまでのレベルに達しているのかな?

「大好き!」とか目の前で言ったことないし・・・。

目を閉じて考えてみる。

もし、とてもキレイな女の人が現れて、先生がその人と付き合うことになったら・・・

「それはイヤかも・・・」

今日だって星の授業をしている時に、他の女の子達と先生が仲良く話をしているのを見ただけでも、なんかこうムカムカした気持ちがわいてきて、イライラしていたし。

先生は『私のもの』なのに、っていうような気持ちがわいてきて、なるべくその光景を見ないように目を背けていたっけ・・・。

そう考えると、急に恥ずかしくなってきて体温が上昇した。

「それって、完全に『好き』ってことじゃん・・・」

先生が誰かに奪われるのがイヤで、ずっとそばにいてほしくて、抱きしめられると心臓はドキドキするけど、幸せで・・・。

だからやっぱり、先生の『本当の彼女』になれたことがうれしかったんだと思う。

ドアの方を見た。

ドアの向こう側では先生が寝ている。

先生も今、いろいろ考えているのかな・・・。

「今までは、『仮』の恋人同士だったけど『本当』の恋人になったから、どう変わっていくんだろう?」

胸がキュンと鳴った。

今まで『恋愛経験0』の私からすると、彼女としてどう振る舞ったらいいんだろう?

だからさっきも「一緒に寝るんですか?」みたいなこと言っちゃって、めちゃくちゃ恥ずかしかった。

先生はきっと今まで何人もの人と付き合ったことがあるから余裕なんだろうけど、私は余裕が無さ過ぎて本当にどうしたらいいんだろう?

抱きしめられることにもまだ慣れていないのに、それ以上のことになったら・・・。

思わず、先生とその・・・キスすることを想像してしまった。

「ひゃあああっ!」

あまりにも恥ずかしくなって、布団をガバッと被ってしまう。

誰も見ていないのに、真っ赤になった顔を隠したくなったからだ。

「バカバカバカ!
そんなことあるわけないじゃん!」

そんなこと・・・

あるわけない、と思ってはいるけど、無いとも言えない。

『彼女』になるっていうことは、きっとそういうこと。

でも・・・

キスしたら、私はどうなっちゃうんだろう・・・
恥ずかしすぎて死にそうになるの?
それとも、幸せ過ぎて勉強が手に着かなくなるのかな?

「ううっ・・・
どっちも困るかも・・・」

そんな幸せな妄想をしていると、いつの間にか眠りについていた。

★おわり★
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