スキャンダル部!!

nagiyoooo

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ノンバーバル・コミュニケーション

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 スキャンダル部という部活に入って(というか無理矢理入れられて)一週間がたった。

 入部早々頼まれた先生の交際疑惑調査。

 自分でもなぜ律義に任務を全うしているのかわからないが、いよいよ本質を突こうと思う。

 これまで一週間かけて先生の好感度、印象を良くすることに力を注いできたが、一つ間違えればこれまで積み上げてきた信頼が崩れてしまう。

 ここは慎重に行こう。

 放課後。

 足立先生が職員室に入る前に声を掛け、空いている教室で補習をしてもらうことになった。

「教科書もってすぐ行くから、先に行ってて」と言われたので、猛ダッシュで教室に行き机のセッティングをした。

 窓際に自分の席を用意し、向かい合うように先生の席を用意した。

 昼休みに先輩から、「今日こそ良い報告、待ってるぞ。分からなかったなんて言ったら・・・」というラインが届いた。 ほんとに恐ろしい先輩だ。

 もっと恐ろしいのは、ライン交換なんてした覚えがないことだが・・・

 とにかく、そろそろ真実を見極めるときだ。

 五分ほどたって、教室の戸が開いた。

「すまんすまん、待たせたな!」

「大丈夫です! 席、用意しときました!」

「おお、準備がいいな!」

 いつものように高いテンションで接してくる足立先生。

 今日に限って何かしらテンションが下がっていたらどうしようと思ったが、心配なさそうだ。

「じゃあ、前回の続きから話そうか」

「はい、お願いします!」

 はじめは普段通りに復習を始めた。

 正直なことを言うと、この復習は全く持って無意味だ。

 わかっていることをわからないと嘘をつき、同じところを何度も復習しているのだから。

 でも、秘密を暴くという側面から見れば、意味のあることなのかもしれない。

 熱心に教えてくれる先生が、少し気の毒になった。

「つまりここは、当時の市民たちが・・・」

 流暢に語り続ける先生。全く聞いてない僕。

 その後30分に及んで続いた空白の時間は、チャイムの音と共に終了した。

「まあ、これくらいだな。大体中学の範囲は網羅できたぞ」

「はい、ありがとうございました!」

 教科書を閉じ、ふうと一息つく先生。

 話すなら今だ。

「いやあ、入学して早々心配事が色々ありましたが、こんな優しい先生に出会えてよかったです」

「おお、そうかそうか。先生でよかったらいつでもなんでも聞いてやるぞ!」

 30分話し続けたというのに、声のトーンは変わっていない。

 しかし、初めの頃よりも明らかに表情が硬くなり、身振りがなくなっている。

「それが、実は悩み事があって」

「ほう、良かったら聞かせてくれ」

「はい、僕昔から人と話すのが苦手で、友達もまだあまりできていないんですよ。周りのみんなは仲良さそうに見えるので余計に不安になって・・・」

 もちろん、嘘である。

 しかし先生は眉間にしわを寄せて、考え込むしぐさをする。

「そうか、人間関係はなかなか大変だよな。でも心配するな、来週クラス別のチームで球技大会がある。先生はもう5年ほどこの学校に居るが、ほとんどの新入生はそこで友達ができている。自分から話しかけれなくても、チームとなれば自然と会話ができるさ!」

 そう話しながら自分で頷き、窓の外を眺める先生。

「高校生はあっという間に終わるぞ~。勉強もいいが、部活に友達、そして恋! なんちゃってな!」

 はははと笑いながらそう言う先生。しかし先生の方から恋愛に関する話題を出してくれたのは願ってもないチャンスだ。

「先生は、恋したりしますか?」

「先生か? 先生は先生だからな、恋する余裕なんてないな、お前みたいな生徒がいるしな!ははは」

 まばたき8回。鼻を掻くしぐさ。

 どちらも動揺しているときに出る仕草だ。

 言葉で隠そうとすればするほど、表情や身振りに現れる。

「ほんとですか? 先生は優しいですし、体格もいいですから絶対モテると思ったのに」

「そんなことないだろ~」

「いえいえ、ありますよ。生徒からも人気ありますし」

「え? そうなのか?」

「はい! みんな先生が独身なのが不思議だと言ってましたよ」

 中年男性が高校生に褒められて照れている様子はどこか見苦しかったが、最後にストレートに聞いてみることにした。

「春日先生とか、お似合いだと思いますけどね~。どうですか?」

 瞬間、先生の顔の筋肉が硬直する。

「どうって言われてもな~、ははは」

 右手で眉毛のあたりを触りながら、目を隠す。

 目を塞ぐ動作は、何か脅威を目の当たりにしたり、隠し事をしている時だ。

 その後両腕を組んで先生は言った。

「まあ、今日は先生もこの後予定があるし、これくらいにしておくか」

 こうして足立先生は逃げるように去っていった。

「先生、わかりやすいな」

 これだけしぐさに出ると、ほぼ自分で答えを言っているようなものだ。

 僕はスマホを取り出し、先輩のトークを開いた。

 そして「黒」とだけ送信した。
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