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19小娘vs 再び
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「良いざまじゃな。誠に似合いぞ」
高飛車で侮蔑に満ちた声は、間違いようもなく、ファティマ皇女だった。
「フ、ファティマ皇女!もしかして、すべて貴女が?!」
「ふん、ようやくわかったか。そうじゃ、すべてわたくしが仕組んだことじゃ。
リチャード王を戦場におびき出し、お前の家族には行方不明になってもろうた。そうなれば、お前を誘い出しやすいからの」
「な、なぜこんなことを・・・」
「なぜじゃと?下賤の身でリチャード王を誘惑なぞするからじゃ!そんなこともわからぬとは、脳みそも下等じゃの!」
ファティマ皇女は鞭を片手に、時折弄ぶようにパシッ、と鳴らしながら語る。
恋の恨みでここまでするなんて・・・。この女を甘く見ていた!
「わ、私をどうする気?!」
「ふん。本来なら八つ裂きにしてやるところじゃがな」
そう言いながら、鞭で私の顔を撫でる。ぞっとして思わずのけぞると、勝ち誇ったような顔をして言った。
「奴隷商人に引き渡してくれるわ。お前のような小娘でも、東国では珍重されるそうじゃ。日の当たらぬ娼館の奥で、一生飼い殺しにされるがいい。泥棒猫らしくな!」
なんてこと・・・!私を娼婦として売り飛ばす気なんだわ。しかも遠国に。
そのとき、下男と思しき男に案内されて、奴隷商が入ってきた。
でっぷりと肥え太って、脂ぎった中年男だ。
奴隷を売り捌いた利益で肥え太ったかと思うと、ぞっとする。後ろには、フードを目深に被った体格の良い男を従えていた。用心棒なのだろう。
「遅かったではないか!もう少しでこの生意気な小娘を、鞭で打ち据えるところじゃったぞ」
「そ、それはご容赦を。大切な商品でござりますれば・・・」
奴隷商は大量の汗をかきながら答える。よほどファティマ皇女が恐ろしいのだろう、かなり怯えているようだ。無理もないわ、相手は猛獣だもの。
「冗談じゃないわ!一国の皇女ともあろう方が奴隷売買ですって?!民を導く立場にある方がすることではないわ!」
「やかましい!民など、王族に尽くすために存在するのじゃ!売り飛ばそうが首を刎ねようが、わたくしの勝手じゃ」
生まれながらに与えられた特権を、微塵も疑ったことのない者の声だ。特権は義務と背中合わせのはずなのに。
「生意気な小娘よ。
お前が去った後のことは心配いらぬぞ。
リチャード王はわたくしが慰めてやる。身も心もたっぷりとな・・・。
王はわたくしの虜となり、ローザンの民も、美しく高貴な王妃を歓迎するであろう」
この皇女・・・!
もう我慢できないわ!
こんな女に、リチャード様と祖国を貶められるなんて。
「それは無理よ」
「なんじゃと?」
「リチャード王は、民を愛し、民のために生きる方よ。あなたみたいな人は絶対に選ばない。弱い者を踏みにじって君臨するしか能がない、哀れなボス猿なんかね!」
「きっ、貴様!!」
ついに、ファティマ皇女が鞭を振り上げ、私は思わず目を閉じる。
リチャード様、リア様タクト様ごめんなさい。傷のない身体で帰りたかった・・・!
鞭が振り下ろされる振動を感じた、そのとき。
「その通りだ」
低い男の声がしたかと思うと、奴隷商が誰かに押されたかのように、ファティマ皇女めがけてよろめいた。
えっ?この声って・・・
思わずスカートにしがみつこうとする奴隷商を、ファティマ皇女は金切声を上げて避けようとする。
が、そのとき、用心棒の男が、背後から奴隷商の背中を思い切り蹴り上げた。
奴隷商とファティマ皇女は、蹴られた勢いのままぶつかり、もんどり打って倒れ込む。
男は手際良く二人を縛り上げてしまった。
そして、私の方に顔を向けながら、ゆっくりとフードを外す。
「遅くなってすまない、グレイス」
ああ、ああ!聞き間違いじゃなかったんだ・・・!
そこには、夢にまで見た愛しい人の顔があった。
高飛車で侮蔑に満ちた声は、間違いようもなく、ファティマ皇女だった。
「フ、ファティマ皇女!もしかして、すべて貴女が?!」
「ふん、ようやくわかったか。そうじゃ、すべてわたくしが仕組んだことじゃ。
リチャード王を戦場におびき出し、お前の家族には行方不明になってもろうた。そうなれば、お前を誘い出しやすいからの」
「な、なぜこんなことを・・・」
「なぜじゃと?下賤の身でリチャード王を誘惑なぞするからじゃ!そんなこともわからぬとは、脳みそも下等じゃの!」
ファティマ皇女は鞭を片手に、時折弄ぶようにパシッ、と鳴らしながら語る。
恋の恨みでここまでするなんて・・・。この女を甘く見ていた!
「わ、私をどうする気?!」
「ふん。本来なら八つ裂きにしてやるところじゃがな」
そう言いながら、鞭で私の顔を撫でる。ぞっとして思わずのけぞると、勝ち誇ったような顔をして言った。
「奴隷商人に引き渡してくれるわ。お前のような小娘でも、東国では珍重されるそうじゃ。日の当たらぬ娼館の奥で、一生飼い殺しにされるがいい。泥棒猫らしくな!」
なんてこと・・・!私を娼婦として売り飛ばす気なんだわ。しかも遠国に。
そのとき、下男と思しき男に案内されて、奴隷商が入ってきた。
でっぷりと肥え太って、脂ぎった中年男だ。
奴隷を売り捌いた利益で肥え太ったかと思うと、ぞっとする。後ろには、フードを目深に被った体格の良い男を従えていた。用心棒なのだろう。
「遅かったではないか!もう少しでこの生意気な小娘を、鞭で打ち据えるところじゃったぞ」
「そ、それはご容赦を。大切な商品でござりますれば・・・」
奴隷商は大量の汗をかきながら答える。よほどファティマ皇女が恐ろしいのだろう、かなり怯えているようだ。無理もないわ、相手は猛獣だもの。
「冗談じゃないわ!一国の皇女ともあろう方が奴隷売買ですって?!民を導く立場にある方がすることではないわ!」
「やかましい!民など、王族に尽くすために存在するのじゃ!売り飛ばそうが首を刎ねようが、わたくしの勝手じゃ」
生まれながらに与えられた特権を、微塵も疑ったことのない者の声だ。特権は義務と背中合わせのはずなのに。
「生意気な小娘よ。
お前が去った後のことは心配いらぬぞ。
リチャード王はわたくしが慰めてやる。身も心もたっぷりとな・・・。
王はわたくしの虜となり、ローザンの民も、美しく高貴な王妃を歓迎するであろう」
この皇女・・・!
もう我慢できないわ!
こんな女に、リチャード様と祖国を貶められるなんて。
「それは無理よ」
「なんじゃと?」
「リチャード王は、民を愛し、民のために生きる方よ。あなたみたいな人は絶対に選ばない。弱い者を踏みにじって君臨するしか能がない、哀れなボス猿なんかね!」
「きっ、貴様!!」
ついに、ファティマ皇女が鞭を振り上げ、私は思わず目を閉じる。
リチャード様、リア様タクト様ごめんなさい。傷のない身体で帰りたかった・・・!
鞭が振り下ろされる振動を感じた、そのとき。
「その通りだ」
低い男の声がしたかと思うと、奴隷商が誰かに押されたかのように、ファティマ皇女めがけてよろめいた。
えっ?この声って・・・
思わずスカートにしがみつこうとする奴隷商を、ファティマ皇女は金切声を上げて避けようとする。
が、そのとき、用心棒の男が、背後から奴隷商の背中を思い切り蹴り上げた。
奴隷商とファティマ皇女は、蹴られた勢いのままぶつかり、もんどり打って倒れ込む。
男は手際良く二人を縛り上げてしまった。
そして、私の方に顔を向けながら、ゆっくりとフードを外す。
「遅くなってすまない、グレイス」
ああ、ああ!聞き間違いじゃなかったんだ・・・!
そこには、夢にまで見た愛しい人の顔があった。
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