チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜

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4-155.家づくり

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「それで、私だけを呼んで何をさせたいのかしら?」
頼んで来てもらった母さんは到着するなりそう言った
「そんな呆れなくてもいいじゃん」
「呆れたくもなるわよ。どう見てもこっちの世界の家じゃないでしょ」
「それは今の家だって同じじゃ…」
「少なくとも、外見だけはこっちに合わせてるわよ?」
「ぐ…」
母さんの言葉に言い返せない
確かに中はとんでもない家だけど外から見た感じはこの世界のものに近い
といっても平民ではなく貴族の屋敷と言ってもいいような洋風建築に近いものだけど…

 
対して俺の家は打ちっぱなしのデザイン住宅みたいな感じ

こっちではまだ見かけたこともない
 
「形はともかくクリコートはこっちのだし問題ないだろ?ただその外側にタイルやレンガの壁材を使ってないだけだし…」
「…そうね。まぁ、ここは結界もあるから問題ないとは思うけど、自覚はちゃんとしときなさいよ?」
「わかった」
実際結界があるからと好き放題した事は母さんには見抜かれていたらしい

「で、私は家具を作ればいいのかしら?後は魔道具?」
「頼める?」
「もちろんよ。息子と娘になるレティシアナのためだもの。シアの事だから図面には起こしてあるんでしょう?」
「ああ。主に家具なんだけど…」
俺はリビングの応接セットや寝室のベッドを含む家具のイメージ図と、サイズや色を書き込んだ簡単な図面もどきを取り出した
「あら、このソファーいいわね」
母さんは時々後で自分のも作ろうかしらとつぶやきながら家具を量産していく
俺は事前に購入していた特注で作ってもらったカーペットやカーテンを設置する
それが済むと冷蔵庫やコンロ、洗濯機なんかの家電製品と同等の機能を持つ魔道具の設置に移った
勿論電気に変わる魔道具や水回りのトイレや風呂も設置する
これは以前から母さんと一緒に造ってたものだ

「ところで、どうしてレティと一緒に選ばないの?」
「話はしたんだけどさ、レティ自身が“自分の家”で暮らした覚えがないから任せるって。希望を聞いてもそもそも土台となるイメージが無いからわからないってさ」
「そう言えばあの子は…」
普段の穏やかな表情で忘れがちだけどレティは追手から逃れる様に暮らしていた
すぐに場所を移れるよう最低限の物だけを持つ生活だったはずだ
母さんもそのことを思い出したんだろう

「だから一旦俺が全部用意して、暮らしながら変えて行こうってことになったんだ」
「なるほどね…」
「引っ越しの日までレティはここには来ない」
「当日見てのお楽しみってこと?」
「そういうこと」
俺がニヤリと笑うと母さんが呆れたように苦笑した

「レティシアナがそれで納得してるなら私がとやかく言うことは無いわね。まぁ、あなた達には長い時間があるからそのうちレティも好みが出て来るでしょ」
「そう願うよ」
レティがシャノンの様に色んな面で望みを言ってくれるようになればいい
今は俺の好みだけで作ってるこの家がレティの好みも混ざり合ったモノに変わる事を想像してどこか照れ臭くなった
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