雪と自転車

響乃 芥

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雪と自転車

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 昨晩は雪が降っていた、いつもはのらりくらりと寝るが、昨晩は違った。
どうにも寒かった。
人間やはり、いや、動物もこの服部もしかり、寒い時には床に就くのが早いようだ。
にもかくにも昨晩の雪がアスファルトに幕を張っている。私はおかしいのだろうか、こんな時誰もやらないであろう、また、自分の中で面白いと思いつき次第の事をしたくなるのだ。
 自転車で薄銀はくぎんの雪の上を漕いで、あてなく彷徨さまよいたいのだ。
思い立ったが吉日のごとくそこにあった私の自転車を漕ぎ出した。
恐怖より好奇心の方が優位に立っている。
人間は好奇心で出来ている感覚が生まれてきた。
明日からは好奇心で、好奇心に従って生きていこう。とは言っても明日には忘れるだろうけど。
曲がり角を右折。いや、滑らないよ。
なんせ私だ。小中高ではソコソコ運動神経の良かったんだ。滑って転ける道理はないだろう。
それ行ける。速くなる風と景色が心地よい。

転けた。

さっき、曲がり角では転け無かった私だが、転けた。なんならば直線で転けた。
速度有り余り、慣性によって数mほど滑りもした。
前からやってきた隣の佐々木さんには
「服部さんじゃない!あらまあ、大丈夫?」
などと心配をされたようだ。
かくいう私は身体の、節々が痛かったのだがうんと強がって
「ああ、大丈夫」
などと気取って言って、佐々木さんを送り出した。
幸い冬の寒さに厚着をしていたため怪我こそ無かったものの、手袋が破けてしまった。
後で修繕してまた使うがやはり落ち込むものである。
世間はこれをフラグと呼ぶのだろうか。
バカバカしい。
あまりにもバツが悪いのでさっさと我が家に帰り炬燵こたつにて色々考えるのである。

なぜ舞い上がってしまったんだ。雪のせいだ。
小中高運動神経良かった。昔の話だ。
カーブで滑らなかった。運が良かっただけだ。
滑らない。そんな訳ない。雪だ、滑るに決まってるじゃないか。
こんなのだったら大人しく雪玉遊びでもしておけば良かった。

ああ、こんな事考えても意味なんて無いのに考えてしまう。一つ一つ何度も何度も。
好奇心なんてクソだ。だけど好奇心は素晴らしい。
何故か、良くも悪くも人生という感じがする。

これからも好奇心で生きてゆこうじゃないか。
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