25 / 25
思いがけない贈り物〜車でお迎え〜
しおりを挟む
仕事中に鳴った電話。
秀人からこんな時間に連絡が来ることは今まで一度だって無かった。俺が怪我した時みたいに、秀人に何かあったんじゃ……。
慌てて廊下に出て通話ボタンを押した。
心臓がそれこそバクバクと口から飛び出そうなくらい心配したのに……。
「あっ!出た(笑)」
何だかのんびりした秀人の声に、僕は心の底から安堵した。そして、こっちが勝手に何かあったんじゃないかって先走って心配しただけなのに、自分がかけてきたくせして「出た(笑)」なんて笑う恋人にムカついていた。
「はぁ……。出た!って何だよ。俺はおばけじゃない。」
「アハハ!何言ってんの!(笑)」
秀人を笑かそうと思って言ったんじゃない。仕事だって分かってるのにかけてくるって事は、何かしらの緊急事態が起きたんだって思うじゃない?普通は!!
「俺の仕事中に電話してくることなんか一度も無かったから……。」
「僕に何かあったって心配したの?」
いつもの優しくて低い声が胸にストンと落ちてくる。
あ~……ずっと聞いていたい(笑)。結局惚れたもん負け。怒りなんて続くわけない。
「で、どうしたの?」
秀人の質問を無視して俺は質問を返した。
負けは認めるけど、心配したことは絶~っ対に言わない!
「ん?あのね。今日、会社に迎えに行っていい?」
「良いけど…なんで?」
「んん?ま~だ言~わないっ♫」
えらく上機嫌な憧れの建築家で先生でもあった俺の恋人。
会社に迎えに来るって初めてなんですけど。
なんやかんやで俺がイケメン建築家の恋人なんじゃないかって、賞を獲った時に周辺がちょっとざわついたけれど、俺があんまりにも平然としているからか、噂はいつの間にかフェードアウトしていた。平然としてるふりではあったけどね。
秀人は俺が仕事しづらくなる事を心配して、職場の近くでは二人でいることを控えていた。だから、俺を職場まで迎えに来るってことは、とてもとても珍しいことなんだ。
「智也は何時頃終わりそう?」
「今日は定時で上がれそうだから……6時には会社出られるよ。」
「フゥン。じゃあ拾いに行くね。」
あとでね、と秀人からの電話は切れた。
それにしても、何だったんだろう?
俺が頭の上に疑問符を散りばめてデスクに戻ろうとすると、同僚の瀬名がニコニコと近づいてきた。
「血相変えて出ていったけど、大丈夫そうね(笑)」
「ん。心配ない。緊急事態ではなかった。」
「そ。なら良いけど。……目が泳いでたから、何を言われたのかと思って(笑)」
瀬名は俺と秀人の関係を知ってる会社で唯一の人間だ。俺達を見てボーイズ・ラブにハマったと騒いでいた。
勝手に沼にハマって抜けられないと責められても……。
どうすりゃいいんだよ。そんなことに責任を問われても知ったことかよ。
「迎えに来るってさ。」
「えっ!……ごちそうさま(笑)」
「何も食わせてねぇよ!」
「いいのぉ!勝手にご馳走になってるから(笑)」
訳解んないこと言いやがって。
でも…俺のことを一時でも好きだと思っていたこいつは……良いやつなんだよな。
「何?いい女になったなって、惜しかったぁって思ってるんでしょ(笑)」
「……自分で言うかな。そういうの。」
「言うのは無料よ(笑)」
「ソウデスネ。」
人の顔見りゃ拝んでくる同僚に、ごっついため息を浴びせてやった。
+++
「お疲れ様。」
黒のミニクーパーから顔を出した眼鏡の秀人は、見惚れるほどのいい笑顔を見せていた。
「智也?……乗らないの??」
「!の、乗るよ!!」
コートを後部座席に放り投げ、乗り込んだ拍子にシートに深く埋もれた。思わず出た深い吐息に、秀人が眼鏡の奥の瞳を曇らせた。
「やっぱり……迎えに来ちゃ…いけなかったかな?」
すっかり笑顔が曇ってしまった恋人に俺は慌てた。
「ち!違う!!瀬名が…またなんか変なこと言って悦んでたから……。」
「あぁ……あの、智也を好きだった子……。」
「い、今は違うって!俺が秀人のパートナーだって知ってるし、あいつはただボーイズ・ラブがなんだかんだって言ってるだけで……。」
秀人の方が震え始めているのを見て、やられた!と思った。
「そんな必死で…言い訳しなくたって……ぷっ…くくっ(笑)」
ハンドルを持つ手が震えてますけど!!!危ないんじゃないんですか!!!
「笑いすぎです。」
「ご、ごめん……。」
「もう……。」
で、結局なんで迎えにまで来てくれたのかも、どこへ行くのかも教えてくれない。
「ねぇ……どこまで行くの?」
「ん?内緒♡」
内緒♡って可愛く言って……。ほんと、どこ行くんだ?
車はそのまま……方向的にはこのまま行くと海…?
鼻歌まで飛び出してきた上機嫌な恋人に、俺は会社帰りに拉致られた(笑)。
秀人からこんな時間に連絡が来ることは今まで一度だって無かった。俺が怪我した時みたいに、秀人に何かあったんじゃ……。
慌てて廊下に出て通話ボタンを押した。
心臓がそれこそバクバクと口から飛び出そうなくらい心配したのに……。
「あっ!出た(笑)」
何だかのんびりした秀人の声に、僕は心の底から安堵した。そして、こっちが勝手に何かあったんじゃないかって先走って心配しただけなのに、自分がかけてきたくせして「出た(笑)」なんて笑う恋人にムカついていた。
「はぁ……。出た!って何だよ。俺はおばけじゃない。」
「アハハ!何言ってんの!(笑)」
秀人を笑かそうと思って言ったんじゃない。仕事だって分かってるのにかけてくるって事は、何かしらの緊急事態が起きたんだって思うじゃない?普通は!!
「俺の仕事中に電話してくることなんか一度も無かったから……。」
「僕に何かあったって心配したの?」
いつもの優しくて低い声が胸にストンと落ちてくる。
あ~……ずっと聞いていたい(笑)。結局惚れたもん負け。怒りなんて続くわけない。
「で、どうしたの?」
秀人の質問を無視して俺は質問を返した。
負けは認めるけど、心配したことは絶~っ対に言わない!
「ん?あのね。今日、会社に迎えに行っていい?」
「良いけど…なんで?」
「んん?ま~だ言~わないっ♫」
えらく上機嫌な憧れの建築家で先生でもあった俺の恋人。
会社に迎えに来るって初めてなんですけど。
なんやかんやで俺がイケメン建築家の恋人なんじゃないかって、賞を獲った時に周辺がちょっとざわついたけれど、俺があんまりにも平然としているからか、噂はいつの間にかフェードアウトしていた。平然としてるふりではあったけどね。
秀人は俺が仕事しづらくなる事を心配して、職場の近くでは二人でいることを控えていた。だから、俺を職場まで迎えに来るってことは、とてもとても珍しいことなんだ。
「智也は何時頃終わりそう?」
「今日は定時で上がれそうだから……6時には会社出られるよ。」
「フゥン。じゃあ拾いに行くね。」
あとでね、と秀人からの電話は切れた。
それにしても、何だったんだろう?
俺が頭の上に疑問符を散りばめてデスクに戻ろうとすると、同僚の瀬名がニコニコと近づいてきた。
「血相変えて出ていったけど、大丈夫そうね(笑)」
「ん。心配ない。緊急事態ではなかった。」
「そ。なら良いけど。……目が泳いでたから、何を言われたのかと思って(笑)」
瀬名は俺と秀人の関係を知ってる会社で唯一の人間だ。俺達を見てボーイズ・ラブにハマったと騒いでいた。
勝手に沼にハマって抜けられないと責められても……。
どうすりゃいいんだよ。そんなことに責任を問われても知ったことかよ。
「迎えに来るってさ。」
「えっ!……ごちそうさま(笑)」
「何も食わせてねぇよ!」
「いいのぉ!勝手にご馳走になってるから(笑)」
訳解んないこと言いやがって。
でも…俺のことを一時でも好きだと思っていたこいつは……良いやつなんだよな。
「何?いい女になったなって、惜しかったぁって思ってるんでしょ(笑)」
「……自分で言うかな。そういうの。」
「言うのは無料よ(笑)」
「ソウデスネ。」
人の顔見りゃ拝んでくる同僚に、ごっついため息を浴びせてやった。
+++
「お疲れ様。」
黒のミニクーパーから顔を出した眼鏡の秀人は、見惚れるほどのいい笑顔を見せていた。
「智也?……乗らないの??」
「!の、乗るよ!!」
コートを後部座席に放り投げ、乗り込んだ拍子にシートに深く埋もれた。思わず出た深い吐息に、秀人が眼鏡の奥の瞳を曇らせた。
「やっぱり……迎えに来ちゃ…いけなかったかな?」
すっかり笑顔が曇ってしまった恋人に俺は慌てた。
「ち!違う!!瀬名が…またなんか変なこと言って悦んでたから……。」
「あぁ……あの、智也を好きだった子……。」
「い、今は違うって!俺が秀人のパートナーだって知ってるし、あいつはただボーイズ・ラブがなんだかんだって言ってるだけで……。」
秀人の方が震え始めているのを見て、やられた!と思った。
「そんな必死で…言い訳しなくたって……ぷっ…くくっ(笑)」
ハンドルを持つ手が震えてますけど!!!危ないんじゃないんですか!!!
「笑いすぎです。」
「ご、ごめん……。」
「もう……。」
で、結局なんで迎えにまで来てくれたのかも、どこへ行くのかも教えてくれない。
「ねぇ……どこまで行くの?」
「ん?内緒♡」
内緒♡って可愛く言って……。ほんと、どこ行くんだ?
車はそのまま……方向的にはこのまま行くと海…?
鼻歌まで飛び出してきた上機嫌な恋人に、俺は会社帰りに拉致られた(笑)。
5
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
『定時後の偶然が多すぎる』
こさ
BL
定時後に残業をするたび、
なぜか必ず同じ上司が、同じフロアに残っている。
仕事ができて、無口で、社内でも一目置かれている存在。
必要以上に踏み込まず、距離を保つ人――
それが、彼の上司だった。
ただの偶然。
そう思っていたはずなのに、
声をかけられる回数が増え、
視線が重なる時間が長くなっていく。
「無理はするな」
それだけの言葉に、胸がざわつく理由を、
彼自身はまだ知らない。
これは、
気づかないふりをする上司と、
勘違いだと思い込もうとする部下が、
少しずつ“偶然”を積み重ねていく話。
静かで、逃げ場のない溺愛が、
定時後から始まる。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
退会済ユーザのコメントです