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第一章 一つの小さく、大きな偽り
第3話 誕生日プレゼント
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ユリーファは、屋敷へ着くと自室に引きこもった。明日のミアルに渡すプレゼントを考えるためだ。
「うーん。買い物は叔母様に怒られちゃうからなー。……あ!手作りのものだったら、いいかな♪編み物なら、得意だしね。うんうん、そうしよう。でも、何か他に欲しいなー。うーん」
と、ぶつぶつと独り言を呟いている。
コンコン
「はーい。どうぞ」
ドアを開き入って来たのは、侍女長のラフムだった。
「お嬢様…独り言は、お控えください。皆が驚かれますし、品のある行動とは言えませんよ。それに、言葉遣いもお気をつけください」
ラフムは、ユリーファの教育係であり、数少ない理解者でもある。もういい年というのに、ユリーファが心配で隠居出来ずにいる。
「ごめんなさい。…あ、そうよ!ラフムに頼まれて欲しいことがあるの!いや、あります!」
「…なんですか?」
「それはね………」
ユリーファは、耳打ちをした。まるで、秘密の作戦会議をするように。
「…っ、なりません!それは…」
「お願い!ミアルを喜ばせたいんだ…」
ユリーファは、手を合わせ片目を瞑ってお願いした。
「……はぁー、わかりました。ご用意致します」
「やったー!ありがとう、ラフム」
「その代わり。勉学により励むと約束してください」
ユリーファは、痛いところを突かれたといわんばかりの顔をした。
「わ、わかった。いえ、わかりました」
「はい。約束ですからね」
「おはよー、ミア!誕生日、おめでとう♪はい、これプレゼント」
ユリーファは、久しぶりに早起きをして朝一番にミアルが登校するのを待っていた。
「ありがとう、開けてみてもいいかしら?」
「もちろん!」
綺麗に包装された箱を開けて見ると中には、ユリーファお手製の毛糸で作った蝶の髪止めと、青い薔薇が一輪入っていた。
「わぁ、ユリーファ、とても嬉しいわ。ありがとう。着けてみていいかしら?」
「うん。えへへ、喜んでもらえて、よかった」
自分がもらったかのように喜んだ。あのときラフムに頼んだのは、この青い薔薇のことである。一輪だけ、もらってきて欲しいということだったのだ。
「ずっと、大切にするわね」
二人は仲良くお喋りをし始めた。
キーン コーン カーン コーン
「あら、もうこんな時間。席に着きましょ」
そう言って、二人は席に着いた。そして今日も陰口などはあったが、全く気にせずにユリーファは、過ごした。
「ミアル、また明日ー!バイバーイ!」
「また明日ね♪」
ユリーファは、手を思い切り振ってミアルと別れた。
皆が下校し終わった頃、またユリーファは登校していた。
「クロウ、わざわざごめんなさい。学校に課題を忘れたのは、私なのに…。でも、送ってくれてありがとう」
クロウは、アイディーニ家の専属運転手だ。父親から継いだばかりだが、ユリーファが七歳の頃からアイディーニ家には、出入りしていて、幼馴染みのような関係である。
「お嬢様は、ドジな方ですからね。次からはお気をつけください」
「うっはい。気をつけます」
クロウは、笑った。クロウにとって、ユリーファは妹のようなものなのだろう。
教室の前へ着くと、中に二人残っている人がいた。
「ミアル!?」
二人の内一人は、ミアルだった。もう一人は、いつもユリーファに悪口を言う女子の一人だった。
「うーん。買い物は叔母様に怒られちゃうからなー。……あ!手作りのものだったら、いいかな♪編み物なら、得意だしね。うんうん、そうしよう。でも、何か他に欲しいなー。うーん」
と、ぶつぶつと独り言を呟いている。
コンコン
「はーい。どうぞ」
ドアを開き入って来たのは、侍女長のラフムだった。
「お嬢様…独り言は、お控えください。皆が驚かれますし、品のある行動とは言えませんよ。それに、言葉遣いもお気をつけください」
ラフムは、ユリーファの教育係であり、数少ない理解者でもある。もういい年というのに、ユリーファが心配で隠居出来ずにいる。
「ごめんなさい。…あ、そうよ!ラフムに頼まれて欲しいことがあるの!いや、あります!」
「…なんですか?」
「それはね………」
ユリーファは、耳打ちをした。まるで、秘密の作戦会議をするように。
「…っ、なりません!それは…」
「お願い!ミアルを喜ばせたいんだ…」
ユリーファは、手を合わせ片目を瞑ってお願いした。
「……はぁー、わかりました。ご用意致します」
「やったー!ありがとう、ラフム」
「その代わり。勉学により励むと約束してください」
ユリーファは、痛いところを突かれたといわんばかりの顔をした。
「わ、わかった。いえ、わかりました」
「はい。約束ですからね」
「おはよー、ミア!誕生日、おめでとう♪はい、これプレゼント」
ユリーファは、久しぶりに早起きをして朝一番にミアルが登校するのを待っていた。
「ありがとう、開けてみてもいいかしら?」
「もちろん!」
綺麗に包装された箱を開けて見ると中には、ユリーファお手製の毛糸で作った蝶の髪止めと、青い薔薇が一輪入っていた。
「わぁ、ユリーファ、とても嬉しいわ。ありがとう。着けてみていいかしら?」
「うん。えへへ、喜んでもらえて、よかった」
自分がもらったかのように喜んだ。あのときラフムに頼んだのは、この青い薔薇のことである。一輪だけ、もらってきて欲しいということだったのだ。
「ずっと、大切にするわね」
二人は仲良くお喋りをし始めた。
キーン コーン カーン コーン
「あら、もうこんな時間。席に着きましょ」
そう言って、二人は席に着いた。そして今日も陰口などはあったが、全く気にせずにユリーファは、過ごした。
「ミアル、また明日ー!バイバーイ!」
「また明日ね♪」
ユリーファは、手を思い切り振ってミアルと別れた。
皆が下校し終わった頃、またユリーファは登校していた。
「クロウ、わざわざごめんなさい。学校に課題を忘れたのは、私なのに…。でも、送ってくれてありがとう」
クロウは、アイディーニ家の専属運転手だ。父親から継いだばかりだが、ユリーファが七歳の頃からアイディーニ家には、出入りしていて、幼馴染みのような関係である。
「お嬢様は、ドジな方ですからね。次からはお気をつけください」
「うっはい。気をつけます」
クロウは、笑った。クロウにとって、ユリーファは妹のようなものなのだろう。
教室の前へ着くと、中に二人残っている人がいた。
「ミアル!?」
二人の内一人は、ミアルだった。もう一人は、いつもユリーファに悪口を言う女子の一人だった。
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