最弱の魔法戦闘師、最強に至る

捌素人

文字の大きさ
37 / 50

最弱の魔法戦闘師、圧倒する

しおりを挟む
こんな摩訶不思議なことが起きたのに、変に冷静だ。頭痛と体の痛みが引いた。

少し痛むが気にする程じゃねぇか。

「ふぅ……じゃあ続きやるか」
『な、なんなんだお前は!?』
「れ、レイト?ホントにレイトか?」
「カインド……心配するな」

本能。居るか?

『何を心配してやがる。俺様が居なくなるわけねぇだろ!』

ふっ。そりゃ良かったよ。

「発現」

刀の刃が長くなったな。神武が変わったのに、逆に手に馴染む。

これが、カムイの……俺の神武か。

「来い、人形。俺が遊んでやるよ。『瞬撃』」
『そんな技……!!がはっ!?』

間合いが広くなったな。極端に距離を詰める必要もないし、楽だな。

「まだ、たったの腕一本だろ?」
『き、貴様ぁ!…………っ!!』
「どこ見てるんだ?」

無意識の内に距離を詰めていた。体が思うように動く。とても軽い。

「『冷針』」
『クソっ!魔法も使えるのかよ!』
「両手ぐらいで喚くなよ」

なにもしていないのに浮遊することすらできる。

『こんなん卑怯だろ!おかしいだろ!貴様は本当に何者なんだよ!!』
「うぅん………強いて言えば、神、かな」
『神だとぉ!?ふざけたことをぬかしやがって!ぶち殺す!』
「夢じゃなく目標を立てろ」

今までは目で追うのもやっとだった。なんなら見失うことすらあった。

今は人形の行動がゆっくりと動いてる。

次の一手が手に取るように分かる。

「ほらよっ!」
『かはっ!』
「少し浅かったな『螺旋·削取らせん·そぎとり』」
『うがぁあ!!』

あれだけやっても死なないのか。まぁ、動く事は不可能だろうな。

「賢者に……レイグルに遺言はあるか?」
『貴様だけは絶対に殺す』
「そうか?じゃあな」

…………タイミング良く出てきやがったな。

「何してんだ?師匠の邪魔をするなんてよ」
「それは大切なもんなんでね」

純粋に神武で刺そうとしただけだが、こんなちっぽけな魔力で出来た魔法の盾すら貫通できないとはな。

今の俺は前とは筋肉量も技術もないな。技術は大丈夫として、この筋肉量の差はどうするべきか。

「レイトの時とは色々と違うんだな」
「何のために時間を掛けて来たと思ってんですか」

最後に見た賢者は老人だったが、今は青年になってやがる。

敬語なんか使いやがって。気持ち悪いったらありゃしねぇな。

「出来ればお前とは戦いたく無いんだけどなぁ」
「すみませんね。それは出来ないもんで」

はぁ。面倒だな。こうなるとは知っていたが、実際に体験するとやる気が失せる。

「えっ?」
「レイグル。最後の警告だ。もう一本の腕が惜しければ、退け」
「血の気が多いですね。昔はもっと温厚だったのに」
「色々と思い出しちまってな。ビンタ一回で済まそうと思ったがそうはいかねぇな」

今はレイグルと戦う必要はない。人形を始末するのが先だ。

「ほぉ。昔の師匠は隙がなく出来なかったのですがね。今は弱点が一つありますね」
「ん?何を言ってやがる」

切り落とした手がくっついてやがる。

気持ち悪い野郎になっちまったな、おい。

「我……私が精神に関する魔法が得意なのは覚えてますか?」
「あたかも自分の功績のようにな……。俺のお陰だろ?」

だが、手の内を明かすとはな。いや、今の俺では防ぎようがないと解釈したのか?

確かにその通りではあるな。まぁ、発動する前にやれば良いんだ。

「『瞬鋭の陣』」
「はぁ………さっきも見ましたよね?腕を切り落としても意味ないんですよ」
「さぁ、どうかな」
「ん?」

俺だって学び続けてるんでね。

「なるほど……。魔力回路を塞いだのですか……小癪なマネを思い付きますね」
「誉め言葉として受け取っておく」
「まぁ、無意味なんですけどね」

魔力で接合してるわけではないのか。接合する時も思ったが、魔力で接合してないとなると、本格的に人間かどうかすら疑うぞ。

「カインド、グロス」
「な、なんだ?」
「王女を……フレリアを守っててくれ。頼む」
「あ、あぁ!オレらに任せろ!」

仲間が居るってのは良いもんだな。

「にしても、こんな事良くやりましたねぇ。こんなんじゃ、使い物になりませんよ」
「手加減が出来ないんでね」
「弟子の最高傑作を破壊するなんて。師匠失格ですね」
「言ってろ。次はお前の番だからな」

本能。気をしっかり保て。

『急になんだよ』

多分、最終的に賢者の魔法を受けることになると思う。出来るだけ、抵抗するんだ。

でなければ、悪夢を見ることになる。分かったな?

『意味は分からねぇが、分かった。任せろ』

あぁ。取り敢えず、俺がやれって言ったら気をしっかりと保つようにしてくれ。

『おうよ』

ありがと。本能。半分はお前に掛かってるからな。

さてと。俺は俺が出来ることを精一杯やるとするか。

あとの事を考えると出来るだけ、レイグルの体力を消耗させたいんだが……。

「『魔法剣』」
「俺と接近戦するってのか?」
「魔法が完成するまでの時間稼ぎにですよ。久し振りに稽古でも付けてくださいよ」
「仕方がねぇな。死んでもしらねぇからな?」
「覚悟してますよ」

昔は良い奴だったんだけどな。一体何が、こいつをこれほどまでに歪ませたのか。

「昔よりは動きが良くなってるな」
「そんな長いカタナを振り回しながら言わないでくださいよ」

こいつは再生するから良いだろうが………俺は回復系統の魔法は苦手だからな。

出来るだけ傷を負わないようにしなければ……。長期戦はこっちが不利か。

攻めるしかないのか……。

「………っ!!!流石に辛いですね」
「言ってろ!『瞬撃』」
「チッ……!!」
「やっぱ飛ぶよなぁ」
「!!!まさか!」

どれだけ一緒に旅をしたと思ってんだよ。お前の癖は知ってんだよ。

「くっ!」
「やっぱ成長したな。良く耐えたな」
「はぁ、はぁ、はぁ………魔法が完成する前にられそうですね」

魔方陣の構築を始めたか。さっき半壊したから再構築には相当時間が掛かるだろう。

「『重複一閃』」

三重構成の斬撃。魔法で盾を作ろうが意味は無いだろうな。

「くぅぅう!!」

また耐えたか。相当魔力を消費したはずだがな。

「ま、『魔法剣』」
「『魔法解体』」
「なっ!?」

魔法剣の構造が分かればこちらのものだ。破壊するなど造作もない。

「どうかしたか?まさか、前世の俺じゃないから出来ないと思ったのか?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ
ファンタジー
 僕は十年程闘病の末、あの世に。  そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?  幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。   ※画像はAI作成しました。 ※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...