神業(マリオネット)

床間信生

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☆第2章☆リエン山

2ー79★お早いお帰り

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『あれ?アタルさんですか?ずいぶんお早いお帰りですけど、どうしたんですか?』

トーレとグリエルモの二人と話し合いを終えた後、俺は自分のスキルを使い問題なく山小屋まで戻ると、外にはちょうどよい感じでフェンがいた。

『あー、フェン!今ってフェン一人?』
『えーっと、他には小屋の中にフィリア様がいるだけで、他の三名は食料などの調達に外へと出ています』
『なるほど…、それならフィリアさんも混ぜて三人で話さないか?恐らくだけど、フィリアさんとしてはグリエルモさんのことも気になると思うし』
『そうですね。では、先ずは小屋の中にお入りください。あっ…、とは言っても僕の小屋ではないですけどね』
『知ってるよ。ついさっきまで俺もいたわけだしな』

できるのであれば、ノルドとエルメダ、アンテロの三人もいた方が説明の二度手間はなくていいかなとは思ったのだが……
フィリアの治療に関すること食料関係のことなど、実は気にかけないといけないことが細々とあるのは俺も知っている。
それでなくても今はノルドのところに押し掛けている形なのだから。
なので、無理に今から彼らを探してと言うよりは、先に二人に話すのでも構わないかと思ったので、俺は中に入りフィリアとフェンの三人で先ずは話し合うことにした。

★★★

『えーっと、どうも……』

フィリアがペコリと頭を下げた。

『あーっと、そんなねー。フィリアさん、どうもなんて…』

しばらく別行動のつもりだっただけに、数時間程度で戻ってくることになって若干俺の方としても恥ずかしいものがあった…

『いえ…、大丈夫です。それで、彼の容態というのは今どういった感じなのでしょうか?』
『あー、グリエルモさんですか?やっぱり最初に、それが気になりますよね!傷の方は完璧に完治してます。俺を掴んで自由に飛べるくらいですから全く心配要りませんよ』
『本当ですか!?ありがとうございます!本当にありがとうございます!…』

彼女の顔が一瞬赤くなったかと思うと、次の瞬間一気に明るくなった。
その後、これでもかと言う具合にお辞儀を繰り返す彼女。
最初に会った頃から思っていたのだが、彼女のグリエルモに対する好意と言うのは、かなり分かりやすいように思う。
とは言っても、今の段階では彼の完治が純粋に嬉しいと言うのもあるのだろう。

『はい、それでは傷の事を報告したついでに、そのまま話を進めていいですか?』
『あっ…、失礼しました。どうぞ進めてください』
『はい、そうですね』
『うん、それでグリエルモさんの傷が治った後に三人で話し合った結果、俺がグリエルモさんに掴まれて都市まで飛んでいくのが一番早いんじゃないかってことになってな、試しにやってみたんだけど……』
『はい、やってみたんですね』
『うん。そしたら、何か怪しい光を上空から見つけたんだよ。それも二回。それで不思議に思って一度地上に降りてトーレと三人で話し合ったんだけど…』
『グリエルモさんも見たから気のせいではない。トーレもそんな光に心当たりがないって事になってな…』
『それで、その光の正体を確かめにということですか?』
『うーん。最初、ノルドから貰った武器の予備をグリエルモさんに渡して二人で調べようかと言う話になったりもしたんだけど…他にも色々と考える事があるんじゃないかとかな?』
『なるほど…っていうよりも結構、デリケートな問題ですよね?』
『そうなんだよねー。危険なものなのかも分からないから、放っておくのもちょっと不安になるしな…』
『ちなみに場所はどの辺りなのでしょうか?』
『あっ、ちょっと待ってね今地図出すから!』

俺はそう言いながら地図をだし、多分ではあるのだが自分が見たであろう光の位置を二人に伝える。

『なるほど…、位置的にも何かありそうですよね?』
『やっぱりそう思う?あっ…、そう言えば、フィリアさんあの援助に来てた人いたよね?』
『援助…?えーっと…ブレッグ様のことでしょうか…?だとすると前回あった時から早すぎる気がするのですが…』

一瞬、もしやと思いフィリアに聞いてみたのだが…
どうやら空振りに終わってしまったらしい。

『んー、やっぱりそうだよなー。そうするとやっぱり原因不明と言うことになるから、ますます調べないといけないってことになるよね~』
『そうですね。すくなくとも危険物の可能性もあると言うことですからね…どのくらいなのかはわかりませんが…』
『やっぱりフェンもそう思うか…』

ここにくる前にトーレ、グリエルモの三人である程度は話し合った結果、調べると言う結論に至った。
なので、今さら結論が覆ったりと言う想像はしていなかったのだが、それでもやっぱり同じ結果かと分かると若干だが仕方がないかとため息も出てしまう。

『はい、そうです。それに僕とフィリア様の二人はあくまでも、そういったことに関しては専門外と見られているので、あまり強く自分の意見を言うのもどうかとは思いますので、どちらにしても三人を待つのが一番適切だとは思います』
『そうだね。ちなみに三人っていつ頃戻りそう?』
『確か先程は夕方くらいと言っていた気が…』
『うん、了解!とりあえずは待つとするか!』

フェンは専門外と言っていたが…
俺の方としても選択の結果としては、俺個人の問題だけでは収まらない可能性もある。
となれば、やはり個人で判断できる問題ではないと思う。
そう感じた俺は、大人しく小屋でみんなの帰りを待つことにした。
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