姫女菀

響乃 芥

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街路花

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 夏の子供が笑いながら姫女菀ひめじょおんを半分に潰し、「あっかんべー」などと言っている。
健気な顔してえげつない。
子供が1番怖く、子供だった時期が最も輝いていたのかもしれない。
 今となっては見る影もないが子供の時期は誰しも、一つ一つの変化に感激し、一つ一つの違いに胸を打っただろう。
例えば花と花を見て、同じ花でも、キズ、繊維、葉の形などを見ては高まる鼓動もあっただろう。
ただ水たまりが凍っただけ。
その欠片をつまんで不思議と観察し見ているだけで時間を忘れる時期があったのだ。
 子供、大人とは不思議なものだ。
所詮大人も子供であったのに、学年が上がるにつれ、月日が経つにつれて、大人と子供に区別をつけて、自然と子供を下に見ている気がする。
確かに大人は子供の延長線上で、大人から見ればかつて自分が立っていた場所に居る子供を下に見るのも頷けるが、大人は大人になる過程で、子供に備わっていて、人として意味のある能力を失っている。
 人は歳を重ね、経験を積む毎に少しづつ臆病になり、失敗を恐れるようになる。
失敗を恐れ挑戦にたじろぐと、とうとう人としての価値、人生の価値なんて消え失せるだろう。
そうはなりたくないものだ。
 私は決して枯れない雑草になりたいものだ。
 人生に於いて大抵の人は雑草である。
中には草花だったり、花となる人もいる。
が、やはり大抵は雑草である。
誰もが誰ものストーリーに於いて主役であるにもかかわらず。理不尽なものだ。
私が枯れない雑草になりたいのは、理由がある。
まず、私が思い描く雑草とは一重にたんぽぽである。彼女らは美しい花を咲かせ、踏まれようとも逞しく起き上がり、また、地面には深く根っこを備えている。
この上ないほど素晴らしい雑草だと思う。
 誰かが言っていた、奇跡とは備えていた人の元へとやってくる。違いない。
もしできるのならば、子供の時の私をちょいと呼び出して、その特有の無邪気さを是非とも分けて欲しいものだ。
 「坊や、足元を見てご覧。何がある?」
私は問う
「おはな!」
子供は無邪気に答える。
「お花がなんて考えているか分かるかい?」
「んとね!お腹減った!」
見事、私が望んだような答えだ。
また、私には到底思い浮かばないような答えだ。
「坊やは、どうかね。お腹減ったのかね?」
「うん!おなかへった!」
「そうかい、今日はもう遅くなっただろう、もうお昼の5時だ、家へお帰り。」
「うん!」
その後子供は自分の持っていた物をまとめてせっせと帰って行った。
私はここ最近で最も心の安らいだ一時であったかもしれない。
もうなんの未練もないだろうよ。
この世界の異端児はとっとと消えゆくが良いさ。
「さらば世よ!さらば愛しき我が子よ!およそ私が居ても居なくとも変わらぬ世よ!」
 そうして、男は消え失せ、姫女菀は散ったのであった。

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