ビヨンドオーバースカイ

ハルキ4×3

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ビヨンドオーバースカイ

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「空は神の領域であり、人はそこへ入るべからず」
一体誰が言い始めたかはわからない、けどずっと昔から言われていたんだ。
このことは僕と弟ストルも
父からよく言われていた。それと同時におじいさんの事も話を聞かされた。
昔おじいさんは空へと向かって飛び立ったけどそのまま帰ってくることはなかったらしい。
神様の怒りをかって天罰をくらったと言う。
僕は父にその神様がどんなものなのか、おじいさんは悪い人なのかとか質問したけど、
納得できるような答えは返ってはこなかった、僕は他の人にもこれを聞こうと質問し回った。
けれども学校の先生も、肉屋のおばさんも父と同じような答えばかりだった。
いろんな疑問を心にしまい込んで大人になった今でも答えは見つかっていない、しいて言うと
飛行機というものが昔あって今は廃れたという話だけはわかった。
子供の頃に聞いた話を合わせて結論から言えばおのずと廃れた理由はわからなくはない。
それ以降はこの飛行機という物に対してストルも関心は持たなかったがおじいちゃんの
残した日記を見つけてから、空に何があるか、おじいちゃんはなぜ空へ向かったかを知りたくなったのだ。
高校を卒業して僕ミリトは王立防衛兵として仕事をして、弟のストルは機械技師になった、
僕は日がな町をパトロールをして過ごしていて、たまに見つかる犯罪とすればスリか
自転車泥棒くらいだった。やりがいがあるかといえば特に大したことはなかった、位の高い
兵よりは比較的安全だけど、それと比べれば弟の仕事はすごくやりがいがあっただろう
車を直してお礼を言われる事があるからストルはすごく毎日を生き生きとしていただろう
それに比べれば僕の仕事は誰にでもできるようなものだった。
今日もまた退屈な一日を終えて家に帰った。
家では家族揃って夕食を食べるのが習慣になっていた、そこでは弟と両親と最近の出来事や
国王陛下の体調の事などを話していたのだった。
話の終わりには父は決まって僕らにおじいさんの話をするんだ。
「うちのお爺さんは昔、空へと向かい帰ってこなくなった…」といつも話していた
それでも途中で席を外したら機嫌が悪くなるだろうと思いただ聞いていた。
以前に「おじいちゃんはすごかったの?」と聞いたら顔をしかめて黙ってたのもあったし
それからは何も質問はしなくなった、それは弟のストルも同じだった、話が終われば
二階に上がった。
「父さんの話はいつもああだよな」と弟は愚痴るので、相槌を打つように、
「まあ仕方ないようちでは逆らえない人だから」と僕は言った。
それからは自室に戻って日記をつけてベットに転がった。
ふと思うのは僕らのお爺さんのことだった、おじいさんはどんな人であるかの事
家族は一切語らない祖父の事を知りたいと子供の頃から思っていた。
でもまた明日からいつもの退屈な仕事があるのでこの事は考えずに眠ることにした。
しばらく仕事を終えて休日に入ったある日、ストルがドアを叩いて入ってきた。
「兄さん、屋根裏を掃除していたらこんなものが出てきたんだ」
「なんだこれは?、本や丸まった紙みたいなものだけど…、日記に設計図?」
よく見るとその日記の端っこにジョンと書かれていた。
「おじいさんの名前だ…」
そして設計図を開くと、そこに書かれていたのが飛行機の作り方だった。
「兄さんこれ父さんに見つかったら処分されると思うから設計図は僕が預かる、
だから兄さんは日記を持ってて」
僕はストルが部屋を出た後に、その日記を読もうとしたが、かなり分厚い本にびっしりと
書かれており、一日で読むのに半分はいかない量だった。
ただざっと見てわかったことは、おじいちゃんが空へ行くことを夢見ていたことだった。
何度か父に聞かされていたが、おじいさんが空へ言った事
その話から、おじいさんは神の領域である空に何があるかを
この目で見たかったのかもしれない。
この情報を弟にも伝えたら、こんな事を言い出した。
「ならばこの飛行機を作って空へ行こうよ!」
「おいおい、空へ行ったらどうなるかわかってるだろ、それに飛行機を作る場所なんて
あるのかい?」
するとストルは
「場所は心配ないよ、空き家があるからそこで作るし、兄さんも知りたくないの?
おじいちゃんが空を目指していた理由を」
その目の輝きに押し負けてしまって僕はうんっとうなずいてしまった。
その日からストルは仕事が終わってからしばらく飛行機を親には内緒で作ることにした
その製作所には僕は少しだけ顔を見せることにした。
こんな事とは簡単に言えないけど、付き合うほど暇ではなかったし、何より
本当に作れるのか不安だった、車を何度も作ったことがある弟でもできるのかと思った。

小さい頃両親からも教師からも言われたこと。
「身の丈に合ったことをしなさい」
新しいことや誰もやった事がない事をするとロクな事にならないという事を
別の言い方にした言葉なのである。
元々この国全体にベッタリとついてしまった考え方は次の世代までずっと続く。
僕だけでなく僕の周りの同い年の人間もこの考えに染まって今まで通りのやり方を
死ぬまで続けるだろう。
飛行機はなぜ作られたかわからないがそういった新しさは話した通り、つまはじきにされ
そして廃れてしまったのだった。
この身の丈に合った事という理由で僕は父と同じく軍の兵として働いた、むしろそれで
よかったと思っている。
弟ストルも機械の勉強をして機械技師になったのでそれも身の丈に合ってると僕は思う。
あの日記が見つかってから休日は空けて、僕はいつものように防衛兵として街をパトロール
という軍務を果たしていた。勤務内容の書類を書くときはほとんど異常なしばかりで本当に
何もやりがいのない仕事と思っている、昼の休み時間に弟の職場へ見に行った。
お昼頃になって飲食店以外はみんな休み時間を満喫しているのに、
一人車の修理を黙々とやっていた。
「相変わらず頑張っているなストル」
「兄さん、きてたんだ」
工具を置いて駆け寄ってきた弟は、店の裏側でまで僕を連れて、
昨日の出来事について話し合った。
「おじいちゃんの日記の話のことなんだけど、
どうしておじいちゃんは空を目指したんだろうね」
「そこまではわからない、まだ半分も読めてないから。」
ストルが持ってきた飲み物を飲みながら語った。
「そういえばストル、飛行機の方はどうなんだい?」
「ああ、少し店にあった廃材を持って行ってちょっとずつ作っているよ」
「完成してもどうすることもできないと思うよ、皆反対するかも」
と無理であることをオブラートに包んで言ったけど、ストルは落ち込むどころか
明るくこう僕に言った。
「大丈夫だよ、たとえみんながダメと言ってもやり遂げてみるよ
もしも空の向こうに何かあったらこれを体験記として書こうと思ってるんだ」
そんな話をしてるうちに時計塔のベルがなり再び仕事に戻らなくてはならなくなった。
「そろそろ時間だ、僕は仕事に戻るからまたね」と立ち上がって帰ると弟は手を振って
見送ってくれた。
あれから弟は家に帰ってくる時間が遅くなった、両親が最近ストルが遅いと尋ねられても、
残業で忙しいと僕は誤魔化していた、ストルが帰ってくるときは両親が寝る前になってた。
「ふー、疲れたよ、でもいつもやってる技師の仕事よりは楽しいよ」
「今、飛行機はどれくらい出来上がっているんだ?」
ベットに顔を埋めながらもストルは答えた。
「全くダメ…ってわけじゃないけど、完成したらどうするかが問題だね」
「問題てなんだ?」
「乗る操縦者がいないんだよ、今の状況じゃ募集もかけられないし、できたとしても
車とは違うんだよなコレは」
そしてすぐにストルは眠りに入った、僕は起こさないようにそっと部屋を出て自分の部屋で
おじいさんの日記を読み始めた、今読んでいる内容はおじいちゃんがどんな人かの所だった。
小さい頃からおじいさんは好奇心に溢れていた人だった、何も知識も技術もないくせ、
やりたいって思ったことを試みていつも失敗をしていた、それでもそれにとらわれず
とにかくやりたい事をよるという人だったらしい、父が生まれた時から
その子供のような心は一層大きくなってある日、友人が飛行機の開発に携わり、おじいちゃんが
その操縦士として志願した。なぜそれに手をあげたのか、それはおじいちゃんが子供の頃に
見てた夢があったから、ずっと昔からそこへは
立ち入ってはいけないという言い伝えなどお構いなく己の好奇心で何があるかという
夢見ていたから。
周りの人はもちろんすごく反対してた、空へ行けば神の怒りを買うからと、それでも
反対を押し切っておじいちゃんは飛行機に乗り空へ飛び立ち帰ってこなくなった。
この内容で日記は半分以上読み終えた、残りは後少しだったがページの一部が何かでくっついて
めくれなかった。
間にナイフとか入れてやればなんとか剥がせると思うが無理にやると破れそうなので
また時間があればまた試みてみよう、このページでもう終わりになるだろう。
次の日だった、僕は軍の屯所で制服に着替えていつものように町の巡回を
しようとした時、防衛兵の隊長が全ての兵を集め出した。
こういう時は何か大事な話がある事だ、決まって戦争の事や国王陛下の話である
今回は後者の話らしい。整列した兵士を見て隊長が話を始めた。
「お前たち、今日は重要な話でもありととも悲しい話でもある。
今朝国王陛下がお亡くなりになられたのだ。」
僕も含めて全ての兵士は衝撃を受けただろう。
最近体調を崩しておられたのは知っていたけど、この国を大きく繁栄させて
複数の民族をまとめた人でもあり支持も大きかった。
つまり今日はその葬儀に立ち会う事になるのだった。
今回をいつものやりがいのないパトロールでなく、少しはやりがいは持てそうな任務を
やらしてはくれそうだ。
ちょうど午前十時くらいになった頃に大通りに国王陛下の棺が運ばれてきた。
多くの人は悲しみ咽び泣く声も聞こえた、そのあとは国王の棺の前で、
大臣や将軍が弔辞を読み陛下は大きな墓の中へと埋葬された。
ふと僕は参列している国民たちの方へ目にやると弟がいた。
「さすがに今回は自分のことに集中するわけにはいかないよな…」
葬儀がひと段落した後は小さな店で飲むことにした。
陛下がお亡くなりになったからいつも喧嘩が起こるほど騒がしかった店もシンッと静かだった。
僕とストルは小さなグラスのビールを頼んで飲んだ。
「兄さん、実はねようやく飛行機が完成しそうなんだ。」
とストルは少し嬉しそうに言った。
「え、もう飛ばすのかい?。」
「いや、飛ばせるかになると話は別なんだけど」
「だからといって僕はダメだよ」
このような話ばかりでは続かないので、僕は隙を見つけて話題を変えた。
「国王陛下が亡くなってからこの国はどうなるんだろうな。」
「うん、他民族問題とか経済のこともあるし…、でも僕は一つ願うなら
もっと新しい事をするような世の中になって欲しいと思うんだ」
「あ…ああそうだな…」
僕は相槌を打つような返事をした、それからある程度飲んだ後は店を出て二人別々の方向へ
帰った、ストルは飛行機のある車庫へ向かい、僕は自宅へと帰った。
その日からしばらく経ったある日だった、パトロール中の僕は何かの演説の様子を見た。
その様子は少し異質に僕は感じた、その演説の様子は熱気が凄まじかった。
こっそりと聞いた内容は、自分たち純粋民族だけが優位に立つべきとかだった。
パトロールを終えて後で聞いた話だが、国王陛下が亡くなってから、王族に代わって
国を動かそうとする二つの勢力が争っていると。目の輝き

元々この国は一つの国ではなかった、国王陛下が存命の頃に国益の拡大のために隣国を
併合させて、その国々の民族も無理やり国民にした国だった。
だから純粋でない民族たちは、国王を嫌っていた、特にトライド人という民族がその筆頭だった
陛下が亡くなってこっそりと彼らは喜びの晩餐会を開いたほどだったので。
ぼくら純粋民族は嫌っていた、
それがこの国の民族問題であった。
ラジオのニュースが知らせてきたのはそれぞれの派閥が権力争いを行なっていることだった。
一つは帝国派…王家に仕えた公爵を筆頭に軍事を拡大させて国益を増やすためにさらに
隣国を併合、さらにトライド人などの他民族を殲滅するという政策を打ち出した。
一方は共和派…とある政治家が筆頭になり、他民族の国だった土地を彼らに返還して
話し合いをして共存共栄を行い、そして飛行機開発などの新しい産業を生み出すことに
力を入れる政策を打ち出した。
その波は僕ら防衛兵団への皺寄せの形になった。
軍内部でも、帝国派か共和派かで対立が始まり僕はどちらにつくか決断を迫られた。
その夜、家族が同じテーブルで話し合いになった、とは言っても父がこの中で力を持っている
のでどちらへ行くかは全て父が決めるのであった。
そして話は始まった。
「これから我々一家が帝国か共和かにつくかという事だが、もはや悩むほどでもない。
我々は帝国につくのだ。
国王陛下がお亡くなりになり、その側近の公爵様に私たちは忠誠を誓うのだ」
もちろん誰もそれに反対を言うことは誰もいないと思っていたが、隣にいたストルは
その意見に意を唱えた。
「父さん!、僕は共和派につくよ!」
すると父はものすごい剣幕で怒った。
「何⁉︎気でも狂ったかストル‼︎共和派は国を売る連中だぞ‼︎」
「僕はもっと新たな事をしたい‼︎僕の腕でいろんなものを作るんだ‼︎、
帝国につけば戦車を作るかもしれない、でも帝国は他国を侵略するために機械を
作るんだ‼︎、僕は国の発展のために機械を作りたいんだ‼︎」
今までストルは父と言い争いはしなかったが二人はすごい大声をあげて
討論をした、向かい側に座る母も止めようと入ったけれどオドオドとしていた。
するとストルは僕に言いかけた。
「兄さん!、兄さんはどうなんだ⁉︎、きっと僕の言う事をわかってくれるでしょう‼︎」
僕はそこで睨む父の圧力に負けてこういった。
「ストル…ごめんよ…僕は帝国につくよ。」
ストルはショックを受けたのかただ黙って部屋を出てしまった。
僕は追いかけようとしたが父が「追うな‼︎;」と叫んだので追うのをやめ
父の話を聞くことになった
「ストルはもうウチとは絶縁だ、これでこの国はもっと豊かになるだろう、
ククルア人(純粋民族のこと)に栄光あれ‼︎」とワインの入ったグラスを父は掲げた。
二勢力の対立が起きてから二日経ち国内は内戦寸前の状態だった。
帝国派の市民はトライド人ら他民族へ攻撃を開始しあちこちで他民族の民家や店が
襲撃にあった。一方そのトライド人らは共和派と共に帝国派への抵抗運動を行なったていた
その結果よくパトロールしていたあの町は割れたガラスのカケラや、壁のかけらが散乱して。
まるで廃墟の町の様に誰もいなかった。
一方僕は軍の帝国派として立ち、これから共和派との戦闘に備えて武器の
補給作業を行う任務に就いた。
武器が運ばれると言っても備えているだけで今は、お互いの様子を見てるだけ
できれば、このまま開戦をしないことを僕は祈っていた。
それでも国内は混乱状態であるのは変わりない、あの時に出て行ったきり
家に帰ってきてないストルはどうしているか僕は心配だった。
トラックで物資を運んでそれを兵舎に保管する事を繰り返している日々の事だった。
隊長が兵を全て集め彼らにあることを話した。
「諸君、公爵様から直々に命令がきた。共和派の見せしめのために共和派の人間を捕まえて
公開処刑をするとのこと、諸君らにはこれから名簿に書かれたものを捕まえるのだ」
兵たちが回して名簿を見ていた、そして僕にも回ってきてそれをざっと見た、どれもこれも
知ってる人ばかりですごく良心が痛んだ。そしてよく読んでいた時そこにとある名前があった。
“ストル・バッシュ”そう弟の名前があった、
「ストル!まさか彼もか…!」
僕はすぐに隊長の元へと向かった、処刑リストに書かれた弟を除名して欲しいと頼んだが
隊長は“これは公爵様の命令である”という事を繰り返した。
ならばと思い僕はストルのことは自分に任せて欲しいと言ったら隊長は許可を出してくれた。
僕はすぐさまストルのいる車庫へ向かった。
その場所はそこから遠い場所ではなく走ってすぐについた。
車庫の中を入ってみれば、二枚翼のプロペラのついた飛行機がそこに鎮座していた。
その飛行機をストルが点検整備を行っていたのだった。
すると彼はこちらに気づいた。
「…兄さん…一体何しにきたんだい?」
「ストル…お前はすぐにこの国から亡命するんだ、お前は処刑対象になってる」
こちらを向いていたストルは、飛行機に目をやりこう言った。
「わざわざそれを言いにきたのか?、そうしてもらえるのはありがたい、けども
僕はおじいさんがみた空を観たいんだ!、だから兄さんの命令には従わないよ!」
「ストル‼︎しかしお前は…」とその瞬間、車庫のシャッターが開きそこから帝国派の
兵たちが現れた、そして彼らはストルを捕まえた。
「ストル・バッシュ、敵対派閥に肩を入れた罪で連行する!」
「…兄さん!」こちらを見るストルに僕は
何もできずにただ見つめるだけしかできなかった。
すると部隊の隊長が駆け寄ってきた。
「よくやったお前の手柄だ」とお金の入った袋を手渡してすぐにストルと共に
兵たちは屯所へ向かった。
弟を助けるはずが、間接的に弟を受け渡してしまった、その事に僕は罪悪感に
かられた。
ただ僕は机に座って頭を抱えていた、処刑は明日に行うらしく、今すぐに止められる
方法はないかと考えたが、一卒の兵ができることは何もなかった。
…ふと机の横にあったおじいちゃんの日記があった。
もしもおじいちゃんなならどしていたのだろうと、僕はナイフでくっついているページを
開いて読んだ。
そこに書かれていたことはこうだった。
「これを読む未来のものへ、これから先は辛いこともあるし、何かが停滞してどうしようもない時はくるだろう、しかし君たちは目の輝きを忘れないようにすること、この輝きは未来へ希望を
持つこと、そして何かを達しするための熱意がある、それを常に持ち続けるんだ 
ジョン・バッシュ」目の輝き…、これを見て少し思った、弟ストルは常に今はもういない
おじいさんの目指したものを見るために、苦節しながらも何かを輝かせたの対して
僕はどうだった、対して協力もせずただ見ていただけでなく、それを打ちこわしてしまった
…今からでも遅くはないはず、僕も何かをしないといけないという使命感に駆られ、
すぐに弟のいる独房へ向かった、そこで見張りをしている兵を殴って気絶させて鍵を
奪い独房の扉を開けて弟に声をかけた。
「出ろストル!話は後だすぐに出てこい」
少し困惑しながらもストルはすぐについてきた、僕らは兵の屯所を抜け出し
飛行機のある車庫へ向かった話した。
「兄さん!、どうする気だ‼︎、逃げたってすぐに兵がやってくるよ!」
「あの飛行機を飛ばす‼︎、操縦は僕がやる‼︎」
「⁉︎何言ってるんだ!兄さんにはできないよ‼︎車のように簡単じゃないんだ‼︎;」
止めようとするストルに対して僕はこう言った。
「大丈夫だストル、僕を信じてくれ」
その言葉に対してストルはうんっと頷いた。
しかし後ろから帝国派の兵士が僕らを追ってきた。
今立ち止まっている暇はない、すぐにでもあの飛行機を動かして飛ばすそれしかない
再び車庫へついた僕らはシャッターを開けて飛行機に乗り込んだ。
「兄さん!まずはそこのレバーを引いてそれからボタンを押すんだ!」
言われた通りにエンジンを起動させた、すぐにプロペラがブルルンと動き
そのまま外へ出て後は飛ぶだけだった、しかしすでに兵はやってきた彼らは弟を捕まえ
こちらへ向かってきた。もう後戻りはできない、すぐにペダルを踏み一気に加速した
正面の兵はライフルで撃ってきたがプロペラがそれを弾いた。そのまま兵たちを押し退け
まっすぐ走りそして飛行機は飛んだ。
目の前の夜明けの朝日に照らされ、僕は向かった
おじいさんがかつて目指した神の領域、機体を大きく上げ
遥か彼方の空へ僕は飛び立った。
そこにある何かを目指して…。



空はどこまでも青く雲の海が広がっていた、これはとあるパイロットが
言っていた。
あの日飛び立った飛行機は少なくともあらゆる人が目撃し、人々の心を掴んだ。
その後飛行機が世に認められ、その後に飛ばされた飛行機のパイロットが見たものが
かつての先人たちの言ってた神の領域のようだった。
帝国派が打ち倒され、共和派の体制となった今、飛行機開発が大きく進み
遠い国へ向かう事、遠くから物を輸出入はより早くなった。
二つの勢力が対立していた時代に、自分たちの祖父が目指していたものを
知るためにその道を進んだ兄弟はその後どうなったかは誰も知らないが
しかし彼らは誰も知らない本当の先駆者だったかもしれない。
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