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アースドラゴン討伐
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さっきはギルド長が解体を取り仕切っていたのか?
「悪いな。俺はグレイザだ、宜しくな。実はお主を見込んで、依頼をお願いしたい」
「えっ、だって俺、まだCランクですよ」
「俺は肩書きなぞ信用しない、実力主義なのだ。まぁ、この国は皆、そう思って良いだろう」
早くエルフの国に行きたい所だが……先々の為に縁を作っておくのも悪くはない。
「取り敢えずどんな内容ですか?」
「うむ。依頼の内容は、アースドラゴンの討伐だ」
おいおい、Cランクの俺に、アースドラゴン討伐に参加しろってか?
「アースドラゴンですか?」
「そうだ、それもかなりでかい。実はな、まだ公にされていない鉱山が在ってな、そこに奴が住み着いてしまって、直ぐに討伐隊を送ったのだが、返り討ちにあってしまった」
「何人で行ったのです?」
「SとAクラスのパーティーを合わせて20人だ。負傷者続出でな、困っていたのだ」
「俺で役に立ちますかね?」
「そう謙遜するな。あのグレートウルフの倒し方、一見簡単そうだがそうでもない。バレットかスピアで倒したんだろうが、グレートウルフなら普通どの系統魔法でも貫通する。絶妙の力加減なら別だが。
しかし、それだと変なのだ。脳ミソや内臓がグチャグチャだったからな。考えられる事は2つ、中で爆発したか魔力が動き回ったかだ。爆発は、毛皮を傷つけるおそれがあるので考えにくい。どうだ、俺の読みは?」
なかなか鋭いな。
「そんな所です」
「今回は、それをアースドラゴン相手にやってくれればいい。チャンスは俺達が作る」
「解りました。俺の仲間も連れて行って良いですか?」
「お主の仲間なら、相当な実力者なのだろう、構わんよ。討伐は明後日、明日は打ち合わせだ。全員、ギルドの寄宿舎に泊まってくれ」
「解りました」
まさか、解体でおおよその事が判ってしまうとは。恐るべし、解体屋ギルド長グレイザ。
ーー
「すまん、流れで断れなかった」
「アースドラゴンですか?凄いわね」
「クロス様、何も問題有りません」
「そうですよ」
「美味しいです?」
「明日は打ち合わせだ」
「「楽しみ」」 「「はい」」
ーー
打ち合わせは、ギルドの大会議室にて行われる。
ドワーフのリーダーがまとめるSクラスが1パーティー、Aクラスが3パーティーで、なぜか獣人のパーティーが1組、全部4人のパーティーで俺達と合わせて25人だ。
前回の戦いで判ったアースドラゴンの防御の1つに魔法障壁が有る。これをどうするかが問題らしい。
俺なら魔素に変えてしまうが、正直に話す気はない。誰かが危険な時は、とぼけて使うつもりだが。
ギルド長が取り出したのは、エルフの国から取り寄せた魔道具で、障壁に穴を空ける物らしい。ただ、一時的に障壁を造る魔力構成を崩すだけで、直ぐに戻ってしまう。1度使うと魔道具の魔力が切れる為、チャンスは1回と言う事になる。
皆の役割分担が決まった所で解散となった。
翌日、北の山に向かう。新発見された鉱山の入口は大きくきれいに整っているが、坑道の所々が崩れている。アースドラゴンが無理やり通ったのだろう。坑道を進んで行くと、資材や休憩所がある広い場所に出た。
そこから坑道である穴が2つ有るのだが、1つは今までの坑道より一回り小さく、もう1つはニ回り大きかった。
「このでかい穴の先が奴の寝床だ」
アースドラゴンが勝手に掘った穴の様だ。手筈通り、牛族がリーダの獣人パーティーがこの広場まで誘き出す作戦だ。奴の寝床では待ち伏せされ、狭くて戦えない。
ドワーフパーティーSランクのダイブがドラゴンスレイヤーを構えて穴の上で待ち伏せをする。
牛族のパーティーが穴の中に入って行った。各パーティーの魔術師が後方で魔力を練る。中央に魔道具を構えてギルド長、俺達と残りの者はギルド長を囲む様に位置に着いた。
静寂の中、咆哮が轟き地響きが起こった。牛族達が穴から出て来る。アースドラゴンの鼻面が見えた。
気合いと共に、ダイブのドラゴンスレイヤーがアースドラゴンの首に食い込むが、致命傷には勿論ならない。アースドラゴンが大き過ぎるのだ。それでも痛みは有る、首を大きく振り、ダイブをぶっ飛ばした。
俺達を見つけたアースドラゴンは、ブレスを吐くため口を大きく開けた、そこにミラ達と魔法が得意なな冒険者たちが練りに練ったファイアーボールが降り注ぐ。
たまらずアースドラゴンは魔法障壁を張った、見えない壁にファイアーボールは弾かれて行く。
「待ってました」
ギルド長が魔道具を使った。
「これで障壁は消えた。クロス、後は頼むぞ」
えっ、頼むと言われても、消えて無いぞ。
あ~、皆には見えないのか。魔道具の故障か操作ミスか?ぶっつけ本番だから、仕方がないか。
一瞬、牛族のリーダーと目が合ったが、それどころではない。殺られる訳にはいかないので、俺のマジックシールドを"数撃ちゃ当たる"作戦で障壁に向かって無数放った。狙うはアースドラゴンの柔らかい目の付近だ。
俺の放ったマジックシールドが功を奏して障壁は魔素になって霧散した。
すかさず土魔法のストーンバレットにみせかけて、アダマンタイトの玉を5つドラゴンの目に撃ち込み、脳内に入った玉でかき回す。念のため内臓もいっとくか?……まてまて、確かドラゴンの肝は高級品な筈、止めておくか、 などど考えていると、
[ズッズーン!]
アースドラゴンの首がグラリと折れて地に着いた。
「兄さん、凄いな」
「えっ、それ程でも」
つい生返事をしてしまったが、牛族リーダーにどこを褒められた?倒した事だよな。
「やった~!」「クロス、やったな」
「どうも」
ーー
ギルド長の奢りで、夜はドワーフの名物、肉料理のフルコースだ。勿論、アースドラゴンの肉も入っている。酒は浴びるほど飲むこととなった。
飲み過ぎたので、出発は2日後になった。満面の笑みのギルド長から、依頼料を受け取る。革袋に金貨がどっさりと入っている。
「グレートウルフの分とで3409枚入ってる。解体手数料はサービスだ」
「こんなにですか」
「お主がこの地に居てくれて良かったぞ。本当は、ランクも上げたい所だが、有る意味ルール違反だからな。申し訳ない料を含めた、俺の気持ちだ。困った事が有ったら、頼ってくれ」
「ありがとう御座います」
この依頼は受けて良かった。知り合いや仲間が増える事は、これからの事を考えると必ず必要になってくる。
「悪いな。俺はグレイザだ、宜しくな。実はお主を見込んで、依頼をお願いしたい」
「えっ、だって俺、まだCランクですよ」
「俺は肩書きなぞ信用しない、実力主義なのだ。まぁ、この国は皆、そう思って良いだろう」
早くエルフの国に行きたい所だが……先々の為に縁を作っておくのも悪くはない。
「取り敢えずどんな内容ですか?」
「うむ。依頼の内容は、アースドラゴンの討伐だ」
おいおい、Cランクの俺に、アースドラゴン討伐に参加しろってか?
「アースドラゴンですか?」
「そうだ、それもかなりでかい。実はな、まだ公にされていない鉱山が在ってな、そこに奴が住み着いてしまって、直ぐに討伐隊を送ったのだが、返り討ちにあってしまった」
「何人で行ったのです?」
「SとAクラスのパーティーを合わせて20人だ。負傷者続出でな、困っていたのだ」
「俺で役に立ちますかね?」
「そう謙遜するな。あのグレートウルフの倒し方、一見簡単そうだがそうでもない。バレットかスピアで倒したんだろうが、グレートウルフなら普通どの系統魔法でも貫通する。絶妙の力加減なら別だが。
しかし、それだと変なのだ。脳ミソや内臓がグチャグチャだったからな。考えられる事は2つ、中で爆発したか魔力が動き回ったかだ。爆発は、毛皮を傷つけるおそれがあるので考えにくい。どうだ、俺の読みは?」
なかなか鋭いな。
「そんな所です」
「今回は、それをアースドラゴン相手にやってくれればいい。チャンスは俺達が作る」
「解りました。俺の仲間も連れて行って良いですか?」
「お主の仲間なら、相当な実力者なのだろう、構わんよ。討伐は明後日、明日は打ち合わせだ。全員、ギルドの寄宿舎に泊まってくれ」
「解りました」
まさか、解体でおおよその事が判ってしまうとは。恐るべし、解体屋ギルド長グレイザ。
ーー
「すまん、流れで断れなかった」
「アースドラゴンですか?凄いわね」
「クロス様、何も問題有りません」
「そうですよ」
「美味しいです?」
「明日は打ち合わせだ」
「「楽しみ」」 「「はい」」
ーー
打ち合わせは、ギルドの大会議室にて行われる。
ドワーフのリーダーがまとめるSクラスが1パーティー、Aクラスが3パーティーで、なぜか獣人のパーティーが1組、全部4人のパーティーで俺達と合わせて25人だ。
前回の戦いで判ったアースドラゴンの防御の1つに魔法障壁が有る。これをどうするかが問題らしい。
俺なら魔素に変えてしまうが、正直に話す気はない。誰かが危険な時は、とぼけて使うつもりだが。
ギルド長が取り出したのは、エルフの国から取り寄せた魔道具で、障壁に穴を空ける物らしい。ただ、一時的に障壁を造る魔力構成を崩すだけで、直ぐに戻ってしまう。1度使うと魔道具の魔力が切れる為、チャンスは1回と言う事になる。
皆の役割分担が決まった所で解散となった。
翌日、北の山に向かう。新発見された鉱山の入口は大きくきれいに整っているが、坑道の所々が崩れている。アースドラゴンが無理やり通ったのだろう。坑道を進んで行くと、資材や休憩所がある広い場所に出た。
そこから坑道である穴が2つ有るのだが、1つは今までの坑道より一回り小さく、もう1つはニ回り大きかった。
「このでかい穴の先が奴の寝床だ」
アースドラゴンが勝手に掘った穴の様だ。手筈通り、牛族がリーダの獣人パーティーがこの広場まで誘き出す作戦だ。奴の寝床では待ち伏せされ、狭くて戦えない。
ドワーフパーティーSランクのダイブがドラゴンスレイヤーを構えて穴の上で待ち伏せをする。
牛族のパーティーが穴の中に入って行った。各パーティーの魔術師が後方で魔力を練る。中央に魔道具を構えてギルド長、俺達と残りの者はギルド長を囲む様に位置に着いた。
静寂の中、咆哮が轟き地響きが起こった。牛族達が穴から出て来る。アースドラゴンの鼻面が見えた。
気合いと共に、ダイブのドラゴンスレイヤーがアースドラゴンの首に食い込むが、致命傷には勿論ならない。アースドラゴンが大き過ぎるのだ。それでも痛みは有る、首を大きく振り、ダイブをぶっ飛ばした。
俺達を見つけたアースドラゴンは、ブレスを吐くため口を大きく開けた、そこにミラ達と魔法が得意なな冒険者たちが練りに練ったファイアーボールが降り注ぐ。
たまらずアースドラゴンは魔法障壁を張った、見えない壁にファイアーボールは弾かれて行く。
「待ってました」
ギルド長が魔道具を使った。
「これで障壁は消えた。クロス、後は頼むぞ」
えっ、頼むと言われても、消えて無いぞ。
あ~、皆には見えないのか。魔道具の故障か操作ミスか?ぶっつけ本番だから、仕方がないか。
一瞬、牛族のリーダーと目が合ったが、それどころではない。殺られる訳にはいかないので、俺のマジックシールドを"数撃ちゃ当たる"作戦で障壁に向かって無数放った。狙うはアースドラゴンの柔らかい目の付近だ。
俺の放ったマジックシールドが功を奏して障壁は魔素になって霧散した。
すかさず土魔法のストーンバレットにみせかけて、アダマンタイトの玉を5つドラゴンの目に撃ち込み、脳内に入った玉でかき回す。念のため内臓もいっとくか?……まてまて、確かドラゴンの肝は高級品な筈、止めておくか、 などど考えていると、
[ズッズーン!]
アースドラゴンの首がグラリと折れて地に着いた。
「兄さん、凄いな」
「えっ、それ程でも」
つい生返事をしてしまったが、牛族リーダーにどこを褒められた?倒した事だよな。
「やった~!」「クロス、やったな」
「どうも」
ーー
ギルド長の奢りで、夜はドワーフの名物、肉料理のフルコースだ。勿論、アースドラゴンの肉も入っている。酒は浴びるほど飲むこととなった。
飲み過ぎたので、出発は2日後になった。満面の笑みのギルド長から、依頼料を受け取る。革袋に金貨がどっさりと入っている。
「グレートウルフの分とで3409枚入ってる。解体手数料はサービスだ」
「こんなにですか」
「お主がこの地に居てくれて良かったぞ。本当は、ランクも上げたい所だが、有る意味ルール違反だからな。申し訳ない料を含めた、俺の気持ちだ。困った事が有ったら、頼ってくれ」
「ありがとう御座います」
この依頼は受けて良かった。知り合いや仲間が増える事は、これからの事を考えると必ず必要になってくる。
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