傲慢王子から婚約破棄を突き付けられる予知夢を見る所から始まる一昔前のよくある物語

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23・将来住みたい所

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本宅に戻ってから2日後に、チューブはいつもの弟子2人を連れてグラッセ宅に現れた。
「おお、何だか数カ月見ない間に成長されたようで…!」
「チューブさんっ、待ってました!」
感嘆の声を上げたチューブの手を取り、ぐいぐいと引っ張り応接室に連れて行くマリン。
マロンは大人しくその後ろに続いていて、更にその後ろから2人の弟子が続く。
「どうぞ、掛けて下さい!」
ソファを手で指し示し、チューブに座るよう促すマリン。
「さてさて、本日は熱烈歓迎されているようですが…。
まずは何の話からでっしゃろか。」
ソファに腰を下ろし、苦笑顔でマリンを見た後に、チラリとマロンも見るチューブ。
チューブの座ったソファの後ろに弟子の2人が立つ。
マリンとマロンはテーブルを挟んだ向かい側のソファに座り顔を見合わせた後、マリンが口を開いた。

グロッシュラーを出て、別の地に住みたい、と。

「なるほど。
ちなみに、どちらに行かれるおつもりかも考えて…?」
「まだ具体的ではありませんが、クォーツならグロッシュラーより大国ですし、グロッシュラーと戦争になったりしないだろうから、クォーツが良いかなぁと…。」
「ほほー、そこまで考えられるようになりましたか。」
「っ。」
感心するチューブの声を聞き、マリンはムッとし、マロンはパッと喜びの表情になる。
今のチューブの言葉を聞き、マリンはバカにされたと感じた。
だが、マロンは単純に褒められたと思ったのだ。
そんな対照的な顔をしている双子を、チューブは興味深そうに見ている。
その瞳は、まるで品定めのようだと感じるようになったマリンは、捻くれてしまったのだろうか。
「クォーツに行くのは良いと思いますし、高等科も卒業しておいた方が良いでしょう。
高等科卒業の証があれば、オーソクレイズで冒険者証が審査なしで発行して貰えます。
冒険者証や商人の通行手形がないと、渡航は難しいですから。」
「あ…。」
大きな国に入る時や船に乗る時には、身分証が必要となる。
世界各国を回りたいのならば、先程チューブが言った冒険者証か商人の通行手形のどちらかが必要だ。
マリン達は、そんな事も失念していた。
あまりの世間知らずさに、マリンは落ち込み俯いてしまう。
「ああ、そのように肩を落とす事はありません。」
察して声が掛けられ、マリンは顔を上げチューブを見る。
「グロッシュラーは、国民を国の外に出したがりません。
ですから外の情報は、初等科でも、高等科でも、ほぼ学ぶ事が出来ないようになっています。」
「なっ、なんでですかっ!?」
マロンが驚いたように声を上げる。
その声の大きさに驚いてマリンは目を見開いてマロンを見る。
「なんでって、外国が住みやすい国だと知ったら、国民が外に出て行き減ってしまい、軍事力が落ちてしまうでしょう。」
「あ…。」
それはそうだ…。
マリンも一瞬だけマロンと同じように疑問に思ったが、すぐにチューブが言った可能性が浮かんだ。
マロンは指摘されて理解したのか、浮かせた腰を今下ろした。
「国王は東の大陸の統一、統治を目指しています。
ですから、そんなに遠くない未来に、戦争は必ず起こるでしょう。」
「そ、そんな!」
さすがに、その言葉にはマリンも驚き、マロンと声を揃えてしまった。
「何とかお2人が卒業するまで、そんな事が起こらない事を祈りつつ。
卒業までの間で出来る限りの貯蓄をしておくと良いでしょう。
外の知識の方は、ある程度の常識が分かっていれば、問題ないと思います。
お2人は、高魔力の魔導師なのですから、一般人にやられる事はない筈。
騙されたりしなければ。」
「うっ。」
そこが一番の問題だ…。
マリンとマロンは、声を詰まらせ顔をひきつらせるのだった。
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