喪失~その後

ハジメユキノ

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宝物

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浩介は羽田を自分の家に招き入れた。羽田はちょっと固くなっていた。
「コーヒーでいいか?」
浩介がキッチンでお湯を沸かし始めると、羽田が自分がやりますとキッチンに入ってきた。
「じゃあ、冷蔵庫にチョコレートが入ってるから、お皿に出してくれるか?」
「チョコレート食べるんですか?」
「食べるだろ」
羽田はクスッと笑った。
「甘いもの食べるようには見えなかったんです」
「俺は甘党だ」
「加賀美さんにおはぎ差し入れてもらったでしょう?」
浩介はギョッとした顔をして、
「加賀美が言ったのか?」
「いいえ、加賀美さんあんこ食べられないって言ってたのに、美味しいおはぎのお店聞いてくるから…」
「あいつ…抜けてんな…」
「あんまり甘いものばっかり食べちゃダメですよ」
浩介は逆らえない。約束したからな。
「分かった…でもたまにはいいか?」
羽田はクスクス笑いながら、
「運動したご褒美なら」
「ハイハイ」
厳しいな。
「ハイは一回です(笑)」
「だな(笑)」

コーヒーとチョコレートで一息入れると、浩介は羽田を抱きしめた。
「本当にこんなおじさんでいいのか?」
浩介は腕の中の羽田のつむじに問いかけた。
「年齢はあんまり関係ないですよ」
羽田が浩介の顔を見た。嬉しそうにニコニコしていた。
「本当に嬉しそうな顔ばかりするな」
羽田は浩介の胸に優しい頭突きをした。
「気持ちが一方的じゃないって分かって、嬉しくない人なんていないと思います」
「奏…俺は本当に幸せだ」
浩介は抱きしめる力を強くした。羽田も浩介の背中に回した手で強くしがみついてきた。その力が浩介は愛しいと思った。

浩介がシャワーを浴びて寝室に入ると、先に浴びた羽田がベッドの中でシーツにくるまって顔を隠していた。
「奏?どうした?」
羽田がシーツから顔を出すと、顔が真っ赤で困った顔をしていた。
浩介はベッドに腰掛けると羽田の髪を撫でた。
「怖いのか?」
「…。あの…私、信じてもらえないかもしれないけど…経験ないんです」
浩介は、でも何となく分かっていた。ずっと親との確執や借金返済の事ばかりに追われていたんだろうと。
「大丈夫だよ。怖い想いはさせないよ。今日は抱きしめるだけにしておこうか?俺は君がそばにいてくれればそれだけでいいんだから…」
「…イヤです。私だって一緒になりたい…」
浩介は黙って奏にキスをした。優しく舌を入れると、ぎこちなく舌を出した。浩介は優しく、でも強く舌を絡め捕り、深く深く口づけた。
奏のバスローブのひもを解き、細い肩にキスすると、奏がふるっと震えた。
「怖いか?」
奏は黙って首を振った。
「もう一回キスして下さい」
浩介は両手で奏の頬を優しく包むと、深い口づけをした。強く舌を入れて奏の舌を逃がさなかった。奏の体がビクンと震え、体から力が抜けていった。
首筋に口づけ、バスローブを優しく剥がすと、白く滑らかな肌が現れた。
「綺麗だ」
胸の膨らみに優しく触れると、かわいい突起が固くなっていた。口づけて舌で転がすと奏は微かな声をあげた。平たいお腹から柔らかなお尻を撫で、茂みの奥に指を差し入れるとしっとりと濡れていた。
奏はたまらず声をあげた。
「大丈夫か?ほんとにいいのか?」
奏は浩介にしがみついて、
「あなたが欲しい…」とささやいた。
浩介は奏の体を抱きしめながら、優しく弄っていった。奏のしがみつく力がどんどん強くなり、小さく叫んだ。
「こわくないからな」
奏の足を開き、浩介は優しく秘かな唇に口づけた、
腰を捩って逃げようとする奏のももを掴み、痛くならないように舌で入り口をほぐした。あとからあとから甘くしたたるものを舐めとられ、奏はたまらず叫んだ。
十分に濡れて柔らかくなった奏の中に、浩介は優しく入った。
「痛い?」
そう聞く浩介に奏は首をふるふると横に振り、
「気持ちいい…」
としがみついてきた。
浩介は奏が愛おしくてたまらず、
「動くよ」
最初は優しく動いていたが、奏が気持ちよさそうにしているのを見て欲が出た。
激しく奏の中に出し入れすると、溢れた愛液でぐちゅぐちゅとやらしい音を立てた。奏は浩介の名前を初めて叫んだ。
浩介はもっと乱れさせたいと思った。
「奏、愛してる」
奏の上半身を起こすと、座らせた格好で腰を掴み、奏と体を密着させた。そのままこすりつけるように上下に動かすと、奏は浩介の名前を何度も叫んだ。ビクビクと痙攣すると体から力が抜けて倒れそうになっていた。
「奏、ごめん。痛くなかったか?」
奏は浩介の肩に顔を乗せて息を切らせていた。
「ん、痛くなかった…好き…浩介さん」
浩介の中で何かがプツンと切れた。
奏を押し倒すと再び愛し始めた。
「奏、かなで…愛してるよ」
激しく抜き差しされ、奏はたまらず叫んだ。
「あぁ!こうすけ…!ダメ!おかしくなる!」
「ああ、いいよ。奏、見せて」
愛おしさでいっぱいだった。浩介もたまらず奏を呼びながら果てた。

二人は息を切らしていた。
「社長?こんなに無理して大丈夫ですか?」
奏が聞くので、
「社長はやめてくれ。何だか変な感じだ」
と浩介は答えた。
「かなで、うちにいるときは浩介でいい。それに、無理なんかしてない。奏がかわいくて止まらなかった。愛おしすぎて強くしてしまった…。ほんとに痛くなかったか?」
奏は嬉しそうにニコニコしながら、
「大丈夫です。うれしかった…」
「嬉しい?」
「はい。愛されてるなって分かったから…」
浩介は奏を捕まえてキスした。
「そんなかわいいこと言うな。おじさんを甘く見ると後悔するぞ」
奏はイタズラな笑顔を見せた。
「後悔?じゃあさせて下さい♡」
浩介は惚れたもん負けだなと、奏にキスした。
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