27 / 30
10-1★
もう何度も銀次に抱かれているのに、今日はいつもよりドキドキした。随分前から恋人としてこうしてきたのに、なんだか体までおかしい。いつもより、ずっと熱くて、銀次の指先が素肌に軽く触れただけで感じてしまう。
「なに、深琴さん……もう溶けそうな顔してる」
可愛いなあ、と言いながら銀次は深琴をベッドへと組み敷いた。深琴はそんな銀次を拗ねたような目で見上げる。すると銀次は、口の端を引き上げて、責めてないよ、とそっとキスを落とした。
「むしろ嬉しいって話だから、怒らないでよ」
キスの隙間から囁くように言われ、深琴は返事の代わりに目を閉じる。視界を遮ると、銀次のぬくもりや唇から漏れる吐息を更に強く感じて、なんだか恥ずかしくなって深琴は目を開けた。するとすぐそこに銀次の顔があって、深琴は驚いて固まってしまう。
「深琴さんは可愛いよ」
「……そんなこと、なんで……」
今言うのだ、と首を傾げると、銀次は深琴の頬をそっと手のひらで包み込んだ。
「かっこいいし、優しいし、一緒にいて楽しいよ」
「銀次?」
「俺さ、深琴さんと初めて会った時、もちろんキレイな人だなって思って惹かれたよ。でもさ、好きになったきっかけはそこじゃないんだ」
そう言うと、銀次はそっと深琴の手を取って、指を絡めた。
「雨の日、傘くれようとしたでしょ? 俺もうコンビニの前なのに、そこで買えば済むのに、深琴さん自分が濡れちゃうのに傘差し出してくれて……その時の一生懸命な顔と、少し震える手が、すごく愛しく見えたんだ」
「……あれは、忘れてくれないか……」
自分でも訳のわからない行動だったと思う。しかも上手く言葉も出なくて、銀次にとって恐怖体験だったと言われても文句は言えない。
「どうして? ああこの人、俺のためにここまで走ってくれたんだなって、俺に傘あげて濡れて帰るつもりなんだって、すごく感動したんだよ。忘れるわけないよ。一瞬で恋に落ちたんだから」
そう言いながら銀次は微笑み、柔らかなキスを落す。深琴はそれを受け入れながら、それでも眉を下げた。
思えば、銀次と出会ってから、自分は恥ずかしい行動ばかりとっている。年上だというのに銀次よりもいつも落ち着きも余裕もなかった。
「……銀次は僕のどこがいいんだ……?」
銀次の顔を見上げ聞くと、その顔が一瞬驚いて、それからふっと笑みを含んだ。
「今更聞くかな、そんなこと。全部って今なら言うけど……一番初めに好きになったのは表情、かな」
銀次の言葉に深琴は首を傾げる。表情とはどういうことだろう? 自分はそんなに豊かな方ではないはずだ――そう思っていると銀次が、ほらね、と鼻先をくっつけてきた。
間近でみる銀次の表情が本当に優しく笑む。
「今、どういうことだろうって、考えたでしょ? 口には出さないけど、深琴さんは表情に出てるんだよ。それがものすごく可愛い」
ちゅっ、と音を立ててキスをすると、銀次はゆっくりと深琴の裸の胸に手のひらを滑らせた。それだけで深琴の肌は粟立ち、背中がぞくりと快感を走らせる。
「ほら、今も……銀次もっとって、顔してる」
「し、してない……!」
嘘だ。本当はそう思った。もっと触って欲しい、もっと銀次とくっつきたい、と。
「してたよ……まあ、してなくても俺が触りたいから触るけどね」
銀次はそう言って微笑むと深琴の胸の先を指先で優しく転がした。深琴の喉から甘い声が漏れ、深琴は恥ずかしくなって銀次から視線を逸らす。
何度抱かれてもこれだけは慣れない。これから深く繋がるという高揚感とそれに興奮している自分の体への羞恥と、まだ表に出ている理性がぐちゃぐちゃになって頭の中がおかしくなる感覚――怖い、とも表現できるようなその感覚に深琴は今でも慣れなかった。
「大丈夫だよ……俺がいるでしょ」
その言葉に、深琴は金吾から聞いたもうひとつの事実を思い出す。
「……でも、銀次は傍からいなくなるんだろ……?」
「え? ……あ、兄ちゃんが言ってたことか。確かにそういう話はあるけど、俺は深琴さんの傍に居る。深琴さんを一人になんて絶対しない」
硬くなった体を解すように、銀次が深琴の耳元で囁きながら胸の突起を愛撫する。次第に上がる息の隙間から深琴は銀次を呼ぼうとするが、出るのは嬌声ばかりで銀次を呼べない。もどかしさに手を伸ばすと、それを銀次がしっかりと捕らえてくれた。
「うん……深琴さん、怖くないよ。どんな深琴さんも可愛いし、キレイだよ――愛してる」
愛してる――その言葉に深琴が目を開く。興奮で潤んだ視界に銀次の笑顔が映った。
「僕、も……」
銀次の手がするりと深琴の中心へと伸びる。そのまま手の中に包まれ、深琴はその快感に背中をしならせた。
「あ、や、ぎん、じ……まって……」
愛してる、と言わせて欲しい。ちゃんと答えさせて欲しいから、手を止めて欲しいのに、銀次は手を止めるどころか、深琴が吐き出す先走りを使って後ろにも指を潜ませた。
「あっ、や……っ!」
銀次の長い指が深琴の中を探るようにうごめく。銀次の指は慣れたように深琴の一番好きなところを何度も往復していくので、深琴の理性はその度に削られ吹き飛んでいった。もう言葉で愛してる、なんて言えなかった。深琴は短い呼吸を繰り返しながら、その指がくれる甘い痺れを受け止めることで、体全部で愛してることを伝えようと銀次を見つめた。
すると、銀次は深琴の顔に今まで一番優しい笑顔を向け頷いた。
「知ってる。言葉じゃなくても分かってるよ……俺もすごく愛してるから」
ホントにひとつになれたらいいのにね、と銀次が囁く。深琴はそれに頷いて口を開いた。
「なろう、銀次……」
今だけでもひとつに――深琴が両腕を伸ばして銀次を包み込むように抱きしめると、銀次は深琴の首筋に赤い痕をつけて頷いた。
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
僕の恋人は、超イケメン!!
八乙女 忍
BL
僕は、普通の高校2年生。そんな僕にある日恋人ができた!それは超イケメンのモテモテ男子、あまりにもモテるため女の子に嫌気をさして、偽者の恋人同士になってほしいとお願いされる。最初は、嘘から始まった恋人ごっこがだんだん本気になっていく。お互いに本気になっていくが・・・二人とも、どうすれば良いのかわからない。この後、僕たちはどうなって行くのかな?
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。