[完結]ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました

真那月 凜

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45.妖精

3

翌朝バルドはいつもより早く目を覚ました
まだ誰も起きていないらしい
「水やり…」
特にすることもなく自然とその足は庭に向いていた
いつものように庭に出て庭の花や木に水をやろうと思ったのだ

「え…?」
綺麗に咲き誇る朝顔の中に光るものを見つけた
フワフワと漂うように揺らめくその光は5センチくらいの大きさだ
そっと手を伸ばしてみるとその手のひらにふわりと降り立った

「…」
バルドはただまっすぐにその光を見た

「おはようバルド」
「!」
突然背後から声をかけられ思わずその光を握りつぶしそうになるのを何とか耐えた

「おはよサラサ姉ちゃん」
「あら、妖精?」
「よう…せい?」
かけられた問いに問い返す

「あなたの手の中、地属性の妖精さんでしょ」
私はそう答えながら覗き込む

「この辺結構いるんだけどその子は初めて見たかな…初めまして妖精さん」
私が妖精に向かって言うと彼はにっこり微笑んだ

『キミがサラサ?みんなが噂してたんだ。優しい魔力を持った人間だって』
「あら。そんなことを?」
「…サラサ姉ちゃん何一人でしゃべってんの?」
バルドが首をかしげる

「あ、バルドは光にしか見えない?」
「うん」
『サラサ、ボクこの子と契約したい』
「え!?」
『だめかな?』
「それは私の許可は関係ないと思うよ。バルドの魔力はそんなに高くないから今は光にしか見えてないんだけど…契約したら姿が見えたりするのかしら?」
『もちろん。姿も見えるし話もできる』
「どうしてバルドなの?」
『この子が竹細工に夢中になってくれてるから』
「ひょっとしてあなたは竹の妖精?」
『当たり。だからサラサから聞いてみてくれないかな?』
彼の言葉に私は頷いてバルドを見る

「バルド、この光は竹の妖精さんなの」
「竹の妖精…?」
「そう。その妖精さんがね、バルドと契約したいって言ってるんだけどどうする?」
「契約って?」
「そうねぇ…」
私は彼を見た

『見返りはいらないよ?この子の側は落ち着くからボクがこの子のそばにいたいだけ』
「そばにいたいんだって」
「僕何もできないよ?それでもいいなら…」
バルドがそう言った途端澄んだ空気に包まれた

『始めましてバルド。ボクはシナイ』
彼、シナイはバルドの周りをクルクルと飛んで回る

「すごい…姿が見えるし言葉も聞こえる」
『これからそばにいてこうして話がしたいんだ』
「うん。そんなことでよければ大歓迎だよ」
バルドは嬉しそうに言う

「良かったわねバルド、新しいお友達ができて」
「うん。シナイこれからよろしくね」
『こちらこそ』
「よし、じゃぁそろそろ朝ごはんの準備しようかな。シナイも何かいる?」
『大丈夫。この家の周りにハーブがいっぱいあるから』
「シナイはハーブが好きなの?」
『大好物だよ』
「じゃぁ摘まない方がいい?」
バルドが尋ねる

『そんな心配はいらないよ。バルド達が摘んだくらいで困るような量じゃないから』
「本当?」
『本当だよ。でもバルドのそういう優しさは嬉しい』
「2人ともいい関係が築けそうね。シナイ、ほかの妖精さんたちにも言ってるけど家には好きに出入りしてくれていいからね。何ならバルドの部屋に住み付いてくれてもOKよ」
『ありがとうサラサ』
シナイに微笑んで返し私は中に入った
そう言えばとバルドのステータスを確認すると妖精の加護が追加されていた

「これはこれでレアね…」
「何がレア?」
突然顔を覗き込まれて後ずさる

「レイ!おはよう。シアもおはよ」
2人の頬に口づける

「で、何がレア?」
「バルドのステータス見てみて」
「バルドの?」
レイは言われるまま確認する

「…妖精の加護ってなんだ?」
「危機的な状況に陥った時に妖精からの支援を受けることができる加護みたいよ」
「何でまたそんなもんが?」
「ついさっきバルドが竹の妖精シナイと契約したの。それもシナイの願いで」
「はぁ?」
レイは唖然とする

「竹細工に夢中になってるバルドの側が落ち着くんですって」
そう言いながら朝食の準備を進める

「それはまた…ってかそう言う言い方するってことはお前も妖精と?」
「妖精もだけど精霊からも祝福はたくさんもらったよ。ステータス表示させようか?バルドご飯できたわよ」
「はーい」
バルドはすぐに中に入ってきた
その肩にシナイがちょこんと座っているところを見ると自然と笑みがこぼれた

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