チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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閑話16 情けない(side:宰相)

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『小僧、それなりの覚悟があっての発言だろうな?』
屑の決まり文句とでもいうように発せられた言葉をできることなら聞かなかったことにしたい
もっともそんなことがかなうはずもないのだが…
「…あれはヒブラド男爵ですね」
貴族というだけで平民を奴隷のように扱うものが一部とはいえまだ存在する
法を整備し、取り締まりを強化したことでかなり減ってはいるものの、まだ選民意識が強いだけの者はいるのだ
根付いた意識はそう簡単に変えることはできないということだろうか…
「貴族でいる価値もないな」
即そうこぼした陛下にそばにいた他の貴族たちがざわついた

『貴族だから偉いと思ってるみたいだけど俺は別にこの国に何の愛着もない。あんたらに嫌気がさせばよその国に行くだけだけど?』
シアの言葉にそれが実現したらどうなるか理解できる者たちが静まり返る
「これはさすがに止めたほうがよろしいのでは?」
私も嫌な汗が流れるのを感じながら陛下に尋ねる
シアが他国に行くということは『弾丸』を取り巻く冒険者たちがそろって他国に行くと同義である
その事態に陛下が口を開こうとしたときだった

『いっそ呪いの範囲に俺達を利用しようとたくらむ馬鹿を加えるのもいいかもしれないな』
シアのつぶやきに再び会場内がざわついた
その中でもヒブラドは引っ込みがつかなくなったようだ
『や、やれるものならやってみるがいい!お前らを後ろ盾しているスチュアート殿にも現れるかもしれんがな!』
売り言葉に買い言葉よろしく言い返しているが…
「どうなるか見ものだな」
陛下を見るとにやりと黒い笑みを浮かべていた
まずいと思った周りが止めようとするもすでに遅かった
シアは『なら、やってみよう』と軽い一言を漏らしてから呪いを発動したのだ

「なんと…」
心臓を起点として四方八方に伸びる黒い蔦
それが会場内のかなりの者に現れたのだ
『ちなみにこれ、刺青の範囲が俺達を利用しようとする気持ちの大きさを表してるから』
シアの言葉に改めて周りを見ればかねてより問題のあった者を中心に広範囲の蔦が現れていたのだ
「なんとも情けない…」
「これがこの国の貴族の現状とは…だが、おかげで掃除は楽そうではあるな」
『シアには感謝せねばならんな。これほどわかりやすい証拠はそうそう手にすることは出来ん』
心なしか弾んだ声に口元が緩みそうになったのを何とか堪えた
陛下もこれまでもどかしい思いをされてきたのを知っているだけにシアには感謝しかない

「先の事件があったにも関わらず未だに彼らを利用しようとする愚者は国の中枢には不要でしょう。当分忙しくなるでしょうが新体制を敷けると思えば問題ないでしょう」
地位と権力だけは持っている能無しのおかげでこれまでさんざん苦労してきたことを考えればその大半が消えてくれるのは喜ばしい
情けない貴族が多い現実には呆れたが結果的にまたシアに助けられたようだ
これからもシアが活動しやすいように陰ながら助力しようと心に決めたのは言うまでもない
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