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マイハウスルール
商店街の魚屋
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商店街の魚屋
僕が夕ごはん用の魚を探しに商店街の行きつけの魚屋さんに行くと、いつもおばちゃんしか群がっていない店先にJKやらJCやら若い女の子が黄色い声を上げていた。
僕は馴染みのおばちゃんをその人混みから見つけて、
「ひろみさん、誰かイケメンでもいるの?」と尋ねると、
「あら、よっちゃん!違うわよ。可愛いのが売ってるのよ」
「かわいいの?」
人より余計に背がある僕は、普段あまり近寄らない若い女の子のつむじ越しの店先に、何か黒っぽくて丸っこいものがもぞもぞ動いているのを見つけた。なんだこれ?とじっと見つめていると、その黒くて丸いものが僕の方をピッと見た。
僕を連れて帰って!と濡れた真っ黒い目で訴えている。
「えっ?」
目で訴えていると言うよりも、頭にひびいてきたといった方がよいかも…。
「あれ?」
「よっちゃん?」ひろみさんが不思議そうな顔で僕を見つめている。
僕は顔が熱くなるのを感じた。なんなのこの人という不審な目で若い女の子たちが僕を見ていたからだ。
「すみません」大きな細い体をたたんで僕は小さくなった。
みんなの目が丸っこいのに戻った時、僕はそれがペンギンだと知った。
ペンギン?何でこんなとこに?
「おじさん!この子どうしたの?」
中学生とおぼしき女の子がみんなが知りたかった事を聞いてくれた。
おじさんは商売にならなくてうんざりだという顔で、
「こいつね、網に掛かって漁船に乗せられて来たんだよ。なんでも網にかかりながら魚を食べちゃったって漁師に怒られて、食べた分返せ!って売られて来たんだよ」
みんなが一斉にふうんと何となく納得した所で、
「誰かこいつ飼わない?」おじさんが商売を始めた。
えー!どうする~?と女の子たちがざわつき始めた。
その時ペンギンが僕のことをジッと見ていることに気づいた。
その内ペンギンの視線の先にいる僕の存在に周囲がざわつき始めた。
僕はペンギンから目を逸らそうとするも、絡め捕られるように見つめられて目が離せないでいた。
店のオヤジが僕に
「あんちゃん!どうだい、こいつ飼わないか?」と言うので、
「えっ!無理無理!」
顔の前で両手をヒラヒラ振って断ると、頭の中にまた響く声。
『さっきお魚食べちゃったら、おじさん僕のことおさしみにしちゃうぞって言ったんだよ!こわいよ!助けてよ!』
「えっ?」
若い子たちは、またこの男挙動不審になってる、キモっ!って言う顔で僕を見ている。
何なんだ一体?僕は気心の知れたおばちゃんや商店街の人たちとしかしゃべれない内気な性格のせいでとうとう心が病んで幻聴が聞こえるようになってしまったのか?
両手で頭を抱えている僕に馴染みのひろみさんが、
「よっちゃんのお宅、一軒家じゃない!飼ってあげたら?」
「でも僕の持ち家じゃなくて借家なんです…」
「大家さん知ってるから聞いてあげるわよ」
ひろみさん…。僕にペンギン飼わせようとしてる?
魚屋のオヤジも便乗してきて、
「あんちゃんが飼ってくれるなら、売り物になんない小っさい魚分けてやるよ」
それならあんたが飼ってやればいいじゃないか!
持ち前の気の弱さでオヤジにそう言えないでいると、
『ぼくふねのなかでフィリップくんってよばれてたの』
僕はやはりおかしくなっているらしい。誰にも聞こえないペンギンの声が聞こえる。そして名乗ってるし!
『よっちゃん!ぼくわるさしないよ。おてつだいするよ。ぼくをつれてってよ』
はぁ…。大きなため息をつくと、いつの間にか女の子たちが僕を見つめていた。
私たち飼ってあげられそうもないし。この人独りっぽいから(女っ気なさそうだし)ちょうどいいんじゃない?とばかりに期待のこもった熱い視線を送ってきた。
ペンギン。女の子たち。ひろみさんに魚屋のオヤジ。
これらの熱視線に負けた僕は、オヤジのくれた小魚が入ったビニール袋と鮭の切り身、今晩の煮魚用のカレイを提げて、ペンギンのフィリップと共に家路につくことになった。
家に着くと、フィリップは玄関で戸惑っていた。
「?どうしたの?上がりなよ」
『ぼくのあし、ぬげないの』
僕が靴を脱いだのを見て、足を脱いだと思ったらしい。
僕はフィリップが家を汚しちゃいけないからどうしようって困っていたんだと思うと、何だかかわいいなあとうれしくなった。
「フィリップの足拭いてあげるね。ちょっと座って待ってて」
上がり框にちょこんと座らせると、洗面所にタオルをとりに行った。
ようやく足をきれいにして部屋に案内してあげると、珍しそうにキョロキョロ見渡していた。
『ねえ、よっちゃん』
そういえば僕は普通に会話していることをいつの間にか受け入れていたのだけれど、この際だから聞いてみることにした。
「フィリップの声は何で僕にだけ聞こえるんだい?」
『それは、僕がよっちゃんがいいって思ったから』
「へっ?」
そんなことってあるんだ!
でも、僕が大人になりきれてないからかも…なんて自分で自分をちょっとバカにしたような気がしてちょっと暗くなった。
そんな風に考えているなんて思ってないフィリップは、
『よっちゃんありがと』アタマのてっぺんが自分の足に着いちゃうくらい、ペコリとお辞儀をしていた。
何でだかはよく分からないけれど、とにかく僕を選んでくれたらしい。何の特技もない地味な僕を。
「じゃあ、どうやって一緒に暮らしていくか、考えよっか!」
マイハウスルール
僕はネットで「ペンギン」について調べてみた。ありゃ、けっこううんちが臭いらしい。どうしようか。
「フィリップ!おトイレ使う練習できる?」
『はい!』
右手をピッと上げた。
便座に座らせるとお尻が便座の穴より小さいので、すぽっと抜けて落ちてしまう。
「そうだ!」
僕はこう見えて手先が器用なので、ベニヤを丸く切って、ちょうど子供用便座くらいの穴を開け、下駄のように足を付けて、乗っけて使える便座を作ってあげた。
フィリップは上手に座っておトイレができるようになった。えらい!ニオイ問題解決!
おふろは?昨日の残り湯にザブンと入り、パシャパシ水浴びをしてから、きれいな水でもう一度流してプルプルするとまたたく間にきれいになった。よし、トイレとおふろ問題は解決っと。
『よっちゃん、ぼく手が短くて上手にお手伝い出来ないかもしれないけど、頭にならいろいろのせて運べるよ!』
お手伝い問題。フィリップにはまず配膳をしてもらおうか。
頭にドーナツクッションの小さいのを作ってのせ、お盆におかずを入れてはこんでみる。
テーブルまで頭で運ぶと、短い手で上手にお盆を下ろしてお皿をテーブルに乗っけられた!
おお!フィリップすごい!
とここで、僕はひらめいてしまった!
「フィリップにぴったりのお手伝いがあるよ!」
背中に背負子しょわせてお使いに行ってもらおう!
「フィリップ、お使いできるかな?」
『よっちゃん!まかせて!』
頼もうと思ってハッとした。お魚また食べちゃったらどうしよう…。
「フィリップ一つ約束できる?」
『はいっ』
「魚屋さんのお魚は食べないこと」
フィリップはハッとして、
『おうちまでがまんします!』
と約束してくれた。
「ほかにも八百屋さんとかスーパーとか行ける?」
『ぼく、おさかなしかわかんないの』
今度は僕がハッとした。おしゃべりが出来るから、ついフツーの人間の子供と同じように思ってしまった!
「あーごめん!いっしょにおつかいしようか!」
と僕が提案すると、フィリップはホッとしたカオで、
『よろしくおねがいします』
深々とお辞儀をして、床に頭のてっぺんがくっついた。
~初めてのお使い!~
「フィリップ~!おいで~!!」
ペタペタ廊下を歩く音が聞こえ、フィリップが顔を出した。
『はーい。よっちゃん、なあに?』
「お使い行こう!準備するよ」
フィリップの背中に背負子を背負わせて、僕は財布とたたんだエコバッグをポケットに入れ、商店街へと向かった。
フィリップが家に来てまだ二日目だけど、もう道すがらいろんな人に声をかけられて、ほんの5分程度の距離がなかなか進まなかった。
「よっちゃん!」
この声は…。ひろみさんだ!
「よっちゃん、会えたらあげようと思ってたのよ!」
手には猫缶が…。なぜ猫缶?
「ペンギンってお魚食べるでしょ?猫もお魚食べるから、新鮮なの手に入らない時のためにいいかなと思って!」
なるほど…。それは思いつかなかった。
「ね!食べそうでしょ?どう?」
ひろみさんはフィリップの目線までしゃがんで手に捧げ持った。
フィリップは僕を見つめて、
『よっちゃん、もらっていいの?』
「フィリップ、いただいておきなよ」
フィリップは後ろを向いて背負子をひろみさんに見せた。
ひろみさんは、
「これは入れていいってこと?」
僕を見つめて答えを求めた。
僕はうんうんと大きく頷いて、
「どうぞ入れてやって下さい!」
ひろみさんはうれしそうに背負子に入れると、
「フィリップ?くん?もらってくれてありがとうね」
フィリップのツルツルの頭を優しく撫でた。フィリップは感謝の気持ちを込めて、ひろみさんに深々とお辞儀した。
「やだ!お辞儀したわよ!可愛いねぇ」
その様子を遠くから見ていた商店街のみんながワラワラと寄ってきて、うちにも寄ってよ!と次々に声をかけてきて、フィリップはどうしようと僕をピカピカのまん丸おめめで見つめていた。
みんなフィリップが可愛くて、お店の前を通るたびに出てきてツルツルの頭を撫でていった。
フィリップはみんなに、
『こんにちは』とお辞儀してまわるので、買い物を終わるのに一時間もかかってしまった。
フィリップのごはんにと小さめのアジ、僕は八百屋さんで見つけた栗、魚屋さんで秋刀魚で秋の味覚を楽しもうと思った。
僕が夕ごはん用の魚を探しに商店街の行きつけの魚屋さんに行くと、いつもおばちゃんしか群がっていない店先にJKやらJCやら若い女の子が黄色い声を上げていた。
僕は馴染みのおばちゃんをその人混みから見つけて、
「ひろみさん、誰かイケメンでもいるの?」と尋ねると、
「あら、よっちゃん!違うわよ。可愛いのが売ってるのよ」
「かわいいの?」
人より余計に背がある僕は、普段あまり近寄らない若い女の子のつむじ越しの店先に、何か黒っぽくて丸っこいものがもぞもぞ動いているのを見つけた。なんだこれ?とじっと見つめていると、その黒くて丸いものが僕の方をピッと見た。
僕を連れて帰って!と濡れた真っ黒い目で訴えている。
「えっ?」
目で訴えていると言うよりも、頭にひびいてきたといった方がよいかも…。
「あれ?」
「よっちゃん?」ひろみさんが不思議そうな顔で僕を見つめている。
僕は顔が熱くなるのを感じた。なんなのこの人という不審な目で若い女の子たちが僕を見ていたからだ。
「すみません」大きな細い体をたたんで僕は小さくなった。
みんなの目が丸っこいのに戻った時、僕はそれがペンギンだと知った。
ペンギン?何でこんなとこに?
「おじさん!この子どうしたの?」
中学生とおぼしき女の子がみんなが知りたかった事を聞いてくれた。
おじさんは商売にならなくてうんざりだという顔で、
「こいつね、網に掛かって漁船に乗せられて来たんだよ。なんでも網にかかりながら魚を食べちゃったって漁師に怒られて、食べた分返せ!って売られて来たんだよ」
みんなが一斉にふうんと何となく納得した所で、
「誰かこいつ飼わない?」おじさんが商売を始めた。
えー!どうする~?と女の子たちがざわつき始めた。
その時ペンギンが僕のことをジッと見ていることに気づいた。
その内ペンギンの視線の先にいる僕の存在に周囲がざわつき始めた。
僕はペンギンから目を逸らそうとするも、絡め捕られるように見つめられて目が離せないでいた。
店のオヤジが僕に
「あんちゃん!どうだい、こいつ飼わないか?」と言うので、
「えっ!無理無理!」
顔の前で両手をヒラヒラ振って断ると、頭の中にまた響く声。
『さっきお魚食べちゃったら、おじさん僕のことおさしみにしちゃうぞって言ったんだよ!こわいよ!助けてよ!』
「えっ?」
若い子たちは、またこの男挙動不審になってる、キモっ!って言う顔で僕を見ている。
何なんだ一体?僕は気心の知れたおばちゃんや商店街の人たちとしかしゃべれない内気な性格のせいでとうとう心が病んで幻聴が聞こえるようになってしまったのか?
両手で頭を抱えている僕に馴染みのひろみさんが、
「よっちゃんのお宅、一軒家じゃない!飼ってあげたら?」
「でも僕の持ち家じゃなくて借家なんです…」
「大家さん知ってるから聞いてあげるわよ」
ひろみさん…。僕にペンギン飼わせようとしてる?
魚屋のオヤジも便乗してきて、
「あんちゃんが飼ってくれるなら、売り物になんない小っさい魚分けてやるよ」
それならあんたが飼ってやればいいじゃないか!
持ち前の気の弱さでオヤジにそう言えないでいると、
『ぼくふねのなかでフィリップくんってよばれてたの』
僕はやはりおかしくなっているらしい。誰にも聞こえないペンギンの声が聞こえる。そして名乗ってるし!
『よっちゃん!ぼくわるさしないよ。おてつだいするよ。ぼくをつれてってよ』
はぁ…。大きなため息をつくと、いつの間にか女の子たちが僕を見つめていた。
私たち飼ってあげられそうもないし。この人独りっぽいから(女っ気なさそうだし)ちょうどいいんじゃない?とばかりに期待のこもった熱い視線を送ってきた。
ペンギン。女の子たち。ひろみさんに魚屋のオヤジ。
これらの熱視線に負けた僕は、オヤジのくれた小魚が入ったビニール袋と鮭の切り身、今晩の煮魚用のカレイを提げて、ペンギンのフィリップと共に家路につくことになった。
家に着くと、フィリップは玄関で戸惑っていた。
「?どうしたの?上がりなよ」
『ぼくのあし、ぬげないの』
僕が靴を脱いだのを見て、足を脱いだと思ったらしい。
僕はフィリップが家を汚しちゃいけないからどうしようって困っていたんだと思うと、何だかかわいいなあとうれしくなった。
「フィリップの足拭いてあげるね。ちょっと座って待ってて」
上がり框にちょこんと座らせると、洗面所にタオルをとりに行った。
ようやく足をきれいにして部屋に案内してあげると、珍しそうにキョロキョロ見渡していた。
『ねえ、よっちゃん』
そういえば僕は普通に会話していることをいつの間にか受け入れていたのだけれど、この際だから聞いてみることにした。
「フィリップの声は何で僕にだけ聞こえるんだい?」
『それは、僕がよっちゃんがいいって思ったから』
「へっ?」
そんなことってあるんだ!
でも、僕が大人になりきれてないからかも…なんて自分で自分をちょっとバカにしたような気がしてちょっと暗くなった。
そんな風に考えているなんて思ってないフィリップは、
『よっちゃんありがと』アタマのてっぺんが自分の足に着いちゃうくらい、ペコリとお辞儀をしていた。
何でだかはよく分からないけれど、とにかく僕を選んでくれたらしい。何の特技もない地味な僕を。
「じゃあ、どうやって一緒に暮らしていくか、考えよっか!」
マイハウスルール
僕はネットで「ペンギン」について調べてみた。ありゃ、けっこううんちが臭いらしい。どうしようか。
「フィリップ!おトイレ使う練習できる?」
『はい!』
右手をピッと上げた。
便座に座らせるとお尻が便座の穴より小さいので、すぽっと抜けて落ちてしまう。
「そうだ!」
僕はこう見えて手先が器用なので、ベニヤを丸く切って、ちょうど子供用便座くらいの穴を開け、下駄のように足を付けて、乗っけて使える便座を作ってあげた。
フィリップは上手に座っておトイレができるようになった。えらい!ニオイ問題解決!
おふろは?昨日の残り湯にザブンと入り、パシャパシ水浴びをしてから、きれいな水でもう一度流してプルプルするとまたたく間にきれいになった。よし、トイレとおふろ問題は解決っと。
『よっちゃん、ぼく手が短くて上手にお手伝い出来ないかもしれないけど、頭にならいろいろのせて運べるよ!』
お手伝い問題。フィリップにはまず配膳をしてもらおうか。
頭にドーナツクッションの小さいのを作ってのせ、お盆におかずを入れてはこんでみる。
テーブルまで頭で運ぶと、短い手で上手にお盆を下ろしてお皿をテーブルに乗っけられた!
おお!フィリップすごい!
とここで、僕はひらめいてしまった!
「フィリップにぴったりのお手伝いがあるよ!」
背中に背負子しょわせてお使いに行ってもらおう!
「フィリップ、お使いできるかな?」
『よっちゃん!まかせて!』
頼もうと思ってハッとした。お魚また食べちゃったらどうしよう…。
「フィリップ一つ約束できる?」
『はいっ』
「魚屋さんのお魚は食べないこと」
フィリップはハッとして、
『おうちまでがまんします!』
と約束してくれた。
「ほかにも八百屋さんとかスーパーとか行ける?」
『ぼく、おさかなしかわかんないの』
今度は僕がハッとした。おしゃべりが出来るから、ついフツーの人間の子供と同じように思ってしまった!
「あーごめん!いっしょにおつかいしようか!」
と僕が提案すると、フィリップはホッとしたカオで、
『よろしくおねがいします』
深々とお辞儀をして、床に頭のてっぺんがくっついた。
~初めてのお使い!~
「フィリップ~!おいで~!!」
ペタペタ廊下を歩く音が聞こえ、フィリップが顔を出した。
『はーい。よっちゃん、なあに?』
「お使い行こう!準備するよ」
フィリップの背中に背負子を背負わせて、僕は財布とたたんだエコバッグをポケットに入れ、商店街へと向かった。
フィリップが家に来てまだ二日目だけど、もう道すがらいろんな人に声をかけられて、ほんの5分程度の距離がなかなか進まなかった。
「よっちゃん!」
この声は…。ひろみさんだ!
「よっちゃん、会えたらあげようと思ってたのよ!」
手には猫缶が…。なぜ猫缶?
「ペンギンってお魚食べるでしょ?猫もお魚食べるから、新鮮なの手に入らない時のためにいいかなと思って!」
なるほど…。それは思いつかなかった。
「ね!食べそうでしょ?どう?」
ひろみさんはフィリップの目線までしゃがんで手に捧げ持った。
フィリップは僕を見つめて、
『よっちゃん、もらっていいの?』
「フィリップ、いただいておきなよ」
フィリップは後ろを向いて背負子をひろみさんに見せた。
ひろみさんは、
「これは入れていいってこと?」
僕を見つめて答えを求めた。
僕はうんうんと大きく頷いて、
「どうぞ入れてやって下さい!」
ひろみさんはうれしそうに背負子に入れると、
「フィリップ?くん?もらってくれてありがとうね」
フィリップのツルツルの頭を優しく撫でた。フィリップは感謝の気持ちを込めて、ひろみさんに深々とお辞儀した。
「やだ!お辞儀したわよ!可愛いねぇ」
その様子を遠くから見ていた商店街のみんながワラワラと寄ってきて、うちにも寄ってよ!と次々に声をかけてきて、フィリップはどうしようと僕をピカピカのまん丸おめめで見つめていた。
みんなフィリップが可愛くて、お店の前を通るたびに出てきてツルツルの頭を撫でていった。
フィリップはみんなに、
『こんにちは』とお辞儀してまわるので、買い物を終わるのに一時間もかかってしまった。
フィリップのごはんにと小さめのアジ、僕は八百屋さんで見つけた栗、魚屋さんで秋刀魚で秋の味覚を楽しもうと思った。
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