時間軸

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公園の時間軸

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私はエリート営業マン。
年収は1500万ほど稼いでいる。
ってずっと周りには言ってきた。

いつからだろう、髪をセットし、スーツを着て公園に来るようになったのは。

プルルプルル
「はい柳です。」
「あ、株式会社相良採用担当の丸橋です、」
「今回は残念ながら、、、、」
これでもう7社目だ。

公園は平和だ。
ベンチに掛けて何もしないおじいさん。
駆け回る少年。
つぶらぬ瞳で見つめてくるハト。
あー、突然大企業の社長が声をかけてこないだろか。

「あの、すみません」
突如声をかけられ振り返る。まさかと期待した顔つきで。

「隅田警察のものですが」

これで職質も8回目だ。
あ、気づいたらもう17時だ。
毎日毎日この繰り返し。
私の時間は1年前からこの公園で止まっている。
大人になると身長は伸びない。
成長が分からない。
私の時間はいつ動き出すだろうか。
公園と地獄の分かれ目を超える。
今日もまた終わりのスタートが始まる。
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