パイルバンカー~我、悪を穿つ鉄杭なり~

絶対に斬れない刃

文字の大きさ
6 / 32
第一部 戦士の帰還

第五話 貧弱な強者たる騎士

『リシュエント帝国』国内。
その街道には多くの店が構える。
それらの多くは精霊種、『エレメンタリオ』が店に勤めている。
精霊種たる『エレメンタリオ』の絶対数は機械人種『メカノイス』よりも多いが、人間種『ヒューマン』よりかは少ない。
だが、敵対はせずに平和的に解決するのが彼ら、『エレメンタリオ』だった。
そのためだろう。
とある店内に、偉そうな態度をしている『ヒューマン』が店に長く居座ろうとも彼らは一切関わろうとはしなかった。関われば、何か良からぬことに遭ってしまう可能性が高いと思ったからだ。
そんな彼らの胸の内にはかつて耳したの呼び名が浮かんでいた。

かつて。
そう、

いたであろうは何の前触れもなく姿を消した。
多くの人々は死んだのだろうと考えたが、を知る者たちは違った。
死んだはずがない。
死ぬわけがない、と。
何故ならば。

は死なない』のだから。

一人の『エレメンタリオ』は頑なにそう言って、死んだという人々の言葉に首を横に振った。
やがて、彼らはの言葉が嘘ではない誠の話なのだ、と思い始める。
と同じ主を持つ『ヒューマン』の女性が同じことを話したからだ。
その女性は決してフードは外さずに、顔を常に隠した状態であったためにどの様な顔をしていたのかを知る者は誰一人としていない。
だが、彼女がことは確実だと言えた。
どこか昔を懐かしむように彼女は己の主のことを誇らしげに自慢げに話していた。
そして話はいつもこうして幕を引いた。

は死にません。もし、が死んだとしても、それはが終わった時であり、終わらぬ限りはは死にません。・・・・・・・・に会える可能性は限りなく低いでしょうが、私は一度会っておりますので、でも会うことは出来るでしょう。まぁ、その時はよろしく頼むと言われてしまったので、会えるまでは憶えていようとは思いますが。』

だからこそ、言うのです。

は死にません。』

今もどこかで、と。
だからこそ、その話を聞いた多くの『エレメンタリオ』たちは思ったのだ。

ああ。叶うのならば、そのお力を我々に見せて下され、と。

彼らは『神』を願う様にして、を信じ崇めていた。
そうした経緯もあってか、店内で尊大な態度をとる『帝国騎士雑魚としか思えないあんちきしょー』四人に不快感を現しながら心の片隅で願っていた。

『あぁ、スパルタン様神様。もし、いらっしゃるのでしたらこのクソッたれな客を早く追い出してください。報酬は必ずや出します。出しますので、どうか。どうか何卒・・・・・・・っ!!』

そんな願いを店内にいる『エレメンタリオ』全員がしているとはつい知らず、四人は大きな声を上げながら盃を交わしていた。
メニューにない料理をわざわざ作らせ、自分たちの立場を理解していないのか悪いとしか受け取れない態度をしている。
それはいかに平和的に考えている『エレメンタリオ』とは言えども、耐え切れぬモノだった。
「そして、言ったのだ!!『私の刃よりも強い者を知っているのであればここに連れて参れ!!』とな!!」
「ガッハッハッハ!!流石は、我らがキッシュ殿!!いやぁ、流石は次の騎士団長には相応しいお方だ!!」
「そうだろう、そうだろう!!」
夜でもない昼間から酒を呷り、キッシュと呼ばれた騎士は店員に酒のお替りを注文する。
「おい、店員!!酒だ、もっと酒を持って来んか!!!」
「ヘ、ヘイ、ただいま!!・・・・・・・・おい、注ぎに行ってやれ。」
店で一番偉いらしい男性は近くにいた女性店員の脇腹を軽く肘を打つ。
打たれた女性店員は男性店員にしかめた顔を向ける。
「あの、先輩。私が行かなくてもいいですよね?」
「バカ野郎、てめぇ、俺が行ったら剣抜かれて斬られて終わりだろうが。それよりか女のお前が入れに行った方がいいって。」
「え~。でも、それって、ただ先輩が入れたくないだけですよね?」
「ば、ばか、お前、んなこたぁねぇよ。・・・・・・・・・んなこと、あるわけねぇだろうが。」
その言い淀み方ってあるって言ってますよね・・・・・・・・?
声には出さずに、はぁ、とため息を吐くとビンを片手に店員はテーブルに向かって行くのだった。
その時だっただろうか。

が来たのは。



ケイトに「美味しいもの」をリクエストされ、『旅団』が七人だった頃に良く入った店にケンジは案内し、店内に入ったのだが。



どこかギスギスとした、例えるなら『戦闘まで残り僅かの時間はあるが会話などをして少しでも気を紛らわせたい』というあの感じに似ていた。
まぁ、店に入るなり、店内にいた全員が一斉にこちらの方を見てきたからその印象が強かったからと言えるであったが。
どうしたものかな、と思っていたケンジを他所にケイトはカウンター上に貼られているメニュー表を目を凝らして眺めてただ呟いた。
「・・・・・・・・・・・ねぇ、。・・・・・・・・・・・『ステーキバーガー』の上にある『ハンバーガー』って美味しい?・・・・・・・・・も頼む?・・・・・・・・・・・・・私が頼んでいい?・・・・・・・・・・・頼むよ?・・・・・・・・・・・頼んでいいよね?」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、その前にどっか座ろうぜ。』
「・・・・・・・・・・・あっ、座ってから注文するんだったっけ?」
何故かテンションが高いケイトに『席に座る前にカウンターのメニュー表見て、先に決めるなよお前。せめて、席に着いてからメニューとか見ろよ。ってか、テンションたけぇなお前。そんなに腹減ってたのかよ。』と思いながらケンジは店内を見渡す。
その時点で周囲の客はまだ目を外してはいなかったので、ケンジとしてはむしろ『さっさと帰りたい!!飯なんていいからさっさと帰って銃磨いてたい!!もうどうなってもいいからただ無心となって倉庫にある全部の銃がピカピカになるまで磨いてたい!!エルミアとかなんか言ってたけど俺はただ何も話さない銃器たちと磨いてイチャイチャしてたい!!もう帰れなくなったっていいから無心になりたい!!ってか、させろ!!いや、させてください、何でもしますから!!!』という帰りたい一心で、席を探し、一つの空いたテーブルが視界に入った。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、ケイト。』
「・・・・・・・・・ん?・・・・・・・・・・・なに、?」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、あのテーブルが空いてる。』
「・・・・・・・・・ja。・・・・・・・・・流石だね、。・・・・・・・・・・全然、気付かなかったよ。」
たった今、ケンジに言われて気が付いたかのように言うケイトに対し、『いや、お前、絶対気付いてたよね!?気付いてた上で言わせたよね!?』と内心で怒りながら、二人はテーブル席に向かって行く。
「・・・・・・・・おい、見ろよ。・・・・・・あの『メカノイス』・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・ああ、だ。・・・・・・・・やっぱり、生きてたのか。」
「・・・・・・・・?・・・・・・・・・ってことは、隣にいる人は。・・・・・・・・・・まさか。」
「・・・・・・・・あぁ、だろうな。・・・・・・・・・あのお方と同じマナだ。・・・・・・・・・・一度だけ見たことがあるから分かる。・・・・・・・・・・・姿は違うが、あのお方だ。」
「・・・・・・・・言い伝えは間違っていなかった。・・・・・・・・・・あのお方の心はと共にある。・・・・・・・・・間違ってなかったんだ。」
「・・・・・・・・んなものあるわけがないと思っていたが。・・・・・・・・・・・こうして目にするとな。」
「・・・・・・・・あぁ。・・・・・・・・人生、何あるかは分からねぇってわけだ。」
ありがてぇ、ありがてぇ、と何に有難みを感じているのか店内にいる『エレメンタリオ』たちはテーブル席に向かい歩くケンジたち二人を崇めていた人々の様子に、何のことか全く知らないケンジはケイトに訊いた。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・、何したんだ、お前?』
「・・・・・・・・・・・・ご飯。・・・・・・・・・・・・・美味しいご飯。」
ケンジの質問に彼女は彼女にしては珍しくただ飯のことを考えている様子でただ飯のことに思いを馳せているようだった。
そんな彼女の様子に『あっ、これは飯食べるまでは話しても無駄に終わるパターンだな』と考え、話すことを放棄した。
そうして、二人はテーブル席に着いて座ったその瞬間に合わせたかのように、店員が寄ってくる。
「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃらっしゃいませ、お客様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!ご注文はお決まりでしょうかぁぁぁぁぁ!?」
『まだ席に着いたばっかだってのに注文なんざ決まっているわけねぇだろ。決めたらこっちから呼んでやるから早く戻れ、な?』ということは当然のことながら言うことは出来ずにいたケンジだったが、ケンジの代わりに話す人物がいた。
「・・・・・・・・・・・ja。・・・・・・・・・・『ハンバーガー』をじゅっ・・・・・・・・いや、二つ。・・・・・・・・・頼める?」
ケイトの注文に、『今、お前、「ハンバーガー」十個って言おうとしたよな?うん?貴女、「ハンバーガー」十個って言おうとしましたよね?俺の気のせいなんかじゃないよね?貴女、そんなにおなか減ってるの?えっ、そんなに減ってるの、貴女?』と内心で文句を言いながらケンジは黙っていた。
「では、『ハンバーガー』十個ですね?」
「・・・・・・・・・・・nein。・・・・・・・・十個もいらない。・・・・・・・・・二つでいい。」
『でも、さっき十個って言おうとしてましたよね?』とツッコミを入れようとしたケンジは心の中でツッコミを入れていた。
「あっ、それでは、『ハンバーガー』二つ・・・・・・・・でよろしいですね?」
「・・・・・・・・・・・ja。・・・・・・・・・二つ。」
それでは失礼いたします、と言って下がる店員を視界隅に入れながらケンジは店内の様子を見渡す。
見渡すと同時にふと、ケンジは違和感を感じた。
『帝国』という『ヒューマン』の一集落にも関わらず、『ヒューマン』より少ない『エレメンタリオ』の姿が多い。
『エレメンタリオ』は『ヒューマン』よりか絶対数では劣ってはいる。だが、彼らは『ヒューマン』が扱えない『魔法』を自在に操ることが出来る、
『魔法』が操れるということは機械人種たる『メカノイス』よりも強いのでは?と思われるだろうが、実際にはそうではない。
『メカノイス』は『魔法』は操ることは出来ないし、絶対数もはるかに少ない。
だが、そういった弱点を補うモノが一つだけある。
それは、人類が見つけた

物理、つまり、火力だ。

攻撃を防ぐ盾然り、あらゆる防御を貫く攻撃然り。
攻撃たる矛と、防御たる盾。
これすなわち、『』なり。
その矛盾を兼ね備えた最強の種族が機械人種たる『メカノイス』である。
それ故に、ただの人間たる『ヒューマン』が機械人種たる『メカノイス』に喧嘩を売っても勝てるはずもないし、魔力が使えるだけの精霊種たる『エレメンタリオ』が『メカノイス』に喧嘩を売るはずもない。
だが、時としてその常識が通用しない時もある。
そう。

「お嬢さん、きれいだねぇ。どう?俺たちとしない?」

待っている間、暇を感じたからであろうが、水を平然と飲んでいるケイトの肩に触れながら、ガラの悪い騎士に似たナニかが、二人のいるテーブル席に寄ってくる。
ケイトは肩に触れられていようとも全くの無反応をしていた。
そして、反応するかと思われた時、ケンジの方を見て言った。
「・・・・・・・・・・・。・・・・・・・・・・デザートとか頼まなかったけど。・・・・・・・大丈夫?」
『いや、お前、その前に反応するべきことあるんじゃないの?』と話すことが出来ずにチラリとわざとらしく横を指差す。
彼女は何かあるのかと思ったのか、そちらの方へ視線を向ける。
その反応を見て、ケンジは『そうだよ、そう。反応してあげて。』と心の中で呟いたのだが、彼女の反応はが全く思わないものだった。
「・・・・・・・・・・?・・・・・・・・・・何もないよ、?」
『ちげぇだろう!!!明らかにお前に触ってる野郎の手がお前の肩にあるだろう!!!!』と叫びたい一心でケンジは心の中で叫んでいた。
そんな彼女の反応に苛立ったのか、明らかにガラの悪い騎士は彼女の肩を掴む手に力を入れたようだった。
「おい、姉ちゃん。無視するのか。おぉ?力入ってお嬢さんの綺麗なお肌が台無しになっても良いのかなぁ~?」
う~ん?と反応しないことに苛立ちを感じたのかは大きな声で彼女に話しかける。
それでも、彼女は反応しなかった。
それに苛立ちを露わにしたのか更には力を込めたようだったが、それでも無反応だった。
その様子を見て、ケンジは『すみません。コイツ、レベル四桁いってるんでレベル上げてからやってくれませんかね?その時に私たち二人がいるとは断言できませんが。』と申し訳ない一心で心の中で謝罪した。
彼女の反応には怒りを露わにしたのか剣に手を掛ける。
「このアマ、ざけやがって!!調子に乗ってるんじゃねぇぞ!!」
「キッシュ様!!こいつらぶった切りましょう!!『メカノイス』も『エレメンタリオ』も、『ヒューマン』に楯突くとどうなるか思い知らせてやりましょうぜ!!!」
「それは名案だ!!!よし、貴様ら二人立てぇい!!この『帝国騎士団次期団長候補』たるこのキッシュが思い知らせてやる!!!!」
キッシュと名乗るが発した言葉に周りで普通に飯を食べていた『エレメンタリオ』たちはギョッとした目で見た。
その反応は、まるで『何コイツ言ってるの!?コイツもコイツであれだけど、そんな奴の言葉を聞くとかこいつ等正気かよ!?』と正気を疑っているようにケンジには見えた。
ケンジの後ろにいるらしいが抜刀する音が聞こえ、ケンジの肩に剣先が置かれる。
「ふっ。我ら『ヒューマン』のを愚弄するか。その愚かさ、己の身をもって知るがいい!!!!」
そう言うや否や、ケンジの肩に置かれた剣が振り上げられ、振り下ろされる。
その瞬間。
背後にいるはずのの動きが止まる。
いつまでも振り下ろされないことにケンジはおおよその現状を悟り、に心の中で謝罪した。
『すまない。・・・・・・・・だけど、先に喧嘩売ったのはそっちだぜ。』、と。

「なるほど。であれば、我らの主たるお方を斬ろうとした貴方が殺されても文句は言えませんよね?」

背後から突然、言われた言葉に周りの連中は驚愕した。
いつの間にそこにいた、と。
いや。

そもそもどこにいたのか、と。

は周囲の反応などさほど気にしない様子でケンジの前に座るケイトにを訊くかの様に静かな口調で話した
「それで、ケイト。一つ訊きますが、と共にいる貴女が何もせずにいるとはどういうことでしょう?」
「・・・・・・・・・・・ja。・・・・・・・・・・おなか減った。」
「では、貴女が動けないのは周りを囲まれているからではなく、ただおなかが減ったからだと。そう言うのですね?」
「・・・・・・・・・・・ja。・・・・・・・・・・その通り。」
「あのですね、ケイト。いえ、。状況が分かっているのでしたら、よろしいかと思いますが?・・・・・・・・・いえ、に無理をしてでも動いたら如何でしょうとは言ってはおりませんので悪しからず。」
『はい、すみません。』と謝るかのようにケンジは頭を前に倒す。
そんなの動きを見て、は微笑むかのような反応をして、言った。
「ja。お分かりいただけたようで何よりでございます。・・・・・・・・・それで?貴方方は『帝国騎士団』に属する方々とお見受けしますが、どうですか?」
「ふ、ふっ。確かに我らは『帝国騎士団』だ。だが、だからと言って何かできるわけでは・・・・・・。」
「成程。では、大将殿にお口添えしますか。『貴殿の騎士たちは我らが主たるお方に手を上げる野蛮な者。そのような者を放っておくなど笑止千万。であるなら起きりうる出来事には我々は一切手を貸さないとここに告げましょう』、と。」
「ば、ばかな。いくらなんでも、あの方がその様な戯言に耳を貸すわけが・・・・・・!!」
「貸すでしょう。私たちが手を貸さなければ、『帝国騎士団』はゴミ同然の存在となるのですから。」
「そんなこと、あるわけがなかろう!!!騎士を愚弄するのもいい加減にするがよい!!」
はケイトの肩に置いた手にさらに力を入れたようだが、彼女は全く表情を変えなかった。
・・・・・・・・・元から表情を変えることは少なかったのだが。
は話にならないとばかりに、はぁ、わざとらしくため息を吐くとケンジの背中に語り掛けた。
「少々、よろしいでしょうか、?」
『・・・・・・・・・・・・・・・・。』
それまで一言も話さなかったケンジが話したということに含め、店内にいる全員が驚いた様子だった。
それらとは打って変わっては非常に明るい声で応えた。
「ja!!我が主たる貴方様のご命であれば、しかと。」
その言葉が耳に届いた瞬間、背後にいるの気配がなくなり、少し離れた後ろの方で何かが落下したかのような音が聞こえた。
「なっ!?貴様ぁ!!!」
目の前にいる(キッシュとか言っていた様な気がする)は背後の出来事に明らかに激高した様子だったが、剣を手に取る前にすくっと立ち上がったケイトに反応することが出来なかった。
「・・・・・・・・・・・・。」
「へっ?」
ぼそりと呟かれた言葉が何を意味するか、彼は吹き飛ばされることで身をもって知ることになった。
ケンジは彼女の拳がキッシュの身体に触れていなかったことに気付いて、『一応は守ってくれたんだな良かった良かった』、と安堵していた。
発勁と呼ばれるモノがある。
それはかつてからある武術の一つで、『気』と呼ばれるモノを扱い、相手を無力化させるものだ。
現代においても発勁というモノは存在はする。それを使う者は限りなく少ないために『超能力』の一種等と思われているが、実際にはれっきとした武術の一つとされている。
そうしたものに精通した者であれば、ケイトが先程を弾き飛ばしたのは『超能力』ではないと分かるだろう。
・・・・・・・・・・・・・本人曰くには、『「魔力」を相手に触れさせてだけ』とのことだが、どこがどう違うのかケンジにはよくは分からなかった。
「キッシュ殿!!!!おのれ、貴様らぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
一人の剣士、恰好からしての仲間らしいので、にしよう。
は格好だけを見れば、男性に近い恰好をしているが、足運びなどを見てみるに女性の様に見えなくもない。だが、の仲間であるなら手加減する理由もないわけで。
「・・・・・・・・・・・・遅い。」
振り下ろされる剣先を見ながらケイトは身体を前に出しながら、剣を避ける。
そして、相手に触れるか触れないかというところで拳を前に出して・・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・。」
「なっ!?は、早っ!!!」
が反応するよりも早く、ケイトは先程に味合わせた様に相手を
そうしていると、ケンジの背後の方で男の雄たけびが聞こえた。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!貴様ら、ただで済むと思っ・・・・・・・・!!!!」
「五月蠅いですよ。」
雄たけび上げて相手が行動を起こすよりも早くにレオナはただ呟くと、ドスッと鈍い音が聞こえ相手は静かになる。
「やれやれ。『帝国騎士』が聞いて呆れますね。少し手応えがあると思いきやこの程度とは。・・・・・・・ケイト。もう少しきつくした方が良いのではありませんか?」
手をぶらぶらと揺らしながらレオナはケンジの隣の椅子に静かに座った。
「・・・・・・・・・・・・レオナ。・・・・・・・・・・・私が相手してるのはもう少し手応えがある。・・・・・・・・こいつらは下の下。・・・・・・・・・・ただの素人に毛が生えただけ。」
レオナの言葉に苦言を言いながらケイトも先程座っていた様に椅子に座った。
「素人に毛が生えただけ?・・・・・・・・・サルが道具を持つマネをしていただけかと思いますが?」
「・・・・・・・・・・それはサルに失礼。・・・・・・・・・・サルの方がまだマシ。」
「ほぅ?ということはサルの方がまだ器用ということですか?」
「・・・・・・・・・ja。・・・・・・・・・それにサルの方がまだ賢い。」
「そうですね。いくらサルでもどちらが上でどちらが下かということはすぐに分かりますし。」
ですが。
「ケイト。の肩に刃を触れさせるとは気が緩み過ぎですよ?」
「・・・・・・・・・ja。・・・・・・・・・・・そこは反省する。」
です。いくら敵地ではないとは言え、油断し過ぎでは?」
『・・・・・・・・・・・・・お前が先行してたんだ。・・・・・・・・・・・だったら、大丈夫だろ?』
・・・・・・・・・・。」
ケンジの言葉にうっとりとした口調で彼女は言う。
だが、これではいけないと思ったのかブンブンと頭を振ると頭が悪い子供に言い聞かせるように人差し指をケンジに向けながらずいっと身体を前に出した。
「いいですか、。従者としては主に信頼されるということはこれほどもない最高の扱いであり、誇れることではあります。貴方の従者であって良かったと言えるでしょう。」
ですが。
「貴方は私の主であり、私は貴方の盾であるのと同時に剣でもあります。今回は間に合いましたが、次があったとして間に合うかどうかなどというモノはまさしく『神のみぞ知る』と言えましょう。」
ですから。
「常に気を張ってくださいとは申しません。・・・・・・・・・申しませんが、少しは緊張感を持ってください。」
『・・・・・・・・・・・・・・でもよ。・・・・・・・・・・・それしたら、俺、たぶん?』
いいのかよ?と訊くケンジに対し、レオナは腕を引っ込めるとうむむ、と静かにうなった。
「・・・・・・・・?」
『・・・・・・・・・・・・・・。』
という選択肢は?」
『・・・・・・・・・・・・・・お前は俺に死ねと言ってるのか?』
「私がですか?・・・・・・・・・・・nein。まさか。主たる貴方様に死ねとは恐れ多くて申せませんよ。」
とすると。
「難しいですね・・・・・・・・・。外との交流は生きていく中では必要不可欠です。・・・・・・・・・・ですが、今回のようなことがあるとなると、気を緩めるわけにもいきません。・・・・・・・・・・悩ましいことです。」
「・・・・・・・・・・・ja。・・・・・・・・・・ほんとにそう。」
どうしたものかと考え始めたレオナたちに店員は声を掛けずらそうにしていたことにケンジは気付く。
なので、店員が来ていることをケンジはレオナに教えることにした。
『・・・・・・・・・・・・・・レオナ。』
「ja。・・・・・・・はい、なんでしょうか、?」
『・・・・・・・・・・・・・・頼めるか?』
店員を肩越しで親指で差しながら彼女にケンジは応答を頼んだ。
「ja。お安い御用ですよ、。」
からの依頼にすぐに応えるかのようにレオナはすくっと立ち上がると、店員の方へと向かって行った。
彼女が行ったことを覗き見る様に身を屈ませながらケイトは身体を前に出した。
「・・・・・・・・・、ごめんね?・・・・・・・・・変なことに巻き込ませて。」
『・・・・・・・・・・・・・・別にお前のせいじゃない。・・・・・・・・・・それによく言うだろ?・・・・・・・・・・・・・・・。』
「・・・・・・・・・?」
『・・・・・・・・・・・・・・そういうもんだ。・・・・・・・・・・・・・・・だから、お前は。』
「・・・・・・・・・ja。・・・・・・・・わかった、そうするよ、。」
と二人が会話をしていると、話が終わったのかレオナは二人のところへと戻ってくる。
。その、非常に申し上げにくいのですが。」
『・・・・・・・・・・・・・・迷惑料と慰謝料か?・・・・・・・・・・・・・たぶん払えなくもないとは思うが。』
「いえ、そうではなく。」
『・・・・・・・・・・・・・・違うのか?』
違うと言う彼女には呆気にとられる。
店に対する迷惑料と騒ぎを起こしたことに対する慰謝料を請求されると思ったが違うと言われたからだ。
では・・・・・・・・?
不審に思ったケンジではあったが、彼女の後ろでどこか嬉しそうな顔をしながら店員がやって来た。
「ありがとうございます!!!!」
『・・・・・・・・・・・・・・・あっ?』
店員からの感謝の言葉を聞いてケンジの脳は思考するのをやめた。
迷惑を掛けた側が感謝されるとは完全に予想外だったからだ。
そんなケンジを他所に店員は話し始める。
「いやぁ~、助かりましたよ。あの連中はうちの店によく来る連中でしてね?近いうちに、迷惑な客がいるから来ないでくれと『騎士団』に言おうかとしていたところなんですよ。そんな時に貴方方が来て、あの連中をコテンパンに叩きのめしてくれた!!!いやぁ~、店としてはもう、感謝の言葉もございません!!!!改めて、感謝を。ありがとうございました!!!!!」
『・・・・・・・・・・・・・・・あ~、・・・・・・・・・・・・つまり?』
ケンジの疑問に店員ではなくレオナが答えた。
「つまりですね、。彼らは我々に非常に感謝しており、そのお礼がしたいと言っているのですよ。」
「・・・・・・・・・・・・・どんな?」
レオナの言葉を噛み砕いて理解したのか、ケイトは店員に問う。
すると、店員は思わぬことを言った。
「それはですね!!!!貴方方が注文為されたモノは特別大特価!!!無料、とさせていただきます!!!!」
「・・・・・・・・・・・無料?・・・・・・・・・無料で良いの?」
「はい、構いませんとも!!!!話に聞けば、貴女方二人は、『静寂たる待ち人』のレオナ様と『無言の豪旋風』で有名なケイト様と聞きました!!!!!」
「・・・・・・・・・・違くはない。」
「間違ってはおりませんね。・・・・・・・・二つ名があること自体が驚きではありますが。」
口々に話す二人を他所に店員はケンジの方へ身体を勢いよく向けた。
「そして!!!最強と名高いお二方を従われている『メカノイス』!!!!我々が知る中で絶対的な強者たるのはただ一人!!!そう、『ケンジ110』!!!!いえ、『110』、貴方様です!!!!」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺、何もしてねぇぞ?』
「またまた、ご冗談を!!貴方様が来られなければ、今日も今日とてあの客を追い出すことは出来なかったでしょう。ですが!!!貴方様が今日来られた!!!!!これも何かのご縁!!!!ぜひ、当店をご利用の際にはお支払いの方は構いません!!!!!」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・それはいいんだが。・・・・・・・・・・・・・やっていけるのか?』
店の経営がそれで成り立つとは到底考えられずにケンジは思わず訊いてしまう。
だが、店員(おそらくは店長だろうが)は大笑いをしながら答えた。
「全く!!!!えぇ、全く構いませんとも!!!!!天下名高いと言われたお方が立ち寄って下さった!!!!!!それだけでもう店としては名が売れるというモノ!!!!それに比べれば、など些細なことです!!!!」
『・・・・・・・・・・・・・・・そうか?』
「えぇ、そんなものです!!!!!」
『・・・・・・・・・・・・・・・・だったら、今回だけは払わせてくれ。・・・・・・・・・・・・・今後とも利用すると思うからな。・・・・・・・・・・・・・レオナ。』
「ja。それでは今回、ご迷惑をおかけしました迷惑料と、お店に対する謝罪を含めた慰謝料、そして、今回注文した分の料金とお店におられます方々がご注文為さった料金、その他諸々を御払いしますので、経費の詳細を頼めますか?」
レオナの言葉に店長はうろたえた。
「とんでもない!!!!そんなお金、戴けませんよ!!!!」
「・・・・・・・・・だそうですが?」
レオナの疑問にケンジは鼻で笑った。
『・・・・・・・・・・・・・・今後とも使うとした利用代金の先払いと思ってくれ。・・・・・・・・・・・まぁ、また今回みたいなことが起きないとは断言できないからな。・・・・・・・・・・・・・次利用しようとしたら潰れましたってのは、勘弁だしな。』
諦めろ、という意味を含んだケンジの言葉に店長は渋々納得したようだった。
「はぁ。そういうことであれば、受け取らせていただきます。」
『・・・・・・・・・・・・・・・・それはなによりだ。』
店長が納得したことにケンジは良かった良かったと安堵した。
感想 0

あなたにおすすめの小説

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

刺繍妻

拓海のり
恋愛
男爵令嬢メアリーは魔力も無くて、十五歳で寄り親の侯爵家に侍女見習いとして奉公に上がった。二十歳まで務めた後、同じ寄り子の子爵家に嫁に行ったが。九千字ぐらいのお話です。

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

【完結】遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
【残り数話を持ちまして3月29日完結!!】 夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。 長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。 待っていたのは、凍てつく絶望。 けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。 「夫は愛人と生きればいい。  今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」 それでも私は誓う―― 「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」 歪で、完全な幸福――それとも、破滅。 “石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。

スキル買います

モモん
ファンタジー
「お前との婚約を破棄する!」 ローズ聖国の国立学園第139期卒業記念パーティーの日、第3王子シュナル=ローズレアは婚約者であるレイミ・ベルナール子爵家息女に宣言した。 見習い聖女であるレイミは、実は対価と引き換えにスキルを買い取ることのできる特殊な能力を有していた。 婚約破棄を受け入れる事を対価に、王子と聖女から特殊なスキルを受け取ったレイミは、そのまま姿を消した。 レイミと王妃の一族には、数年前から続く確執があり、いずれ王子と聖女のスキル消失が判明すれば、原因がレイミとの婚約破棄にあると疑われるのは明白だ。 そして、レイミを鑑定すれば消えたスキルをレイミがもっている事は明確になってしまうからだ。 かくして、子爵令嬢の逃走劇が幕を開ける。