瞬間移動がやりたくて〜空間魔法編〜

ストレットフィールド

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第260話 ホルンとクラリア再び

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コンコンコン!

明日が今年最後という日の朝。自分で部屋を取り直した高級宿ロイヤルラインでの優雅な朝のひと時を邪魔するかのような力強いノック音。

スイサンも僕が作ったプールで遊んでいたのにノック音で、!マークを作ろうと丸の部分を作り体を消費している。

「だれだろう、でもこんなガサツなノックをするような人はアルかホルンだろうな」

コンコンコン!

僕の言葉にスイサンはホルンのアホ毛が1本ピンっと跳ねた髪型を模倣した形になる。スイサンはアルよりかはホルンであってほしいようだ。

くぐもった声がドア越しから僕を呼んでいるようだが、誰かまでは判断できない。

ドア付近までくるとゴニョゴニョと一人では無さそうな様子。

この扉を開けるのがすごい嫌。アルであってもホルンであっても面倒に違いない。

そう思って扉前にきたものの、ブリンクでソファに返り咲く。

「今日はイベントリの整理もあるし、無視しよう。僕は留守ですよ」

サクっとそのままお気に入りのクレアのクッキーを一口かじったら、カチャリという音がドアから聞こえた。

「え?」

なぜと思い、ドアを見るとスイサンがカギを普通に開けていたのだ。

「ちょっとスイサン!!」

そしてそのまま僕を無視してドアを開く。

「お邪魔するっすー、あっスイサンが開けてくれったすか?サンキューっす」

ノックの勢いのままホルンは右手を上げて部屋の中へ。

「ありがとうスイサン。えっいいのよ大丈夫だから」

そしてクラリアもスイサンがエスコートするように、クラリアの片手をとりこちらへ歩いてくる。

なにやってんだよあの色ボケスライム。お前の手湿ってるからクラリアも嫌がってるじゃん!

「兄貴ー!」

スイサンを睨んでいると、ホルンは僕へ飛びついてくる

それをブリンクでさっと避けて、ホルンはソファへダイブした。

「なんで魔法使ってまで避けるっすか」

ダイブした形のまま首だけを向けて喋るホルン。

「はぁ・・・何しにきたんですか?昨日来たばっかりじゃないですか?」

「その・・・ごめんなさいね。ホルンにアドバイスをしたらすぐにダンジョンに行きたいって話になって」

ホルンを無視して話の分かるクラリアに向いて喋る。すると早速強くなることを目標に定めたのか、ダンジョンに行く話となったようだ。

「そうですか、行けばいいじゃないですか」

それでなぜ僕を巻き込むのかという話だ。

「兄貴にも一緒に来てもらいたいっす!」

「なぜ、ウィンターダンジョンなんて雑魚敵ばかりで、ホルンやクラリアさんなら余裕でしょうに」

数を倒すぐらいならホルン達だけで事足りる為の質問だった。だがホルンの様子はそんな雑魚狩りをするわけでは無さそうだ。

「兄貴しってるっすか、ガーディアンエレメントの事」

なんかダンジョンで誰かそんな魔物の事言ってなかったっけ?あれ?でも倒したとかって話じゃ?

「・・・名前だけ小耳に挟んだぐらいですね。そいつもボスと呼ばれるものですか?」

「そうっすよ!しかもそいつを倒した者はCランク以上になれるっていう依頼が出てるっす!」

「C?そんな事ありえますか?王国のCランクは素行や達成率も加味されてなれるもんですよ?」

「それが慣れちゃうんす!今ギルドで大いに盛り上がってるんすよ!」

そんな馬鹿な話があるかと疑う気持ち80%だが、一応は話だけは気になるので聞こうと思う。

「・・・いい感じでホルンは王国に染まってますね。まずは話を聞きますよ、クラリアさんはコーヒーと紅茶どっちがいいですか?」

「そんな悠長にしてる場合じゃないっす!ほら歩きながら教えるっす!」

僕はホルンに手を引っ張られながら、部屋を出てウィンターダンジョンで向かう事になった。



ホルンとクラリアの話では、ガーディアンエレメントという魔物がコロッセオのような遺跡に存在しているようだ。

そのガーディアンエレメントのコアとなる部分が欲しい人がいるという事で依頼をギルドに出しているのだそうだ。それにギルドも便乗し戦争や魔物襲撃で数を減らしている冒険者の底上げとして、力がある者のランクアップを餌に冒険者に依頼を掛けているという。

そんな冒険者の質の低下が簡単に予測されそうだが、ガーディアンエレメントはCランクの魔物。簡単に倒せる相手ではないらしい。

その中ですでにガーディアンエレメントを倒しているPTが2PT存在しているらしい。残りいるガーディアンエレメントは1体。最初から1体ではなく数がいたようなのだ。

そして依頼の期日は明日の夜までという事で現在、その依頼の挑戦者が後を絶たないという。

その中で3人まで同時に戦えるというルールの元、ホルンはメンバーにすぐに僕を選んだという。

「という事なんすよ、だから頼むっす兄貴!」

両手を合わせ僕に頭を下げるホルン。

「・・・と言う訳にはつながらないと思いますけど、正直気乗りしませんね~。それこそ力をアルに誇示したいのなら一人で参加するべきだと思いますね」

「流石に一人だと無理っすよ・・・頼むっす!可愛い後輩の為を思ってこの通り!」

「ノエルさん、私からもお願いいたします」

クラリアが頭を下げると、スイサンも手の狐の形にしてペコっと下げる。そして外の寒さに耐えかねて、クラリアが持つ冷気耐性のスカーフに巻かれた瓶の中へと戻った。

スイサン、それ使い方間違ってるぞ・・・と突っ込みたくなる。

「う~ん・・・別に依頼を手伝うのはいいですが、理由がな~・・僕は中立を保ちたいのでここでホルンに手を貸すとサリアに何か申し訳ないんですよね」

サリアだって必死にアルに尽くしている姿を見ている。これは手を貸してはいけない所ではないのかと思うのだ。

「・・・こうなったらとっておきを使うしか・・・兄貴も男・・・兄貴、このお願い受けてくれるなら、わ、私がほ、頬っぺたにちゅ、ちゅーしてあげるっす!」

「いえ結構です」

顔を赤くし、恥ずかしそうに言うホルン。だが僕はホルンが言い切る前に被せるようにお断りを入れる。

「はや!?」

僕の即答にズーンと沈んだホルン。

そこで選手交代とばかりに次はクラリアが僕を説得する為に、一歩僕の前にでてホルンに聞こえないように少し離れる。

「ノエルさんのあの大事にされている瞳の綺麗な方・・・私達がノエルさんの拠点に1泊お世話になった時にとてもノエルさんの事を真剣に質問されてました」

「あー・・・シスレーがごめんなさいね」

説得か?と思ったが何か違う話を持ち出された。シスレーが迷惑をかけたからと言ってそんな事を交渉材料に?と不思議に思いながらも話を聞く。

「そこでとてもノエルさんの事を気にかけてらして・・・特に私やホルン、ディアナさんと何もないのかとかなり質問を」

「・・・申し訳ないです」

シスレー・・・暴走してなければいいな。この先を聞くのがすごく怖い。

「そこで私はその時は何もないと通したのですが・・・ほらハーピィクイーンに捕まった時に助けていただいた時の事・・・」

ハーピィクイーンの時の事・・・・!?

「あっ・・・」

僕は冷や汗が流れ始めていた。

「私は特に喋るつもりは・・・それにこの先も私とノエルさんだけの秘密にと・・・ですが、うっかりとホルンに喋ってしまったら」

もうクラリアが何で僕を脅そうとしているのか全て理解。あの時やはり殺してお・・・・いやいやそれは駄目それは駄目。

僕の中で葛藤と後悔が渦巻き始めた。クラリアは恐らくシスレーには本当には言わないでおいてくれる。でもホルンに喋られたら・・・あいつは口が軽い!駄目だ!

「そのもう一度私からのお願いなのですが、ホルンに一度だけ手を貸してあげてくれないでしょうか」

苦渋の選択・・・いや、これは特に苦渋ではない。僕の身を案じれば正しい判断なのだ、サリアには今度何かしてあげればいいだけの事。

「・・・今回だけですよ、それ使っていいの」

僕はクラリアのお願いに屈し、了承した。

「もちろんです!やっぱりノエルさんは聡明な人ですね!」

パンと両手を叩き嬉しそうにするクラリア、それを見てスイサンは♪マークになり空中を弾む。

やはりクラリア侮れない。死ぬ間際まで僕の圧力に耐えて嘘を並べれる強靭な精神の持ち主だ。

アルはホルンよりクラリアのこの部分を知ればこっちに傾くのではないのかと思える。

「ホルン、ノエルさん手伝ってくれるそうよー」

体育座りでしょげているホルンへクラリアが声をかけると、パッと明るい顔を見せたホルン。

そして照れながらこちらに近づいてくるが何やら、早口でいつもの調子で喋り始めた。

「まじっすか!やっぱ兄貴も男っすね!あっでもあれは流石に冗談っすよ?流石に付き合ってもない男女がちゅ、ちゅーはまずいっすよにゃはは、あっ期待したっすか?まぁ・・・どうしてもというのなら、私も一度言った身っすから女に二言はないっす。でもその時は、アル君が駄目だった時に兄貴が責任をとってもらわなければ行けなくなるっすよetc...」

延々と照れては喋ってを繰り返すホルンを指さし

「このホルンの病気って前からですか?」

昔からの付き合いのクラリアへとこのホルンの病気が最近発症した物なのか前からなのかを聞く。

「あー、えぇーっと・・・そうね。ほうって置いたら戻ってくると思います。もう少しガーディアンエレメントの詳しい説明をしますね」

すでに手遅れな様子に、クラリアもこのホルンは置いておいて説明を続けた。

「はい、お願いします」

気乗りしない戦いではあるが、自分にも経験値が入る可能性もあるし報酬もランクアップとは別に金貨20枚は出るとの事。分け前はクラリアと僕で金貨20枚を折版、ホルンはランクアップの権利を貰う。それで報酬の折り合いがついたようだ。

「クラリアさんはホルンの為というよりかは、お金が必要なだけでは?」

「・・・まぁそれもありますね」

「そうですよね。とりあえず頑張りましょうか、スイサンも頑張ってね」

瓶から一瞬、拳を覗かせすぐに戻ったスイサン。スイサンも使い魔として参加可能らしい。

「頼りにしてるわスイサン」

クラリアもスイサンに声をかけると、ハートマークが瓶の口から出てきた。

・・・あれ?でもランクアップとかあるって事は誰かに見られながら戦うって事だよね・・・それに依頼が殺到って順番待ちしてそう。空間魔法を封印して戦うって事になるんじゃ・・・

引き受けたいいにしろ、あまり役には立たないのではないのかと心の中でつぶやいたのだった。
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