SUN×SUN!

楠こずえ

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第3話:魔法の秘薬を探せ!(その7)

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その話を隣で聞いていた太陽が突然イスから立ち上がり、
「え!魔女の子孫!?マジで!
すげーじゃん!ひまわり、これはすごいぞ!
おまえも今日から『魔女っ子』だ!」
と興奮して自分のことのように喜んでいる。

が、ひまわりは急に
「魔法の杖」というものを渡されたため、
どうしていいのか分からない状態である。

杖を軽く横に振りながら、
「ど・・・どうやって使えばいいんですか?」
と聞くと、太陽が、
「どうやってって、
魔力を込めて杖から力をぶっ放すんだよ」
と説明したが、曖昧あいまいすぎて全く意味が分からない。

すると横から蛍が、
「杖そのものにも魔力があるのよ」
と入ってきた。

「ただ、杖と持つ人の魔力のバランスが大事で
杖の力が大きすぎても使いこなせないし、
弱すぎても自分の力を発揮できないから注意して。
そうね、ひまわりちゃんに合っているかチェックしてあげるから
ためにしに使ってみてくれる?」

またもや突然のムチャ振りに、
「え!」と驚くひまわり。

魔法を自分が本当に使っているのか
未だによく分かっていないのに、
さらには「魔法の杖」を使ってみろとの要求。
あまりにもいろんなことが起こりすぎていて
頭の中は混乱するばかりだ。

『なんでこんなことに・・・』
と心の中でモヤモヤしていると、
パチッと太陽と目が合った。
太陽の目は、
「やれ!」とひまわりに訴えかけている。
ひまわりに「NO」という拒否権はなさそうだ。

困っているひまわりを助けようと思ったのか、
蛍が机の上に犬のぬいぐるみをポンと置いた。

「じゃ、魔法の基本中の基本で
モノを変身させてみましょう。
この犬のぬいぐるみをウサギのぬいぐるみに変えてみて」

「犬をウサギにですか?」

「ええ、ウサギに」

魔法の杖を持ち、
ぬいぐるみの前に立つひまわり。

皆に見つめられ緊張して、足はガクガク震えている。
でも、やらなければ太陽に
また怒られるに違いない。

「うまくいうくか分からないけど・・・エイッ!」

頭の中にウサギをイメージしながら、
杖を思い切り上から下にブンと振り下げた。

その瞬間、皆が息を呑み、
じっとぬいぐるみを見つめた。

「・・・・・・・」

が、全く何の変化も見られない。

すると太陽が、
「なんだひまわり!
そのやる気の無い動作は!
もっとあるだろ!こう気合いを入れてだな!」
と喝を入れてきたので、ひまわりはあわてて、
「いえ!
これでも真剣にやってるんですよ!」
と真面目にやっていることをアピールした。

ワーワー言い合っている2人を横目で見ながら、
蛍が杖を見つめる。

「私の勘では、絶対この杖の持ち主は、
ひまわりちゃんが良いと思うんだけど・・・。
使い方に何か秘密があるのかしら?」

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