[完結]召喚に巻き込まれたけど元の世界に戻れないのでこの世界を楽しもうと思います

真那月 凜

文字の大きさ
103 / 317
30.本音(side:王宮 騎士団)

1

ソンシティヴュのあるこのフーシアという世界では、ここ数年魔物の被害が激増している
その中でも冒険者のレベルが芳しくないこのソンシティヴュでは、他国と比べて騎士団にかかる負担が大きいと言われていた
「あー俺もうやめていい?」
20歳過ぎの騎士がぼやく

この日はいつもより狂暴な魔物が多かった
何とか殲滅するも騎士団側には負傷者が多数出ていた
幸い死人は出なかったものの魔物から受けた傷は普通の怪我より治りが遅い
何より、狂暴な魔物には魔力のあるものも多く、その影響は様々である
酷い場合は1か月以上昏睡状態になることもあると言われているのだ
そのことで特に若い騎士たちは不安や不満を押さえ切れなくなってきていた

「ただでさえ休みが取れなかったのに、ダビアとマロニエの抜けた穴なんて簡単に埋められねぇって…」
近くにいた騎士からも愚痴が零される

「泣きごと言ってる暇があったら体のケアをしておけ」
「やってますよ…でも特攻2人がぬけて、王族の専属に3人取られたのに補充無しとかありえないですよ?」
おそらく大半の騎士が内に秘めているだろうことだった
元々精鋭の騎士は15人しかいなかった
その中から正妃ソラセナの護衛に3人が引き抜かれている
通常の騎士の倍以上の動きをする精鋭だけに騎士団としての痛手は大きい
王族としては称号持ち以上が守られるならそれで構わないというのが建前だ

「まぁ、お前の言いたいことも理解できるがな」
「そうでしょう、団長?」
だからこそ若い騎士は、ため息交じりに零された団長の言葉に食いついた

「だとしても、だ。俺たちに出来るのは、力の限り守りに徹することだけだ」
「それは分かってますけど…」
でもやり切れない思いがあるのだとその目が語っていた

「どうせなら勇者か聖女を召喚してくれりゃ良かったのに」
「だよな。何度か歌を聞いたけど歌姫なんて何の役にも立たない」
「その歌姫もオナグル様が囲ってるんだろ?他国に知れたら大問題だよな?」
「問題どころの騒ぎじゃないだろ」
ボソッと零された言葉に静まり返る
歌姫の事に関しては口外しないことを魔道具で誓約させられている
話せるのはせいぜいこの場にいる騎士同士くらいだろう

「歌姫もだけど、正妃もあれだしなぁ…」
「入城してから1か月ちょっとか?」
「もっと長い気がするな。城から脱走しようとしたり離宮に突入しようとしたり…」
「専属になった3人は八つ当たりも酷いって言ってたな」
たまに顔を合わせる出世したはずの3人が、成人したはずなのに幼子の相手をしているようだとうんざりした顔で話すのを何度も聞いた
直接関わらない騎士団ですらうんざりするのだから専属護衛の負担は相当なものだろう

「ダビアとマロニエが断わったとき、なんて勿体ないことを、って思ったけど…あの時の自分を殴りたい」
そう零したのはダビア達と共に最初に指名されたハンソンだった
既に引き受けてしまった以上、専属を外れることができたとしても、王宮内での飼い殺しになることは分かり切っている
専属である以上、本来は知りえない多くの情報を入手する
そんな情報を持った者を外に放つわけがないのだから
そういう意味ではクロキュスは異例の扱いだったのだ
感想 7

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

二度目の召喚なんて、聞いてません!

みん
恋愛
私─神咲志乃は4年前の夏、たまたま学校の図書室に居た3人と共に異世界へと召喚されてしまった。 その異世界で淡い恋をした。それでも、志乃は義務を果たすと居残ると言う他の3人とは別れ、1人日本へと還った。 それから4年が経ったある日。何故かまた、異世界へと召喚されてしまう。「何で!?」 ❋相変わらずのゆるふわ設定と、メンタルは豆腐並みなので、軽い気持ちで読んでいただけると助かります。 ❋気を付けてはいますが、誤字が多いかもしれません。 ❋他視点の話があります。

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった