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四十五杯目『春を運ぶ白』
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一陣の生ぬるい風が頭上を過ぎ去っていった。三月も半ば。暖かい日も増えてきた。時に四月下旬並みの気温になることもあるから驚く。もう春なのか、と、見上げた桜の木の蕾が膨らんでいるのを見て実感した。
大学に入学して、有栖川茶房と出会ってからもう少しで一年になる。早いものだ。
出会いの多い一年だったと思う。そして、不思議な体験も多かった。
有紗はまだ先日の桂の表情を忘れられずにいた。表情の意味も、どうしてそうなったのかもわからないが、とにかくあの桂には出来ればもう会いたくない。いつものゆらゆらした桂の方が安心できる。
ただ、冷たい能面のような顔をした桂が本来の彼だとするならば、否定してはいけないのだろう。揺らいだ桂が何かを取り繕っている様なのだとしたら、その内面を見なければ本当の桂と相対しているとは言えないに違いない。
といっても、踏み込んでいく勇気があるわけでもなく。今その必要があるとも言えず。
――お茶会が楽しめればいいのよね?
そうと信じて、今日も有栖川茶房のドアノブを押した。
「あっ、いらっしゃーい」
迎えてくれたのは笑みをたたえた桂だった。その顔を見てほっと一安心すると、いつものカウンター席へ。店内にいるのは桂一人のようだった。
「今日は桂さん一人?」
「笑ちゃんがねー、今、二階でお昼ご飯食べてるんだ~」
時間は昼前。お昼には少し早いが、少人数で回しているお店だ。そういった融通も必要なのだろう。
大変だなぁ、とぼんやり思いながら席に着き、今日のお勧めを桂に尋ねようかとしたところ、彼は電話の子機を持って何処かへと電話を掛け始めた。数秒の後、
「あ、真白くーん? アリスちゃんねー、来たよ~?」
――真白くんに連絡?
「うん。そうそう、たった今。あっ、もうお店出たの~? ん、まだ~? どのくらいかかる~? 二十分? そのくらい大丈夫だよ~。桜のフレーバーティーでも出しておもてなしするからぁ。うん。えー。やだー。水だけとかもっと無理ー。うん。じゃあね~」
聞いていてわかったことは、真白がこちらに向かっているらしいということ。
「というわけで、真白くんが来るまで桜のフレーバーティーは如何?」
「はい……頂きます」
大変強引だったが、興味があったので諾とした。
「真白くんはヘルプですか?」
「うん。ケーキの発注お願いしたんだ~」
「あ、例のケーキ屋さんに行ってたんですね」
「そうそう。アンブロシアっていうお店だよ~」
以前弥生が口にしていたのを聞き覚えている。強面のパティシエがいるというお店だ。一度行ってみたいと思いながらも、場所もわからず機会もないので行けないままになっている。
「アンブロシアってどこら辺にあるんですか?」
「うーんとねぇ、割と駅の近くの商店街で、アンブロシアの近くのパン屋さんに学生さん来るって言ってたかなぁ」
「え。じゃあ、私の大学の近くなのかな」
「多分そうだと思うよ~?」
お昼はもっぱら学食かコンビニ弁当なので、商店街には寄りつかない。そんな所にケーキ屋が在ると知っていたら冒険に出かけたのにと悔やまれた。
――でも、今からでも遅くないもん。
時間を見つけてその方面を探検しに行ってみよう。春休みの目標が一つ出来た。
やがて出てきた紅茶は桜餅のような香りのする紅い液体だった。
「ふあぁ。甘塩っぱい感じ」
「桜の葉っぱと花びらもブレンドしてある紅茶なんだ~」
一口飲んでみると、
「味は普通の紅茶なんですね」
「フレーバーティーってそういうものだからね~」
アールグレイ以外にフレーバーティーを飲んだことがなかった為、そういうものかと受け入れるしかない。香りと味が一致しない不思議な感じは否めないものの、少なくともこの紅茶に関しては美味しいと思えた。
「あ。有紗。いらっしゃい」
ぱたぱたと足音がして、二階から笑太が降りてきた。
「こんにちは」
「って、桂。有紗に水も出してないじゃん」
言われてみれば水もお手ふきもない。突然の電話からの流れで気にしていなかった。
「あ~。忘れてた~」
「桂一人に店任せられないな……」
呆れた様子で笑太はカウンターに入ると、すぐに水とお手ふきを出してくれた。
「そうそう。真白くん、来てくれるって~」
「助かる。いつ頃来るって?」
「電話したときお店出る所みたいだったから、そろそろ着くんじゃないかなぁ。彼、足速いから~」
笑太と桂がそんな会話をしていたところ、店のドアベルが鳴って扉が開いた。
入ってきたのは大きい箱を持った真白だ。相当急いだのか、息を切らして、顔は少し赤みが差している。
「良かった。有紗、まだ居た」
「そんなに急がなくても大丈夫だったのに~」
「いや、桂適当だから。うっかり帰しちゃうかも知れないって思って」
「信用無いなぁ」
「信用なんて何処にも無いよ」
「ひどぉい」
口を尖らせる桂を他所に、真白はキッチンに入ると箱を置いてすぐに出てきた。
「有紗、もうちょっと待ってて。今着替えてくるから」
「ゆっくりで大丈夫だよ」
真白が何をそんなに急いでいるのかわからないが、何かあるには違いない。幸い紅茶はまだある。出てきたてのお水もある。鞄には小説もあるので、時間潰しに困ることはない。
*
二階で着替えて降りてきた真白がキッチンに籠もること十分程度。
「お待たせ」
そう言って彼が持ってきたのは、厚く切られたピンク色のシフォンケーキが載った皿だった。シフォンケーキの脇には生クリームが絞られていて、ミントの葉が飾られている。それと一緒に持ってきたのは、緑茶だ。
「桜のシフォンケーキだよ」
言われて、くん、と香りを嗅いでみると、成る程、桜の香りがする。フレーバーティーの甘塩っぱい香りとはまた違う、桜の甘い香りだ。
「いい香り」
「僕からのホワイトデー。ご馳走するよ」
「えっ。いいの?」
「うん。遠慮無くどうぞ」
「ありがとう!」
思いがけないお返しに、自然と心が弾んだ。
「わざわざアリスちゃんの為に焼いて貰ったんだよね~」
「桂。そういう話はしない方がいいんだって」
余計な事を言う桂を笑太が小突いている前で、有紗は手を合わせ、
「頂きます」
フォークを持って食べ始めた。
しっとりとしたピンクのシフォンケーキを一口分切り取り、最初の一口目なので何も付けずに頬張る。紅茶の時と違い、今度は口に入れると塩漬けにした桜の味がほんのりと感じられた。主に甘いが、僅かにしょっぱい。
「美味し~」
「喜んで貰えて良かった」
真白が笑っている。少しはにかんだような笑みは、子供っぽくも見える。
――こんな風に笑うんだ……。
見ているこちらが気恥ずかしくなるような笑みは、長いこと正視していることは出来なかった。さりげなく目を逸らし、目の前の皿に目線を移す。
今度は生クリームを付けて食べた。甘さが増して、これも美味しい。生クリーム好きの有紗にとっては至福だった。手が止まらない。
「おかわり欲しかったら言って。今日は一ホールまるまる奢るつもりで買ってきたから」
「流石に一ホールは忠臣さんじゃないから無理だと思うけど……」
既に半分以上食べ終わっている状態で、お腹は満腹ではない。おかわり、という言葉にぐらぐらしながら緑茶を頂く。桜の味に緑茶の香りが良く合った。
今日は桜尽くしだ。桜餅くらいしか桜を使った食べ物を知らなかった有紗にとって、紅茶やケーキと出会ってまた世界が広がった。それと同時に、春の訪れを否応なしに感じる。
――いい季節だなぁ。
最後のシフォンケーキで生クリームを拭き取って食べると、ミントを残して皿は綺麗になった。
なんだかもの寂しい。
――おかわり……。
口も胃もまだ食べられると言っている。しかも、真白の奢りなので財布は気にすることはない。でも流石に二切れは多いのでは、と理性が言っている。
心の中は揺らぎながらも、手は勝手に皿を持って掲げていた。
「おかわりくださいっ!」
それを聞いた真白がまた笑顔を見せたので、撃ち抜かれたような心地になった。
大学に入学して、有栖川茶房と出会ってからもう少しで一年になる。早いものだ。
出会いの多い一年だったと思う。そして、不思議な体験も多かった。
有紗はまだ先日の桂の表情を忘れられずにいた。表情の意味も、どうしてそうなったのかもわからないが、とにかくあの桂には出来ればもう会いたくない。いつものゆらゆらした桂の方が安心できる。
ただ、冷たい能面のような顔をした桂が本来の彼だとするならば、否定してはいけないのだろう。揺らいだ桂が何かを取り繕っている様なのだとしたら、その内面を見なければ本当の桂と相対しているとは言えないに違いない。
といっても、踏み込んでいく勇気があるわけでもなく。今その必要があるとも言えず。
――お茶会が楽しめればいいのよね?
そうと信じて、今日も有栖川茶房のドアノブを押した。
「あっ、いらっしゃーい」
迎えてくれたのは笑みをたたえた桂だった。その顔を見てほっと一安心すると、いつものカウンター席へ。店内にいるのは桂一人のようだった。
「今日は桂さん一人?」
「笑ちゃんがねー、今、二階でお昼ご飯食べてるんだ~」
時間は昼前。お昼には少し早いが、少人数で回しているお店だ。そういった融通も必要なのだろう。
大変だなぁ、とぼんやり思いながら席に着き、今日のお勧めを桂に尋ねようかとしたところ、彼は電話の子機を持って何処かへと電話を掛け始めた。数秒の後、
「あ、真白くーん? アリスちゃんねー、来たよ~?」
――真白くんに連絡?
「うん。そうそう、たった今。あっ、もうお店出たの~? ん、まだ~? どのくらいかかる~? 二十分? そのくらい大丈夫だよ~。桜のフレーバーティーでも出しておもてなしするからぁ。うん。えー。やだー。水だけとかもっと無理ー。うん。じゃあね~」
聞いていてわかったことは、真白がこちらに向かっているらしいということ。
「というわけで、真白くんが来るまで桜のフレーバーティーは如何?」
「はい……頂きます」
大変強引だったが、興味があったので諾とした。
「真白くんはヘルプですか?」
「うん。ケーキの発注お願いしたんだ~」
「あ、例のケーキ屋さんに行ってたんですね」
「そうそう。アンブロシアっていうお店だよ~」
以前弥生が口にしていたのを聞き覚えている。強面のパティシエがいるというお店だ。一度行ってみたいと思いながらも、場所もわからず機会もないので行けないままになっている。
「アンブロシアってどこら辺にあるんですか?」
「うーんとねぇ、割と駅の近くの商店街で、アンブロシアの近くのパン屋さんに学生さん来るって言ってたかなぁ」
「え。じゃあ、私の大学の近くなのかな」
「多分そうだと思うよ~?」
お昼はもっぱら学食かコンビニ弁当なので、商店街には寄りつかない。そんな所にケーキ屋が在ると知っていたら冒険に出かけたのにと悔やまれた。
――でも、今からでも遅くないもん。
時間を見つけてその方面を探検しに行ってみよう。春休みの目標が一つ出来た。
やがて出てきた紅茶は桜餅のような香りのする紅い液体だった。
「ふあぁ。甘塩っぱい感じ」
「桜の葉っぱと花びらもブレンドしてある紅茶なんだ~」
一口飲んでみると、
「味は普通の紅茶なんですね」
「フレーバーティーってそういうものだからね~」
アールグレイ以外にフレーバーティーを飲んだことがなかった為、そういうものかと受け入れるしかない。香りと味が一致しない不思議な感じは否めないものの、少なくともこの紅茶に関しては美味しいと思えた。
「あ。有紗。いらっしゃい」
ぱたぱたと足音がして、二階から笑太が降りてきた。
「こんにちは」
「って、桂。有紗に水も出してないじゃん」
言われてみれば水もお手ふきもない。突然の電話からの流れで気にしていなかった。
「あ~。忘れてた~」
「桂一人に店任せられないな……」
呆れた様子で笑太はカウンターに入ると、すぐに水とお手ふきを出してくれた。
「そうそう。真白くん、来てくれるって~」
「助かる。いつ頃来るって?」
「電話したときお店出る所みたいだったから、そろそろ着くんじゃないかなぁ。彼、足速いから~」
笑太と桂がそんな会話をしていたところ、店のドアベルが鳴って扉が開いた。
入ってきたのは大きい箱を持った真白だ。相当急いだのか、息を切らして、顔は少し赤みが差している。
「良かった。有紗、まだ居た」
「そんなに急がなくても大丈夫だったのに~」
「いや、桂適当だから。うっかり帰しちゃうかも知れないって思って」
「信用無いなぁ」
「信用なんて何処にも無いよ」
「ひどぉい」
口を尖らせる桂を他所に、真白はキッチンに入ると箱を置いてすぐに出てきた。
「有紗、もうちょっと待ってて。今着替えてくるから」
「ゆっくりで大丈夫だよ」
真白が何をそんなに急いでいるのかわからないが、何かあるには違いない。幸い紅茶はまだある。出てきたてのお水もある。鞄には小説もあるので、時間潰しに困ることはない。
*
二階で着替えて降りてきた真白がキッチンに籠もること十分程度。
「お待たせ」
そう言って彼が持ってきたのは、厚く切られたピンク色のシフォンケーキが載った皿だった。シフォンケーキの脇には生クリームが絞られていて、ミントの葉が飾られている。それと一緒に持ってきたのは、緑茶だ。
「桜のシフォンケーキだよ」
言われて、くん、と香りを嗅いでみると、成る程、桜の香りがする。フレーバーティーの甘塩っぱい香りとはまた違う、桜の甘い香りだ。
「いい香り」
「僕からのホワイトデー。ご馳走するよ」
「えっ。いいの?」
「うん。遠慮無くどうぞ」
「ありがとう!」
思いがけないお返しに、自然と心が弾んだ。
「わざわざアリスちゃんの為に焼いて貰ったんだよね~」
「桂。そういう話はしない方がいいんだって」
余計な事を言う桂を笑太が小突いている前で、有紗は手を合わせ、
「頂きます」
フォークを持って食べ始めた。
しっとりとしたピンクのシフォンケーキを一口分切り取り、最初の一口目なので何も付けずに頬張る。紅茶の時と違い、今度は口に入れると塩漬けにした桜の味がほんのりと感じられた。主に甘いが、僅かにしょっぱい。
「美味し~」
「喜んで貰えて良かった」
真白が笑っている。少しはにかんだような笑みは、子供っぽくも見える。
――こんな風に笑うんだ……。
見ているこちらが気恥ずかしくなるような笑みは、長いこと正視していることは出来なかった。さりげなく目を逸らし、目の前の皿に目線を移す。
今度は生クリームを付けて食べた。甘さが増して、これも美味しい。生クリーム好きの有紗にとっては至福だった。手が止まらない。
「おかわり欲しかったら言って。今日は一ホールまるまる奢るつもりで買ってきたから」
「流石に一ホールは忠臣さんじゃないから無理だと思うけど……」
既に半分以上食べ終わっている状態で、お腹は満腹ではない。おかわり、という言葉にぐらぐらしながら緑茶を頂く。桜の味に緑茶の香りが良く合った。
今日は桜尽くしだ。桜餅くらいしか桜を使った食べ物を知らなかった有紗にとって、紅茶やケーキと出会ってまた世界が広がった。それと同時に、春の訪れを否応なしに感じる。
――いい季節だなぁ。
最後のシフォンケーキで生クリームを拭き取って食べると、ミントを残して皿は綺麗になった。
なんだかもの寂しい。
――おかわり……。
口も胃もまだ食べられると言っている。しかも、真白の奢りなので財布は気にすることはない。でも流石に二切れは多いのでは、と理性が言っている。
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