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第一部第二章幼児期編
第十五話【イメージが重要】
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「よし、とりあえずこの魔法本を読んでみよう!」
とアインスが言い、いつもの庭で本を広げた瞬間だった。
「アインス...僕字読めない...」
「マジか...普段は使わないの?」
「親父も自分の商品の文字と数字が書けるくらいだから教わらなかったよ」
「なるほど...よし!読み書きも最低限できる様になるぞ!」
「おー!」
と言うことでツヴァイが読み書きができない事を知ったので、休憩後の予定は勉強会になった。
因みにツヴァイが特別な訳では無く、一部の国を除いて大体の国は貴族と商人以外は識字率が低い傾向にある。主な理由は使う機会が無いからだ。
仕事で使うと言っても特定の言葉しか使わない為単語は知ってても文法は分からない人が殆どだった。
また、そういった勉強も基本的には神託の儀を終えてからするものである。
アインスは自分の部屋からペンと紙、それと50音表を持って来ると、早速練習を始めていった。
「まずどの字がどう読むのかを覚えて行こう!それと僕のことはこれから先生と呼ぶ様に!」
「はいアインス先生!」
(ノリで言っただけなんだけどな)
アインスとしては冗談だったのだが、ツヴァイが乗ってきた為そのまま続けることにした。
読みに関してはもともと日本語を話す事は出来ていたので、字と読みを対応させればゆっくりでも読めるとアインスは考えていた。
「ぼくの、な、ま、え、は、ツヴァイ、です、まる!」
「やったな!読みに関してはほぼ完璧だぞ!次は書いて覚えるか!それと丸は読まなくて良いからな」
「イェーイ」
(文字は日本語なのに名前は日本人っぽくないから不思議な感じだが、やっぱり子供だからか吸収が速いな)
その後も特に難所もなく順調に進んでいた様に思えたのだが遂に...
「あきた~」
いくら吸収が早いとは言え脳の容量には限界がある。普段使わない部分の脳を使ったと言うこともあり遂に限界が来た。
「ずっと座学で頭使ったしな」
「もっと体動かそうよ~」
「なら魔法について触れていくか」
「やったー!」
ずっと頭を使ったことで頭が疲れたらしいので、更に予定を変更して今度は体力を使う、魔法を教えることになった。
「まず基礎知識からだ、魔法は体内の魔力を使って発動するんだ。そして発動自体はコツを掴めればすぐできる様になる」
「すごーい!」
そう言いながらアインスは手から水鉄砲の様に水を出して見せる。
「ただそこからが重要なんだ。」
アインスは今までの数多くの試行錯誤の末、魔法の法則を見つけていた。
「まず魔法を使うにはイメージが重要だ」
しかしそれはただイメージが強ければ良いのでは無い。
「どうしてその現象が起きるのか、その過程が正確にイメージ出来ないと魔力の変換効率が悪く、弱々しい魔法しか使えないんだ!」
「...アインス先生...難しい」
(しまった...つい熱くなってしまった...)
流石にまだ言葉だけでツヴァイには正確に伝えるのは難しかったので、今度は例を出して説明を試みる。
「例えばツヴァイ、火はどうやって起こるの?」
そう言いながら今度は手の上で火を出す。
「火?」
「他にも水は何で出来てるの?風の正体は何?土はどうやって出来たの?」
そもそも水や土は物体なのに対して火や風は現象である。つまりこれら属性は、この世界の人間が勝手に想像して作った分類であると言う事がわかる。
正確に言うとそれも少し違うのだが、アインスはまだそこまで気づいてはいない。
「まぁまず最初はただ魔力の感覚を掴むところから始めよう」
そう言ってアインスは一枚の紙を渡す。
「これは?」
「魔術用紙だよ、魔力を感じるならまず魔術で練習だ」
「魔術が先なの?」
「実はこれ僕が魔術回路を書いた魔術用紙で、魔力を吸い取る様になってるんだ」
魔術回路はアインスが今、最も興味を持っている分野で、最も勉強している分野でもある。
いわゆる魔法陣の様な形で、その形や模様によって効果が変わってくる。
回路の形によって、飛ばす系か、その場で発動する系か、バフ系か、など、数多の系統を決め、更に外側から順番に対象、大きさ、威力、魔力濃度、実行する現象・物体、発動条件を書いていく。また、特殊な条件を使用する物も稀にある。
魔術用紙に関しては、ただの魔術回路が描きやすくて魔力伝導率も高いが、お値段が少し高い紙だ。
「これを持てば良いの?」
「うん、僕が発動に必要な魔力を出すからツヴァイは持ってるだけで良いよ」
アインスはツヴァイが魔術用紙を持ったのを確認して、魔力を少し通す。
最初の頃はこの魔力量でも汗が出るくらいアインスの魔力量は少なかったが、毎日の努力で少しずつ上がってきていた。
「...なんか吸われてる感じする...」
「それが魔力だな」
因みにこの回路には使用者の魔力残量が減ると自動的に切れる様に出来ている為、魔力枯渇で倒れる事はない。
しばらくしてツヴァイの魔力が少なくなったのか、魔術回路が止まる。
「なんかいきなり凄い疲れた気がする」
「なんとなく魔力の感覚が分かったか?」
「うん、なんか変な感じだけど」
「よし、なら次はこれだな」
次にアインスは例の無属性のスライムを手渡した。
「なにこれ?」
「これはまぁ魔力の塊みたいな物だね」
その見た目は前の薄灰色では無く、濁った紫色をしていた。
「これは無属性魔法で出したスライムに魔力を限界まで詰め込んだ物だから魔力をこれ以上流す事はできない」
「これで何するの?」
「今回はこれを捏ねて遊んでもらう」
そう、これもアインスの遊びによって見つかったのだが、魔力を限界まで詰め込んだ為、イメージを直接伝えるだけで無駄に魔力を使わなくても形や硬度を変えて遊べる様になったのだ。
「それだけ?」
「あぁ、でもこれは魔力の塊だからね、しっかりイメージを伝えて魔力を操作しないといけないんだ」
この練習は主に魔力操作をより繊細にする為の訓練だ。イメージをどれだけ反映させる事ができるか、またその速さも磨く事ができる。
「むむむ...これ結構大変かも」
「そうだろ?当分はこれの練習だな」
そう言いながらアインスもスライムを出してその上に寝っ転がる。当然アインスに触れている限り、手で無くてもそのスライムはイメージが伝えられるので、形が崩れる事はない。
しばらくして日が陰ってきた頃、いつもアインスが家に帰る時間になったので、一旦ツヴァイを家に送ることにした。初めてアインスの家まで来た為、帰り道が分からない可能性を考えてだ。
「流石に1人で帰れるよ?」
「せめて最初だけは送るよ、それと今回の練習は僕といる時だけにする様に」
「元からアイn...先生が居ないとあの訓練は出来ないますけど...なんで...ですますか?」
ツヴァイは当然思い出したかの様にアインスに先生の設定を付け足した。
「ごめんツヴァイ無理に敬語は使わなくて良いよ、それと魔力に関係する物は大体危険なんだ、だから慎重にやっていかないといけない」
魔法本にも魔力は身体の中でも、とても繊細なものなので、下手に負荷をかけたりすると、かえって身体が損傷する可能性があると書いてあった。
それに加えて、実はツヴァイはやろうと思えば、既にあの無属性のスライムを出す事ができる。まだ教えていない為やり方は知らないが、魔力量と、魔力操作の出来的には可能な範囲ではあった。
「へー、次はまた来週だね」
「あぁ来週また新しいことやっていこうな!」
その後アインスは無事ツヴァイを家まで送り届け、自室に帰った。
とアインスが言い、いつもの庭で本を広げた瞬間だった。
「アインス...僕字読めない...」
「マジか...普段は使わないの?」
「親父も自分の商品の文字と数字が書けるくらいだから教わらなかったよ」
「なるほど...よし!読み書きも最低限できる様になるぞ!」
「おー!」
と言うことでツヴァイが読み書きができない事を知ったので、休憩後の予定は勉強会になった。
因みにツヴァイが特別な訳では無く、一部の国を除いて大体の国は貴族と商人以外は識字率が低い傾向にある。主な理由は使う機会が無いからだ。
仕事で使うと言っても特定の言葉しか使わない為単語は知ってても文法は分からない人が殆どだった。
また、そういった勉強も基本的には神託の儀を終えてからするものである。
アインスは自分の部屋からペンと紙、それと50音表を持って来ると、早速練習を始めていった。
「まずどの字がどう読むのかを覚えて行こう!それと僕のことはこれから先生と呼ぶ様に!」
「はいアインス先生!」
(ノリで言っただけなんだけどな)
アインスとしては冗談だったのだが、ツヴァイが乗ってきた為そのまま続けることにした。
読みに関してはもともと日本語を話す事は出来ていたので、字と読みを対応させればゆっくりでも読めるとアインスは考えていた。
「ぼくの、な、ま、え、は、ツヴァイ、です、まる!」
「やったな!読みに関してはほぼ完璧だぞ!次は書いて覚えるか!それと丸は読まなくて良いからな」
「イェーイ」
(文字は日本語なのに名前は日本人っぽくないから不思議な感じだが、やっぱり子供だからか吸収が速いな)
その後も特に難所もなく順調に進んでいた様に思えたのだが遂に...
「あきた~」
いくら吸収が早いとは言え脳の容量には限界がある。普段使わない部分の脳を使ったと言うこともあり遂に限界が来た。
「ずっと座学で頭使ったしな」
「もっと体動かそうよ~」
「なら魔法について触れていくか」
「やったー!」
ずっと頭を使ったことで頭が疲れたらしいので、更に予定を変更して今度は体力を使う、魔法を教えることになった。
「まず基礎知識からだ、魔法は体内の魔力を使って発動するんだ。そして発動自体はコツを掴めればすぐできる様になる」
「すごーい!」
そう言いながらアインスは手から水鉄砲の様に水を出して見せる。
「ただそこからが重要なんだ。」
アインスは今までの数多くの試行錯誤の末、魔法の法則を見つけていた。
「まず魔法を使うにはイメージが重要だ」
しかしそれはただイメージが強ければ良いのでは無い。
「どうしてその現象が起きるのか、その過程が正確にイメージ出来ないと魔力の変換効率が悪く、弱々しい魔法しか使えないんだ!」
「...アインス先生...難しい」
(しまった...つい熱くなってしまった...)
流石にまだ言葉だけでツヴァイには正確に伝えるのは難しかったので、今度は例を出して説明を試みる。
「例えばツヴァイ、火はどうやって起こるの?」
そう言いながら今度は手の上で火を出す。
「火?」
「他にも水は何で出来てるの?風の正体は何?土はどうやって出来たの?」
そもそも水や土は物体なのに対して火や風は現象である。つまりこれら属性は、この世界の人間が勝手に想像して作った分類であると言う事がわかる。
正確に言うとそれも少し違うのだが、アインスはまだそこまで気づいてはいない。
「まぁまず最初はただ魔力の感覚を掴むところから始めよう」
そう言ってアインスは一枚の紙を渡す。
「これは?」
「魔術用紙だよ、魔力を感じるならまず魔術で練習だ」
「魔術が先なの?」
「実はこれ僕が魔術回路を書いた魔術用紙で、魔力を吸い取る様になってるんだ」
魔術回路はアインスが今、最も興味を持っている分野で、最も勉強している分野でもある。
いわゆる魔法陣の様な形で、その形や模様によって効果が変わってくる。
回路の形によって、飛ばす系か、その場で発動する系か、バフ系か、など、数多の系統を決め、更に外側から順番に対象、大きさ、威力、魔力濃度、実行する現象・物体、発動条件を書いていく。また、特殊な条件を使用する物も稀にある。
魔術用紙に関しては、ただの魔術回路が描きやすくて魔力伝導率も高いが、お値段が少し高い紙だ。
「これを持てば良いの?」
「うん、僕が発動に必要な魔力を出すからツヴァイは持ってるだけで良いよ」
アインスはツヴァイが魔術用紙を持ったのを確認して、魔力を少し通す。
最初の頃はこの魔力量でも汗が出るくらいアインスの魔力量は少なかったが、毎日の努力で少しずつ上がってきていた。
「...なんか吸われてる感じする...」
「それが魔力だな」
因みにこの回路には使用者の魔力残量が減ると自動的に切れる様に出来ている為、魔力枯渇で倒れる事はない。
しばらくしてツヴァイの魔力が少なくなったのか、魔術回路が止まる。
「なんかいきなり凄い疲れた気がする」
「なんとなく魔力の感覚が分かったか?」
「うん、なんか変な感じだけど」
「よし、なら次はこれだな」
次にアインスは例の無属性のスライムを手渡した。
「なにこれ?」
「これはまぁ魔力の塊みたいな物だね」
その見た目は前の薄灰色では無く、濁った紫色をしていた。
「これは無属性魔法で出したスライムに魔力を限界まで詰め込んだ物だから魔力をこれ以上流す事はできない」
「これで何するの?」
「今回はこれを捏ねて遊んでもらう」
そう、これもアインスの遊びによって見つかったのだが、魔力を限界まで詰め込んだ為、イメージを直接伝えるだけで無駄に魔力を使わなくても形や硬度を変えて遊べる様になったのだ。
「それだけ?」
「あぁ、でもこれは魔力の塊だからね、しっかりイメージを伝えて魔力を操作しないといけないんだ」
この練習は主に魔力操作をより繊細にする為の訓練だ。イメージをどれだけ反映させる事ができるか、またその速さも磨く事ができる。
「むむむ...これ結構大変かも」
「そうだろ?当分はこれの練習だな」
そう言いながらアインスもスライムを出してその上に寝っ転がる。当然アインスに触れている限り、手で無くてもそのスライムはイメージが伝えられるので、形が崩れる事はない。
しばらくして日が陰ってきた頃、いつもアインスが家に帰る時間になったので、一旦ツヴァイを家に送ることにした。初めてアインスの家まで来た為、帰り道が分からない可能性を考えてだ。
「流石に1人で帰れるよ?」
「せめて最初だけは送るよ、それと今回の練習は僕といる時だけにする様に」
「元からアイn...先生が居ないとあの訓練は出来ないますけど...なんで...ですますか?」
ツヴァイは当然思い出したかの様にアインスに先生の設定を付け足した。
「ごめんツヴァイ無理に敬語は使わなくて良いよ、それと魔力に関係する物は大体危険なんだ、だから慎重にやっていかないといけない」
魔法本にも魔力は身体の中でも、とても繊細なものなので、下手に負荷をかけたりすると、かえって身体が損傷する可能性があると書いてあった。
それに加えて、実はツヴァイはやろうと思えば、既にあの無属性のスライムを出す事ができる。まだ教えていない為やり方は知らないが、魔力量と、魔力操作の出来的には可能な範囲ではあった。
「へー、次はまた来週だね」
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