おみくじを引いてみた

天の惹

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おみくじを引いてみた

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 今日、俺は友人と一緒にとある神社へ参拝に来ている。久々の参拝だ。俺はしばらく神の存在を完全に忘れていた。神なぞ居ても居なくてもどうでもいいと思っていた。以前、神社へ参拝していた時、全然ご利益がなかったし。その後、参拝を止めてかなり経つが、それで不利益を被った感もない。だから、神の存在を忘れていたのだ。

 先日、こんな俺に友人は脅してきた。アイツは結構信心深い人間だ。
「章、お前、ずっと神をシカトしていると、其内、罰が当たるぞ」
「まさか! しばらく神社へ参拝していないが、何の不都合も起こっていないぞ」
「本当にそう思うのか?」
「勿論」
俺は『勿論』と答えたが、友人の顔を見ていると段々と不安になってきた。確かに不都合な事は特に起こっていないが……ただ、気付いていないだけかもしれない。ったく、アイツは俺に変な考えを呼び起こさせる。俺はついつい考えさせられてしまった。こんな俺でも神様は許してくれるだろうかと。

 参拝は何の問題もなく、無事、終了した。入口の鳥居をくぐって、手水舎で心身を清め、拝礼まで正味、5分も掛かっていない。あっという間だ。だから、俺は参拝に行かなくなった。すぐに終わりすぎて、あまりにも呆気ないからだ。

 参拝を終えた俺達は帰る前におみくじを引いた。運試しだ。折角、神社に来たのだ。引かずに帰るなんて、もったいない。
 大吉出ろ。大吉出ろ。俺は大吉が出るのを祈りながらおみくじを開けた。

『エロ吉』

はぁ~? 何だ、コレ。いや、いや、いや、いや、有りえんだろう、コレ。印刷ミスか? まさか! 『エ』の上下と左右部分の印刷か欠けていて、実は『中』だったりして。中吉か? でも、それなら『ロ』の部分が余分だろ。やっぱり、これは印刷ミスではないな。俺がおみくじを見て思いふけっていると友人が声を掛けてきた。
「お前、何、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしてるんだ」
「……別に」
友人はすかさず有無を言わせず、俺のおみくじを覗き込んだ。
「何だよ、エロ吉って。まじ、パネーじゃん!」
友人は俺のおみくじを見て大爆笑だ。全く持って失礼な奴だ。俺をからかうんじゃねー。でも、俺も同じ立場なら大爆笑していただろう。だが、そんなの関係ない。アイツ、超ムカつくぜー。

 こんなクソおみくじ、買って損した。神社側の悪ふざけか? ったく、いい加減にしろだ。まじで。

 友人は笑いながら、更に絡んできた。
「エロ吉の吉はキチガイのキチなんじゃないか?」
「うっせーよ、お前!」
「まあまあ、そう言うなよ。一応、吉が出たんだから」
友人は俺をなだめた。が、まだ、笑っている。
「ひょっとして、エロの吉だからラッキースケベが巡ってくるかもよ」
やっぱ、友人はまだふざけていた。ってか、ラッキースケベって何なんだよー。

 俺は考えた。確かに、女子にモテたいかと問われれば、勿論、モテたい。それでスケベのチャンスがあれば……。ムフフ……。いや、いや、これ以上は考えたくない。公共の場でスケベな妄想がどんどん膨れ上がる事にびびって、俺は考えるのを止めた。俺の今の顔、たぶん、にたついているんだろうな。周りにいる若い女子から変な風に思われたら大変だ。

 やっぱり、俺も男だなー。エロいところがある。ほとんどの若い男子と同じだ。だが、これは当たり前の事ではないか。で、なければ、人類の種の保存や繁栄はおぼつかない。他人にどうこう言われる覚えはない。ってか、やっぱり俺はそんなにエロくない。自慢じゃないが普通の男児だ。

 帰り道、俺は友人と別れると、駅へ向かった。電車に乗って帰宅中、俺は不運にも痴漢に間違えられた。何で? 俺、別に疑われるような事、何もしていない。これは冤罪だ。ったく。誤解を解くのに、1時間以上かかった。今日は厄日かよ。

 ようやく警察官と駅員から解放され帰宅した俺は、今日一日を振り返った。おみくじを引いて、出た目が『エロ吉』だった。はぁ~?っと思ったが、友人の戯言に惑わされて、ちょっと信じてしまった。エロ吉の吉はキチガイのキチか……? そして、電車の中で起きた一件を思い出した。何がラッキースケベだよ。ったく。アンラッキースケベだったよ、アレは。ラッキーと思ったら、痴漢に間違えられたって阿呆か! 
「アッ!」
俺は思わず声を上げてしまった。俺は気付いてしまった。エロ吉の吉の本当の意味が。まさか、キチガイは気狂いではなく、キチガイのガイは外という意味で、吉の外という事で吉外という意味かよ! 
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