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騎士団長の父と第1騎士団の兄コモン

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 家に帰ると、両親と兄たちに一部始終を話した。

 父は騎士団長、一番上の兄コモンは第2騎士団長を務める騎士一家だ。
 ちなみに2番目の兄シャープは騎士科で一番の成績を上げて昨年から王太子殿下の近衛騎士になった。

「で、お前はミリア嬢を助けるために第2王子殿下を足蹴にしたということだな。しかもそれを誰からも見られてはいないと」
「そうなのですわ」

 護衛は見ていたような気がするけれど。
 だが王子の護衛と言えばお父様の顔が利くから、おいそれと本当のことは言わないかも。

「誤魔化せたならいいと思うよ、父上。王太子殿下なら誤魔化しは無理だ。だが、あの第2王子はミリア嬢のフォローがあってこそ一人前だろう。誤魔化しはいくらでもきく」
 質実剛健を地で行く長兄のコモンがフォローをする。

「それにしても、あれだけ綺麗で清楚で頭もよく性格もいいミリア嬢のどこが不満でほかの女に手を出そうと思うんだ。信じられんな。第2王子のフォローができる令嬢などいないだろう、他に。ミリア嬢以上の令嬢など見たことがないぞ。俺なら飾って眺めていたいくらいだ」
 コモンは不可思議そうに頭を傾げる。

「まあ第2王子だからな。……フィーネが殴った時、その現場を見た可能性があるのは第2王子の護衛だろう。俺の悪友が結構いる。何とか丸め込んどくさ。これが王太子殿下の護衛になるとごまかしも何もきかないが」
 バイウエル王太子殿下の近衛騎士である次兄シャープが笑う。

「ありがとうお兄様たち。お父様もよろしくお願いします」
 フィーネはニコリとほほ笑んで父と兄を見る。

 大柄で筋肉質な父の側には華奢で小柄な少女のような母が座る。
 この母から父と変わらぬ大きなコモンとシャープが生まれたとは周囲だけでなくフィーネにも信じられない。
 ちなみにフィーネは母譲りの華奢さと少女のような容貌を遺伝した。
 父はそんなフィーネを猫可愛がりに可愛がっている。

 父は小さくため息を吐いて小さく呟いた。
「おかしいな。
兄二人が大柄で力も強く男らしかったから最後に生まれた小さく華奢なフィーネは女の子らしくと育てたはずなのに。淑女教育をと強く言ったはずだが。これじゃあ、コモンやシャープと変わらないじゃないか」
 平然とした顔でフィーネは呟きを聞き流した。

「まあ、王宮へ行って状況判断してからその後のことは決めようか。私は人の裏をかいたりするほどのことは考えつかん」
「まあ、その時の護衛をしていた騎士には俺からも話をつけておこう。任せとけ」
 長兄コモンが笑いながら父と馬に乗って早がけで王宮へと出勤していった。



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