チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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1-29.拡張

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7月27日、15歳の誕生日を迎えた今日、いつもより早く目が覚めた俺に父さんは屋上に来いと言った
「父さん?」
屋上に出たけど誰の気配もない
どうやら俺の方が先に出て来たらしい
特にすることもないのでいつものようにベンチに寝転がる
雲一つないどこまでも青い空が広がっていた

「ここまで青いのも珍しいよな」
これまで数えきれないほどこうして空を見て来たけど、ここまで青1色のきれいな空は見たことが無かった
じっと見ていれば吸い込まれてしまいそうなそんな錯覚さえ覚える
“パタン”
ドアが閉まる音がした

「待たせたか?」
「大丈夫。それより何?」
父さんにそう返しながら体を起こす

「拡張、教えてやる約束だったからな」
「!」
それは以前した約束だった
成人したら教えてやるって、そう言ってたはず
多分俺は浮かれた顔をしてたんだろう
父さんは苦笑しながら俺の頭を小突いた

「インベントリは時空魔法、つまり時間と空間を操る魔法で成り立ってるのはわかるな?」
「うん」
「そして魔法はイメージが全てだというのも分かってるな?」
「勿論」
俺は大きく頷いた

「簡単に言えばインベントリは一つの部屋と思えばいい」
「部屋?」
「そうだ。お前の部屋と同じで扉を開けたらただの空間が広がってる感じだな」
俺は頭の中で何も家具の置かれていない空間をイメージした

「広げる時は自分がその部屋の中に入って壁や天井、床を外側に押し広げるイメージを持てばいい。ただしその際にテントを拡張する時と同じように魔力を流す」
「…モノを出し入れする状態でってこと?」
「そうだ。ものを出す代わりに物が入ってる入れ物を広げる。もしくは大量の物を押し込む感じか」
あ、それは何かイメージしやすいかも

「これ、収納量ってどっかで分かったりしない?」
「言っただろ?すべてはイメージだ」
なんかアバウトな言い方だなぁ…
イメージ…収納量ってことは広さだろ?つまり…
一人も唸る様に考える

「あ、空間自体を倉庫に見立てればいいのか」
「ん?」
俺の呟いた言葉に父さんが首をひねっていることに気付きもせずに俺は巨大な倉庫をイメージした
別に数字で把握する必要なんてない
今どれだけ入ってて、後どれだけ入るのかが分かればいい
そう考えた時、俺の頭に浮かんだのは前に見せてもらった事のある商会の倉庫だった
さっきまでの漠然としたイメージじゃなく倉庫とそこに入ってる物が並んでいるイメージを描く

「こっちを広げて…ここは棚にして…」
「棚?」
「うわ、これ滅茶苦茶楽しい」
だだっ広い空間でしかなかった倉庫の中に仕切りや棚で区切った空間を作れば、自分が倉庫番になったかのような錯覚に陥る

「父さん、これ、部屋区切ったら時間遅延も分けれたりする?」
「は?」
「え?」
意味が分からんとでもいう顔をされて俺は首を傾げる

「インベントリを巨大な倉庫に見立てて、その中に仕切りとか棚とかイメージしたとおりに作るまでは出来たんだけどさ、壁で完全に区切って別の倉庫にしたら異なる時間遅延の設定も出来んのかなって思ったんだけど」
「ちょっと待て」
「え?」
「仕切りと棚ってなんだ?インベントリはただの空間でしかないはずだろ」
「え?でもイメージ次第だって言ったじゃん」
「…」
「容量が知りたいって言っても今入ってる量より空いてる量が知りたいだけだし倉庫みたいにちゃんと整理して入れたらわかりやすいと思って」
何か間違ったか?
でも出来たし間違ってはいない…よな?

「俺もだが大抵の場合容量はゲージを使ってるはずだ」
「ゲージ?あぁ、全体量に対して入ってる部分を指す…あれ?」
言いながら父さんの想像してたものと俺の感覚があまりにもずれていたことに気付く
魔法はイメージが全て
イメージは人によって違う
そして俺と母さんはこの世界の人と持つイメージが異なる
そんな当たり前のように理解していたことを改めて突き付けられた気がした

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