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15.ミュラーリアの婚姻の形
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レイにプロポーズされてから、私の周りはバタバタとしていた
町に行くたび祝いの言葉や贈り物をもらい、もみくちゃにされながらもそのたびに幸せだと感じる
家の中は既にお祝いでもらったもので溢れていた
「今日は何貰ったんだ?」
今日持って帰ってきたものの包みを開けているとレイが覗き込んでくる
「こっちはお酒みたい」
重みからそんな気はしてたけどと笑いながらレイに渡す
冒険者に酒のみが多いせいか贈り物の中身はお酒が多い
「結構な種類だな」
貰ったお酒を並べてある棚に置いてレイは言う
既に30本以上が並んでいる中に被るものはない
「ここまでばらけるってことは酒屋が手を回してんな」
「どういうこと?」
「めったに出回らない酒もあるし銘柄被ってんのもシリーズだ。普通じゃありえない」
「それは…ありがたいことだね?」
そんなところでも人の気づかいを感じてくすぐったくなる
「まぁそう言えなくもないな。当分色んな酒が楽しめそうだ」
レイはエール以外のお酒はそれほど強くないものの基本的にお酒は好きらしい
カルムさんが買ってくるお酒がいつも違うのを楽しんでいるのも特別なこだわりがないからなのかもしれない
かといって味の違いが分かっていないわけでもないのだが
「これだけあるといろんなお酒で味の飲み比べが出来そうだね」
「飲み比べ?量じゃなく味?」
なんだそれとでも言いたそうな目をしている
「こっちではしないのかな?」
「少なくとも聞いたことはないな」
「そうなんだ…例えばこのシリーズのお酒の中で自分の好きなのはどれか実際に飲んで確認する…みたいな?」
さっきレイが銘柄が被っていると言っていたお酒を指して言う
「なるほどな。それは確かに面白そうだ。量飲む必要もないしな」
「でしょう?私よく梅酒でやってたんだよね。漬け込むお酒が日本酒だったりブランデーだったり…」
「そういや何種類か作ってたな?」
「こっちの梅やお酒が同じとは限らないからね。でも多少風味は違ったけど私はブランデーベースが一番好きかな」
「…どれがブランデーベースかがわかんねぇ」
レイは苦笑しながら言う
「じゃぁ今度やってみる?今4種類あるし」
「そうだな。あいつらが来た時にしたらより楽しめるか?」
「そだね。みんなも結構梅酒気に入ってくれたみたいだしね」
「ほかにも比べれそうなのがどれだけ揃うか楽しみだな」
改めて棚を見ながら言うレイはどこか嬉しそうだ
「こっちはタオルの詰め合わせ」
「定番だな」
「そうなの?」
「ああ。消耗品が一番喜ばれるからな。商売人も冒険者もタオル関係はいくらあっても邪魔にはならない」
どこの世界でも似たようなものなのかもしれない
「それにいくら祝いと言っても上等なものを贈れる家は多くない」
「上等じゃなくてもその気持ちが嬉しいけどね」
そう言うと何故か口づけが落ちてきた
「こういうのってお返しとかしなくていいの?」
「お返しとかは聞かないな」
「そっか…」
何となく申し訳ない気がしてしまう
「そんなに気になるならギルドの食堂借りて料理でも振舞うか?」
「え?」
「もらいっぱなしがイヤなんだろ?」
当たり前のように言われて驚いてしまう
「何で…」
「ずっと見てりゃわかるよ」
驚くのはそこなのかと呆れたように言われてしまった
「今度ギルマスに交渉するか?」
「する!でも許してもらえる?」
「ふっ…心配しなくても喜ばれると思うぞ」
「そうかなぁ?」
「お前の料理のうわさは結構広がってるからな」
「へ?」
予想もしていなかった事だけに間抜けな返しをしてしまった
「あいつらが言いふらしてるな」
「えー」
「そんな顔すんなって。まぁパンの件でもお前の名前が出てるな」
「…」
「大丈夫だよ。余計なのが絡んで来たら俺もカルムもいるだろ?」
サラッとそういうレイはやはり私の考えることなどお見通しのようだ
「…じゃぁいっぱい作ろっかな。何がいいかな?」
「見れば作り方が分かる様なのがいいんじゃないか?それなら変に目もつけられないだろ」
「サンドイッチみたいな?」
「ああ。それならお前の望んでるように町のみんなも今より食事を楽しめる」
「レイ…」
どこまでも気持ちを汲み取ってくれるらしい
そんなレイとこれからも一緒に過ごせるのだと思うと喜びが溢れてくる
レイとどんな料理にするか考えながら贈り物を開け、楽しい時間を過ごしていた
町に行くたび祝いの言葉や贈り物をもらい、もみくちゃにされながらもそのたびに幸せだと感じる
家の中は既にお祝いでもらったもので溢れていた
「今日は何貰ったんだ?」
今日持って帰ってきたものの包みを開けているとレイが覗き込んでくる
「こっちはお酒みたい」
重みからそんな気はしてたけどと笑いながらレイに渡す
冒険者に酒のみが多いせいか贈り物の中身はお酒が多い
「結構な種類だな」
貰ったお酒を並べてある棚に置いてレイは言う
既に30本以上が並んでいる中に被るものはない
「ここまでばらけるってことは酒屋が手を回してんな」
「どういうこと?」
「めったに出回らない酒もあるし銘柄被ってんのもシリーズだ。普通じゃありえない」
「それは…ありがたいことだね?」
そんなところでも人の気づかいを感じてくすぐったくなる
「まぁそう言えなくもないな。当分色んな酒が楽しめそうだ」
レイはエール以外のお酒はそれほど強くないものの基本的にお酒は好きらしい
カルムさんが買ってくるお酒がいつも違うのを楽しんでいるのも特別なこだわりがないからなのかもしれない
かといって味の違いが分かっていないわけでもないのだが
「これだけあるといろんなお酒で味の飲み比べが出来そうだね」
「飲み比べ?量じゃなく味?」
なんだそれとでも言いたそうな目をしている
「こっちではしないのかな?」
「少なくとも聞いたことはないな」
「そうなんだ…例えばこのシリーズのお酒の中で自分の好きなのはどれか実際に飲んで確認する…みたいな?」
さっきレイが銘柄が被っていると言っていたお酒を指して言う
「なるほどな。それは確かに面白そうだ。量飲む必要もないしな」
「でしょう?私よく梅酒でやってたんだよね。漬け込むお酒が日本酒だったりブランデーだったり…」
「そういや何種類か作ってたな?」
「こっちの梅やお酒が同じとは限らないからね。でも多少風味は違ったけど私はブランデーベースが一番好きかな」
「…どれがブランデーベースかがわかんねぇ」
レイは苦笑しながら言う
「じゃぁ今度やってみる?今4種類あるし」
「そうだな。あいつらが来た時にしたらより楽しめるか?」
「そだね。みんなも結構梅酒気に入ってくれたみたいだしね」
「ほかにも比べれそうなのがどれだけ揃うか楽しみだな」
改めて棚を見ながら言うレイはどこか嬉しそうだ
「こっちはタオルの詰め合わせ」
「定番だな」
「そうなの?」
「ああ。消耗品が一番喜ばれるからな。商売人も冒険者もタオル関係はいくらあっても邪魔にはならない」
どこの世界でも似たようなものなのかもしれない
「それにいくら祝いと言っても上等なものを贈れる家は多くない」
「上等じゃなくてもその気持ちが嬉しいけどね」
そう言うと何故か口づけが落ちてきた
「こういうのってお返しとかしなくていいの?」
「お返しとかは聞かないな」
「そっか…」
何となく申し訳ない気がしてしまう
「そんなに気になるならギルドの食堂借りて料理でも振舞うか?」
「え?」
「もらいっぱなしがイヤなんだろ?」
当たり前のように言われて驚いてしまう
「何で…」
「ずっと見てりゃわかるよ」
驚くのはそこなのかと呆れたように言われてしまった
「今度ギルマスに交渉するか?」
「する!でも許してもらえる?」
「ふっ…心配しなくても喜ばれると思うぞ」
「そうかなぁ?」
「お前の料理のうわさは結構広がってるからな」
「へ?」
予想もしていなかった事だけに間抜けな返しをしてしまった
「あいつらが言いふらしてるな」
「えー」
「そんな顔すんなって。まぁパンの件でもお前の名前が出てるな」
「…」
「大丈夫だよ。余計なのが絡んで来たら俺もカルムもいるだろ?」
サラッとそういうレイはやはり私の考えることなどお見通しのようだ
「…じゃぁいっぱい作ろっかな。何がいいかな?」
「見れば作り方が分かる様なのがいいんじゃないか?それなら変に目もつけられないだろ」
「サンドイッチみたいな?」
「ああ。それならお前の望んでるように町のみんなも今より食事を楽しめる」
「レイ…」
どこまでも気持ちを汲み取ってくれるらしい
そんなレイとこれからも一緒に過ごせるのだと思うと喜びが溢れてくる
レイとどんな料理にするか考えながら贈り物を開け、楽しい時間を過ごしていた
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