最弱の魔法戦闘師、最強に至る

捌素人

文字の大きさ
44 / 50

最弱の魔法戦闘師、時を迎える 2

しおりを挟む
「緊張してるのは俺だけか……?」
『いや、俺様も結構緊張してるぜ……』

に、逃げても良いかな?

『どこに逃げるってんだ?』

そこなんだよなぁ……。ここじゃあ、下手に身動きして気付かれるのが、一番嫌だ。

もう無理だ!俺は逃げる!

『おい!止めろ!』
「んん……」
「!!!!」

気が付いたのか……。

「すぅ……すぅ……」
「はぁ……」

あ、あぶねぇ……。気付かれてたら、社会的死だったな。

『けどよ。俺様らの年齢なら大丈夫じゃねぇのか?』

だとしても、俺の心は成人付近だぞ……?それに……なんか恥ずかしいしさ。

『まぁ、それは共感だ。取り敢えず逃げるぞ』

少し名残惜しいけど……やっぱり、憧れは憧れのままが良いよな。

「よいしょっと………」

バレないでベッドから降りられた。幸いなことに、壁側じゃなかったからね。

『にしても、いつから、このフィア?は俺様たちが寝てる時寝床に侵入してきたんだ?』

俺にも分からないんだよ……。ご飯食べて眠くなって寝てただけだし。

気付いたら隣に居たって恐怖だよな。まぁ、それが美人ならば話は変わるけどな。

『お前って、なんやかんやで女好きだよな』

そうか?俺はそんな気はしないが……。

『本能の俺様が言ってるんだぜ?お前は女好きだ。分かったな?』

はぁ……わかったよ。で、このドアをどう開けようか。

『どうって……普通に開けろよ。それとも、引き戸は初めてか?』

いや、ここは俺の家だったんたぞ?それに、俺の部屋だし……。

『じゃあ、何を躊躇ってるんだよ?』

このドア……。変な音がなるんだよ。もしかしたら起きるかもしれないんだよ。

『じゃあ、どうするんだよ?ここで寝てるのか?』

いやだよ。俺だって安眠したいし。寒いじゃん。ここはさぁ……。

『もう、一緒に寝てた方が良いだろ。こんなところで寝られる訳にはいかねぇんだよ』

俺だって安眠したい!こんなところで折れる訳にはいかねぇ!

こう言うのは勢いがあった方が良い筈!バァってやって、ドバァって逃げるぞ!

『語彙力がいろんな意味で化けもんだな』
「ふぅ……ふぅ……これ、なんか緊張するぜ……」

なんで、俺の部屋なのに俺が出ていかなきゃ行けないんだよ……。俺が苦労する必要あるか?

『そう思うならば、一緒に寝とけ。もしくはフィア?の部屋に連れていけ。それが出来ないなら……』

そうだよ。俺には一つしか選択肢はないんだよ。

「よし。やるぞ」

~~~~

「本能。誉めても良いんだぜ?」
『アァ、スゴイスゴイ』

だろ?もっと感情を込めてくれても良いんだぜ。

あの状況を打破したんだ、明日は……もしくは今日。うまく出来るかな。

さてと。寝るか。

『結局椅子並べて寝るのかよ』

良いんだよ。俺にはこれが合ってるんだからよ。

『俺様には合わないな。高級な寝床を持ってこい』

お前が寝る訳じゃねぇだろうが。俺が寝れればそれで良いんだよ。

『安眠はどうした?まさか、捨てるのか?』

俺の事を思うならば、もう寝させてくれよ。すごく眠いんだ。

『はぁ……しゃあねぇ』

仕方なくみたいな雰囲気出すな。

『はよ、寝ろ』

はいよ。

「おやすみ。本能」
『初めてだな。お前からおやすみなんて……おやすみだ、理性』

~~~~

「………早起きし過ぎたな」

なんか、意識が覚醒している。やはり緊張しているのだろう。

「明け方か。体でも動かしに行くか」
『好きだねぇ』
「なんかやってないと、落ち着かなくてな」

まずは素振りをやるか。距離感を確かめるためにも。

魔力は回復してるし、万全だな。体調不良が少し不安だったが、なんともなくて良かった。

『いつぐらいに来るんだ?』

討伐隊が出ていって……だいたい五分ぐらいだ。

『なるほどな。どこに出てくるか覚えていれば、対処は可能だろ?』

まぁな。もちろん、俺が相手に出来る魔物と言う前提が必要だが。

「よし。少し体も温まってきたし、実戦を考慮した立ち回りでも練習するか」

~~~~

「ふぅ……結構頑張ったんじゃねぇか?」
『村の方は結構な人数居るな』

だな。峠の方に来て正解だったな。距離はそこまで離れてないが、意識しなければ見付かることはないだろ。

「そろそろ戻るか。一時間もしないで討伐隊はこの村を出るだろうし」
『……ついにか』
「あぁ。俺も行動しないとな」

討伐隊が出発してからじゃ遅い。下準備もしなくては……。

まずは、人数の確認か……。その上で予定通りの場所に移動させなくては……。

予定していた場所に魔物が出現する可能性も考慮しなくてはいけないしな……。どうすべきか。

『そもそも討伐隊が村を出るのを止めさせるのはどうだ?お前一人で戦うにしても、多少は周りに気を使う必要はなくなるぞ?』

………俺の予想が正しければ、この魔物の襲撃は意図されたものだ。

『意図されたものだと?じゃあ、誰かが魔物を召喚したと?』

あぁ。魔物使役者の可能性だ。なんで、この村を襲撃したかは分からないが、今度は成功させねぇ。

『テイマーの可能性はあるのか?』

テイマーか。西洋魔法使いならば、俺の勝ちは薄いな。

テイマーは、魔物使役者と違って、魔物の潜在能力を極限までに高めるという副作用もある。

思い返して思ったが、今回の相手、テイマーかもな。

まぁ、相手がどうであれ、抗うだけだ。

「まずは、討伐隊に行かない人を一ヶ所に集めるか」

村に居れば、場所はどうであれ、襲撃されるだろう。

『なぁ。もし襲撃が意図的ならば、一ヶ所に集めるのは危ないんじゃねぇか?』

なんでだ?

『意図的ってことは、召喚する場所も操作できる。もし、人が分散してたから中央にしたとしたら……』

一ヶ所に居たら、その場所に魔物を召喚すると?まぁ、一理あるな。

『そのことも考慮した方が良いんじゃねぇのか?』

そうだな。俺の運命も掛かってんだ。中途半端ってのは、嫌だからな。

完封して、気持ちよく帰りたいな。
    
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...