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本をそっと閉じるように、扉をパタンと閉じるように、物事を終わりにさせなきゃならない事が人生にはいくつもある。
タイミングや時期などは分からないけれど、終わらせたことすら気づかない事もあるかもしれないけれど、確実にそれはあるんだ。
ベッドに入り眠りにつく時、知人たちを家に招きパーティーをする時、はたまた何も特別なことが無い平凡な日常を送る時ですら、人は自分が過ごす時を充実させたいと心のどこかで願うし、自分の心を満たしたいと日々期待するものだなとつくづく思うわけだが。
さて、そんな事はどうでも良く、今日話したいことは、ある夢についてだ。願いや願望の方の夢ではなく、皆平等に寝ている時に見るあの夢だ。
本をそっと閉じる時、扉をパタンと閉じる時に何故か私は、昔見たある夢を思い出すんだ。
目を開けると、そこは自分の知らない土地であった
周りを見渡しても建物のようなものは無く、ただポツンと1本の程よい大きさの木があるだけだ。
不思議な光景、不思議な空間に私はすぐに、いま夢の中にいると認識することが出来た。
それならばと恐れを抱く事も無く、その1本の木に近づいてみるとその木からは不思議なものが沢山生えていた。
手に取って見てみると、なんと子供たちが大好きなぺろぺろキャンデーでは無いか。そのキャンデーを舐めると味も格別に美味しい。
「私は当時、実家も貧しく、自分自身も駆け出しの若者であった故、それはもうひもじい毎日を送っていたんだ。きっとそのせいもあってそんな夢を見たんだろうね」
キャンデーのなる木は、キャンデーのなる木では無かった。他のものを手に取って見てみると、チョコレートや、蜂蜜、ゼリービーンズに、チューインガム、あらゆるお菓子がその木になっていた。それにその木の横を見てみるとなんと、腰掛けが置いてあるではないか。
これは、使わないわけにもいかないとそこに腰を下ろし、しばらくの間、色々なお菓子を堪能していた。
しかし、それもすぐには飽きてしまうのが人ってものだ。
次は、乾いた喉を潤すために、ジュースが欲しくなり、他のところに移動しようと思ったが、辺りを見渡してみると、目的のものは自分のすぐ足元にある事に気づいた。
そこには、ジュースの水たまりがあったのだ。
もう気づいているだろうが、私が次に欲しくなったのは食事だ。どういう展開になったと思う?
私の隣にテーブルがあり、その上には何も置いていないお皿があったんだ。
そして、その皿の上に、何処からか迷い込んできたニワトリが、丸焼きになり味つけされた状態で近づいてきて、まるで「さぁ、私を早くお食べ」と言わんばかりに、皿の上に着座したんだ。もちろん有難く頂いたさ。
次に欲しくなるのはなんと言っても、女だろうな。
ここまでの欲望を満たせる場所なんだ、そりゃ求めて当たり前だろう。
ただ、その願いは何故か叶わなかったのだ。
いや、目の前に人は現れたのだが、それは女性では無かった、恐らくだけどな。
何故恐らくかって?そりゃ、その人が深くフードを被り、体にはマントのような布を覆っていたからさ。
顔も見えなけりゃ、髪も見えない、オマケに私の大好きな胸の膨らみも見えないんだ。いやいや、君をやらしい目で見たりはしてないよ、少なくとも仕事場ではね。
職場でしか合ってない?今のあなたの手は何かって?全く、そんな細かいことはいいじゃないか。
さて、話の続きなんだが、ここまではかなり幸福な夢なんだが……ここからは話が代わってくる。
その人物は、私を認識するなり何処からか持ってきたナイフを私の胸に突き刺したのだ。
これで、夢はおしまい。
では無く、びっくりすることに私は死ななかったのだ。
何なら、怪我を負う事も無かった。しかし、この夢の世界ではそういうきまりなのか、腰掛けに腰を下ろすことは許されなくなり、代わりにその人物が腰を下ろした。
全くけしからん話だ、君のような勇猛で忠誠心溢れる女騎士だったら、私をもっと満たしただろうに。
その人物はまるで、さっきまで私の行動を見ていたかのようにすいすいとその木の周辺に発生する物を手に入れ、何処からか呼んできた他の人々に分け与えた、何時しかそこに色々な人が集まり、栄えながらも色々な幸福と色々な問題を抱えることになった。
その時私はその場にはいなかった。
「という夢なのだが、どういう訳かたまにふと思い出すんだ。ただ、あれは幸せな時間でもあったから実現できるならさせたいなぁと思うんだが、マルクス・ウルトゥスよ、君ならどう考えるかね?」
「貴方様の事ですから、実現しようと思えば出来るでしょう、いえ、もしかしたらもう実現している途中かもしれませんよ。そうだとしたら私としても、とても喜ばしいことですわ。」
そういう割には、彼女の顔は少し青ざめていた。
その事に私が気づくのは、大分と後のことだった。
スラム・フリークヴェルヌ1世【回顧録】<15章 陰りの足音>___マルクスとの会話
タイミングや時期などは分からないけれど、終わらせたことすら気づかない事もあるかもしれないけれど、確実にそれはあるんだ。
ベッドに入り眠りにつく時、知人たちを家に招きパーティーをする時、はたまた何も特別なことが無い平凡な日常を送る時ですら、人は自分が過ごす時を充実させたいと心のどこかで願うし、自分の心を満たしたいと日々期待するものだなとつくづく思うわけだが。
さて、そんな事はどうでも良く、今日話したいことは、ある夢についてだ。願いや願望の方の夢ではなく、皆平等に寝ている時に見るあの夢だ。
本をそっと閉じる時、扉をパタンと閉じる時に何故か私は、昔見たある夢を思い出すんだ。
目を開けると、そこは自分の知らない土地であった
周りを見渡しても建物のようなものは無く、ただポツンと1本の程よい大きさの木があるだけだ。
不思議な光景、不思議な空間に私はすぐに、いま夢の中にいると認識することが出来た。
それならばと恐れを抱く事も無く、その1本の木に近づいてみるとその木からは不思議なものが沢山生えていた。
手に取って見てみると、なんと子供たちが大好きなぺろぺろキャンデーでは無いか。そのキャンデーを舐めると味も格別に美味しい。
「私は当時、実家も貧しく、自分自身も駆け出しの若者であった故、それはもうひもじい毎日を送っていたんだ。きっとそのせいもあってそんな夢を見たんだろうね」
キャンデーのなる木は、キャンデーのなる木では無かった。他のものを手に取って見てみると、チョコレートや、蜂蜜、ゼリービーンズに、チューインガム、あらゆるお菓子がその木になっていた。それにその木の横を見てみるとなんと、腰掛けが置いてあるではないか。
これは、使わないわけにもいかないとそこに腰を下ろし、しばらくの間、色々なお菓子を堪能していた。
しかし、それもすぐには飽きてしまうのが人ってものだ。
次は、乾いた喉を潤すために、ジュースが欲しくなり、他のところに移動しようと思ったが、辺りを見渡してみると、目的のものは自分のすぐ足元にある事に気づいた。
そこには、ジュースの水たまりがあったのだ。
もう気づいているだろうが、私が次に欲しくなったのは食事だ。どういう展開になったと思う?
私の隣にテーブルがあり、その上には何も置いていないお皿があったんだ。
そして、その皿の上に、何処からか迷い込んできたニワトリが、丸焼きになり味つけされた状態で近づいてきて、まるで「さぁ、私を早くお食べ」と言わんばかりに、皿の上に着座したんだ。もちろん有難く頂いたさ。
次に欲しくなるのはなんと言っても、女だろうな。
ここまでの欲望を満たせる場所なんだ、そりゃ求めて当たり前だろう。
ただ、その願いは何故か叶わなかったのだ。
いや、目の前に人は現れたのだが、それは女性では無かった、恐らくだけどな。
何故恐らくかって?そりゃ、その人が深くフードを被り、体にはマントのような布を覆っていたからさ。
顔も見えなけりゃ、髪も見えない、オマケに私の大好きな胸の膨らみも見えないんだ。いやいや、君をやらしい目で見たりはしてないよ、少なくとも仕事場ではね。
職場でしか合ってない?今のあなたの手は何かって?全く、そんな細かいことはいいじゃないか。
さて、話の続きなんだが、ここまではかなり幸福な夢なんだが……ここからは話が代わってくる。
その人物は、私を認識するなり何処からか持ってきたナイフを私の胸に突き刺したのだ。
これで、夢はおしまい。
では無く、びっくりすることに私は死ななかったのだ。
何なら、怪我を負う事も無かった。しかし、この夢の世界ではそういうきまりなのか、腰掛けに腰を下ろすことは許されなくなり、代わりにその人物が腰を下ろした。
全くけしからん話だ、君のような勇猛で忠誠心溢れる女騎士だったら、私をもっと満たしただろうに。
その人物はまるで、さっきまで私の行動を見ていたかのようにすいすいとその木の周辺に発生する物を手に入れ、何処からか呼んできた他の人々に分け与えた、何時しかそこに色々な人が集まり、栄えながらも色々な幸福と色々な問題を抱えることになった。
その時私はその場にはいなかった。
「という夢なのだが、どういう訳かたまにふと思い出すんだ。ただ、あれは幸せな時間でもあったから実現できるならさせたいなぁと思うんだが、マルクス・ウルトゥスよ、君ならどう考えるかね?」
「貴方様の事ですから、実現しようと思えば出来るでしょう、いえ、もしかしたらもう実現している途中かもしれませんよ。そうだとしたら私としても、とても喜ばしいことですわ。」
そういう割には、彼女の顔は少し青ざめていた。
その事に私が気づくのは、大分と後のことだった。
スラム・フリークヴェルヌ1世【回顧録】<15章 陰りの足音>___マルクスとの会話
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