5 / 10
気がかり
しおりを挟む
モテるなぁ…。
慎と木田のサッカー部の試合を佐藤と一緒に見に行った。応援してるのがほぼ女子…。男は僕たちと…父兄?
「きゃー!石原く~ん!」
そして黄色い声がひときわ高くなるのは…慎がボールを持ってるとき…。
「なぁ…。真。やきもち妬くなよ」
「うん…」
佐藤が僕の顔を覗き込む。
「何とも言えない顔、してるな」
だってさ…。慎が格好いいのは僕にも分かるし。なにしろ僕は男だし…。慎が女の子を好きになっても…仕方ないか、な…。イヤだけど。
「でも…。木田も結構いい線いってんのにな~」
慎が一際光ってるから目立たないけれど、木田はクールでゴールのアシストが上手い。女の子は見る目無いなぁ。
「俺が女だったら、木田の方がいいけどな(笑)」
「佐藤は木田の事、好きなの?」
真は佐藤に聞いてみた。真があんまりにも真剣に聞くので、佐藤は思わず吹き出してしまった。
「ぷはっ!ないない!俺、好きな子いるもん」
「えっ!誰?僕も知ってる子?」
「内緒♡」
「えぇー!教えてよ!」
「真。顔はお前の方が可愛いぞ(笑)」
「なんだよそれ!」
佐藤は僕の耳にものすごい小っさい声で囁いた。
「か!」
意外な名前で思わず口から出そうになり、佐藤が慌てて口を塞いだ。
「ばか!危ねえな!」
可愛いタイプじゃなくて、綺麗なタイプ♡
佐藤はそういうのが好きなのね。
「面喰い~(笑)」
「すんません(笑)」
「でも、綺麗だよね?」
「だね(笑)」
でもさ、佐藤。そこに居るんだけど…。
「言うな。分かってるんだ。慎のこと…好きっぽいな」
「そのようですね…」
僕も佐藤もやきもきするのは同じ相手だった。その子は熱い目で慎を見つめていた。
………………………………………………………
試合は中々の接戦だったが、惜しいかな…。PKで負けてしまった。
慎と木田は先輩たちをあと一歩で県大会に連れて行けなかったことに、悔しそうな顔をしていた。女の子たちもそんな慎には話しかけられずに、遠巻きに見ていた。
「あっ!真!佐藤!見に来てたんだ(笑)」
慎と木田が僕たちに気付いた。ぱあっと明るくなった慎の様子に、女の子たちはたちまち僕らを見た。そして、何とも言えない顔をした。
「なぁ、真。視線が痛くないか?」
「うん…。佐藤もそう思う?」
慎はそんな女の子の視線をものともせず、真と佐藤の所に走ってきた。木田はさすがに走っては来なかったが、僕らの方に歩いてくるのが見えた。
「真。サッカー分かんないってあんまり見てくんないのに、今日はどうしたの?」
「いや…。決勝だし、3年生は最後でしょ?きっといい試合になると思ってさ(笑)」
真が見に来てくれた!相変わらず可愛いなぁ…。
「ねぇ、慎。みんな応援してくれてたよ?手ぐらい振ったら?」
さっきから女子の目が怖いんだけど…。
「えっ?だって。サッカーって俺一人でやってるわけじゃないんだよ?何で俺が手ぇ振らなきゃなんないんだ?」
木田…。この人まじで真しか見てないんですけど…。
佐藤が木田に助けを求めるように視線を送ると、目だけで『諦めろ』と言った…。
…………………………………………………………
「なぁ…。慎のこと凄い見てた女の子でさ。すんごい綺麗な子いたの見なかったの?」
佐藤が慎のあまりのぶれなさに呆れたように言った。
「あっ!」
「やっと分かったか!」
「違う!」
「何が違う?」
木田が慎と佐藤のやり取りをニヤニヤしながら見ていた。
「木田?何笑ってんの?」
真が不思議そうに聞いた。
「佐藤が分かりやすくて(笑)」
「何だよ」
「言われたい?」
佐藤がハッとした顔になり、木田をぎろっと睨んだ。
「言うなよ!」
すると慎がしみじみ呟いた。
「佐藤が好きなのはああいうタイプか…」
「真!」
「僕、何にも言ってない!」
「じゃあ何で慎も木田も…。」
佐藤がムッとしていると、木田が佐藤の肩を抱いて頭をくっつけた。
「キモいから離れろ!」
「そんな言葉使っちゃダメだろ?」
「うっ…」
「俺はお前が大好きだよ(笑)」
「何なんだよ!みんなして!!」
真っ赤な顔で怒りだした佐藤に、さすがに慎と僕は宥め始めた。でも、木田は単純明快な佐藤が可愛すぎて、そのくりくりの坊主頭を胸に抱えて撫で続けていた。
慎と木田のサッカー部の試合を佐藤と一緒に見に行った。応援してるのがほぼ女子…。男は僕たちと…父兄?
「きゃー!石原く~ん!」
そして黄色い声がひときわ高くなるのは…慎がボールを持ってるとき…。
「なぁ…。真。やきもち妬くなよ」
「うん…」
佐藤が僕の顔を覗き込む。
「何とも言えない顔、してるな」
だってさ…。慎が格好いいのは僕にも分かるし。なにしろ僕は男だし…。慎が女の子を好きになっても…仕方ないか、な…。イヤだけど。
「でも…。木田も結構いい線いってんのにな~」
慎が一際光ってるから目立たないけれど、木田はクールでゴールのアシストが上手い。女の子は見る目無いなぁ。
「俺が女だったら、木田の方がいいけどな(笑)」
「佐藤は木田の事、好きなの?」
真は佐藤に聞いてみた。真があんまりにも真剣に聞くので、佐藤は思わず吹き出してしまった。
「ぷはっ!ないない!俺、好きな子いるもん」
「えっ!誰?僕も知ってる子?」
「内緒♡」
「えぇー!教えてよ!」
「真。顔はお前の方が可愛いぞ(笑)」
「なんだよそれ!」
佐藤は僕の耳にものすごい小っさい声で囁いた。
「か!」
意外な名前で思わず口から出そうになり、佐藤が慌てて口を塞いだ。
「ばか!危ねえな!」
可愛いタイプじゃなくて、綺麗なタイプ♡
佐藤はそういうのが好きなのね。
「面喰い~(笑)」
「すんません(笑)」
「でも、綺麗だよね?」
「だね(笑)」
でもさ、佐藤。そこに居るんだけど…。
「言うな。分かってるんだ。慎のこと…好きっぽいな」
「そのようですね…」
僕も佐藤もやきもきするのは同じ相手だった。その子は熱い目で慎を見つめていた。
………………………………………………………
試合は中々の接戦だったが、惜しいかな…。PKで負けてしまった。
慎と木田は先輩たちをあと一歩で県大会に連れて行けなかったことに、悔しそうな顔をしていた。女の子たちもそんな慎には話しかけられずに、遠巻きに見ていた。
「あっ!真!佐藤!見に来てたんだ(笑)」
慎と木田が僕たちに気付いた。ぱあっと明るくなった慎の様子に、女の子たちはたちまち僕らを見た。そして、何とも言えない顔をした。
「なぁ、真。視線が痛くないか?」
「うん…。佐藤もそう思う?」
慎はそんな女の子の視線をものともせず、真と佐藤の所に走ってきた。木田はさすがに走っては来なかったが、僕らの方に歩いてくるのが見えた。
「真。サッカー分かんないってあんまり見てくんないのに、今日はどうしたの?」
「いや…。決勝だし、3年生は最後でしょ?きっといい試合になると思ってさ(笑)」
真が見に来てくれた!相変わらず可愛いなぁ…。
「ねぇ、慎。みんな応援してくれてたよ?手ぐらい振ったら?」
さっきから女子の目が怖いんだけど…。
「えっ?だって。サッカーって俺一人でやってるわけじゃないんだよ?何で俺が手ぇ振らなきゃなんないんだ?」
木田…。この人まじで真しか見てないんですけど…。
佐藤が木田に助けを求めるように視線を送ると、目だけで『諦めろ』と言った…。
…………………………………………………………
「なぁ…。慎のこと凄い見てた女の子でさ。すんごい綺麗な子いたの見なかったの?」
佐藤が慎のあまりのぶれなさに呆れたように言った。
「あっ!」
「やっと分かったか!」
「違う!」
「何が違う?」
木田が慎と佐藤のやり取りをニヤニヤしながら見ていた。
「木田?何笑ってんの?」
真が不思議そうに聞いた。
「佐藤が分かりやすくて(笑)」
「何だよ」
「言われたい?」
佐藤がハッとした顔になり、木田をぎろっと睨んだ。
「言うなよ!」
すると慎がしみじみ呟いた。
「佐藤が好きなのはああいうタイプか…」
「真!」
「僕、何にも言ってない!」
「じゃあ何で慎も木田も…。」
佐藤がムッとしていると、木田が佐藤の肩を抱いて頭をくっつけた。
「キモいから離れろ!」
「そんな言葉使っちゃダメだろ?」
「うっ…」
「俺はお前が大好きだよ(笑)」
「何なんだよ!みんなして!!」
真っ赤な顔で怒りだした佐藤に、さすがに慎と僕は宥め始めた。でも、木田は単純明快な佐藤が可愛すぎて、そのくりくりの坊主頭を胸に抱えて撫で続けていた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
《完結》僕が天使になるまで
MITARASI_
BL
命が尽きると知った遥は、恋人・翔太には秘密を抱えたまま「別れ」を選ぶ。
それは翔太の未来を守るため――。
料理のレシピ、小さなメモ、親友に託した願い。
遥が残した“天使の贈り物”の数々は、翔太の心を深く揺さぶり、やがて彼を未来へと導いていく。
涙と希望が交差する、切なくも温かい愛の物語。
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
運命じゃない人
万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。
理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる