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新興勢力
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いきなりギルド長室とは、いったいどんな話しなのだろう?
「いいところに来てくれた。話はどこまで聞いている?」
「いや、全く聞いてない。ここに直ぐに連れて来られた」
「そうか、ファロスがなぜ君を知っているのかは後で聞くとして、大まかに話そう。グリフォンの爪が君の協力のお陰で壊滅状態になり、一時は平和だったのだが、犯罪組織のパワーバランスが崩れてね」
「ああ、そういう事か。三つ巴だった一角が崩れてどこが出て来たんです?」
「アイム・ノット・ギルティだ。奴らはグリフォンの爪の残党や小さい下部組織を吸収して大暴れしている」
「あそこか」
ちなみにもう1つの犯罪集団は、ザラステン王国と裏で繋がっていて、俺達に金を強奪されたインモラルフリークスになる。
魔道師崩れや冒険者崩れが集まり結成された、ろくでなしの集まりだが、色んな専門知識も有り意外と厄介な連中だ。
「この地域の奴らのアジトだと思われる場所の偵察に俺達のパーティが行ったんだ」
「失敗したのだな?」
「悔しいがその通りだ」
「ファロス達のせいばかりではない。俺の判断ミスでもある、もっと慎重に動くべきだった」
「途中で気づかれてしまって、俺だけ迷路のようなアジトからやっとの事で脱出したんだ」
「仲間は捕まって死んだのか?」
「いや、捕まってはいない筈だ。奴らの罠のせいでバラバラになってしまったが、何処かに隠れているはず。というより閉じ込められたと言っていい」
「なぜそう言い切れる?」
「俺が脱出する時に見たんだ。あそこは洞窟の地形を上手く利用したカラクリ屋敷にみたいになっていて、俺達が侵入した所で切り離し、崖になって隔離された状態になってる」
「成る程」
「奴らはじっくり時間をかけて脱出する算段を練ってると読んで、仲間の救出とアジトを殲滅するために急ぎ攻め込んだのだが……」
「返り討ちにあった?」
「その通り。とんでもない罠を仕掛けていた」
「そこが肝なのだな」
「切り離された所までは行かなくてはなら無いので、入口から入らねばならないのだが問題がある」
「何だ?」
「どういう仕組みだか皆目見当がつかないが、マジックシュートとでも言えばいいのか、魔力が入口に充満していて、入った途端に何処かに飛ばされる」
「ダンジョンの転移の罠みたいな物か?」
「そうだ、行き先はランダムで決まってはいない。50人あまりが行方不明だ。迷路の何処かに居るのだろう。抜け出て少しずつは戻って来ているがな」
成る程、それで俺の魔力消去が必要って事か。
「それをクリアすれば良いのだな?」
「いや、それだけではないのだ。戻って来た冒険者の中で、運良く崖の側に飛ばされた仲間が見たんだ。火を吐く小さな竜を」
「サラマンドラか?」
「御明察。こいつは元々そこに住んでた奴なのだろうが、どうやって手懐けたんだか」
「妖精までいるのか。それで今度の出陣はいつなんだ?」
「逃げられる可能性があるので、あまり悠長にしていられない。冒険者の集まり具合にもよるが3日後だと思ってくれ」
「解った」
ーー
「サラマンドラか。水属性の魔法で対抗出来るけど妖精相手では分が悪いわね」
「こっちにだって火が得意のがいるじゃない」
「えっ?誰よ」
「ハウバ、忘れられているわよ」
「酷いでござるな、アン」
「あっ、そうだった。ごめん、ごめん。でもメル、それでどうするの同じ属性じゃない」
「そこから先は知らないわよ」
「まったく」
「いや、案外良いかもしれん。同じ妖精だしな」
「ほら、みなさい。クロス、偉い」
ーーーー
お祭り騒ぎの街での集合はやめて、森の中に今回の討伐に参加する冒険者達が集まった。
「うわぁ、ブラックドック!俺の魂を持って行かないでくれ」
「そ、そうだぞ。オークの肉をやるから見逃してくれ」
ハウバを見て、集まっていた冒険者達が腰を抜かしてしまった。
「なんと酷い言われようだ。吾輩は良いブラックドックであるぞ」
「なあ、メル。ブラックドックに良いとか悪いとかなんて事が有るのか?」
「そうねぇ、子供の守り神と信じられている地域は確かに有るわね。ハウバがどうだかは知らないけど」
「ふ~ん」
「流石だぜ兄さん、妖精の仲間がいるなんて」
「ク、クロス君、他の冒険者が驚くのでアジトに着くまで妖精には隠れてもらってくれないか」
「解りました。ハウバ、すまんな」
「仕方ないでござる」
馬車で揺られること3時間、洞窟の前に到着。入口は意外と大きい。
よく見ると確かに魔力が充満している。これがマジックシュートになっているのか?
「兄さん、頼む」
「解った」
マジックシールドの操りかたも慣れてきたので、無駄撃ちすることなく洞窟の入口に飛んでいく。そして魔力は消滅した。
「兄さん、やった!」
「待て」
一旦消えた魔力が戻って来て、再び入口に充満する。
「どうやらずっと魔力が放出される仕組みらしいな」
「そんな……」
「クロス君、どうする?」
う~ん、どうしようか?俺一人なら入る方法は有る。時の空間に全員入れて入れば済む話だが、そこまで手の内を見せたくはない。……何だ俺が入るのと同じ環境を造ればいいだけじゃないか。
「お前達、耳をかせ……」
入口に充満してる魔力の厚さは3mくらいなので、使うミスリルの球数はこんなもんだろう。
時の空間から入口の前に山積みにして出す。
手を使わずに物を動かすのも知られるわけには行かないので、パチンコ玉程度の大きさのミスリル球を使ってミラ、アン、マリ、ジーナ達が作っているように見せかける。実際は念動力スキルで俺が組み立ているのだが、周りの冒険者には判らない。
出来上がったのは直径1mで長さ5mの筒だ。
これに俺が触れてマジックシールドのを形成する魔力を流せば、筒に触れた魔力を消すトンネルの出来上がりだ。
あたかも俺達で洞窟の入口に運んでいるようにみせて、中へと押し込んだ。
「「「おお~!」」」
「筒が消えないで有るぜ」
「この中を通って行けば変なところに飛ばされないですむぞ」
「いやはやなんとも、これも理屈は解らんが助かった」
次々と冒険者達が中に入って行き、最後に俺が通って終了。
これで残りはサラマンドラだけだ。
「いいところに来てくれた。話はどこまで聞いている?」
「いや、全く聞いてない。ここに直ぐに連れて来られた」
「そうか、ファロスがなぜ君を知っているのかは後で聞くとして、大まかに話そう。グリフォンの爪が君の協力のお陰で壊滅状態になり、一時は平和だったのだが、犯罪組織のパワーバランスが崩れてね」
「ああ、そういう事か。三つ巴だった一角が崩れてどこが出て来たんです?」
「アイム・ノット・ギルティだ。奴らはグリフォンの爪の残党や小さい下部組織を吸収して大暴れしている」
「あそこか」
ちなみにもう1つの犯罪集団は、ザラステン王国と裏で繋がっていて、俺達に金を強奪されたインモラルフリークスになる。
魔道師崩れや冒険者崩れが集まり結成された、ろくでなしの集まりだが、色んな専門知識も有り意外と厄介な連中だ。
「この地域の奴らのアジトだと思われる場所の偵察に俺達のパーティが行ったんだ」
「失敗したのだな?」
「悔しいがその通りだ」
「ファロス達のせいばかりではない。俺の判断ミスでもある、もっと慎重に動くべきだった」
「途中で気づかれてしまって、俺だけ迷路のようなアジトからやっとの事で脱出したんだ」
「仲間は捕まって死んだのか?」
「いや、捕まってはいない筈だ。奴らの罠のせいでバラバラになってしまったが、何処かに隠れているはず。というより閉じ込められたと言っていい」
「なぜそう言い切れる?」
「俺が脱出する時に見たんだ。あそこは洞窟の地形を上手く利用したカラクリ屋敷にみたいになっていて、俺達が侵入した所で切り離し、崖になって隔離された状態になってる」
「成る程」
「奴らはじっくり時間をかけて脱出する算段を練ってると読んで、仲間の救出とアジトを殲滅するために急ぎ攻め込んだのだが……」
「返り討ちにあった?」
「その通り。とんでもない罠を仕掛けていた」
「そこが肝なのだな」
「切り離された所までは行かなくてはなら無いので、入口から入らねばならないのだが問題がある」
「何だ?」
「どういう仕組みだか皆目見当がつかないが、マジックシュートとでも言えばいいのか、魔力が入口に充満していて、入った途端に何処かに飛ばされる」
「ダンジョンの転移の罠みたいな物か?」
「そうだ、行き先はランダムで決まってはいない。50人あまりが行方不明だ。迷路の何処かに居るのだろう。抜け出て少しずつは戻って来ているがな」
成る程、それで俺の魔力消去が必要って事か。
「それをクリアすれば良いのだな?」
「いや、それだけではないのだ。戻って来た冒険者の中で、運良く崖の側に飛ばされた仲間が見たんだ。火を吐く小さな竜を」
「サラマンドラか?」
「御明察。こいつは元々そこに住んでた奴なのだろうが、どうやって手懐けたんだか」
「妖精までいるのか。それで今度の出陣はいつなんだ?」
「逃げられる可能性があるので、あまり悠長にしていられない。冒険者の集まり具合にもよるが3日後だと思ってくれ」
「解った」
ーー
「サラマンドラか。水属性の魔法で対抗出来るけど妖精相手では分が悪いわね」
「こっちにだって火が得意のがいるじゃない」
「えっ?誰よ」
「ハウバ、忘れられているわよ」
「酷いでござるな、アン」
「あっ、そうだった。ごめん、ごめん。でもメル、それでどうするの同じ属性じゃない」
「そこから先は知らないわよ」
「まったく」
「いや、案外良いかもしれん。同じ妖精だしな」
「ほら、みなさい。クロス、偉い」
ーーーー
お祭り騒ぎの街での集合はやめて、森の中に今回の討伐に参加する冒険者達が集まった。
「うわぁ、ブラックドック!俺の魂を持って行かないでくれ」
「そ、そうだぞ。オークの肉をやるから見逃してくれ」
ハウバを見て、集まっていた冒険者達が腰を抜かしてしまった。
「なんと酷い言われようだ。吾輩は良いブラックドックであるぞ」
「なあ、メル。ブラックドックに良いとか悪いとかなんて事が有るのか?」
「そうねぇ、子供の守り神と信じられている地域は確かに有るわね。ハウバがどうだかは知らないけど」
「ふ~ん」
「流石だぜ兄さん、妖精の仲間がいるなんて」
「ク、クロス君、他の冒険者が驚くのでアジトに着くまで妖精には隠れてもらってくれないか」
「解りました。ハウバ、すまんな」
「仕方ないでござる」
馬車で揺られること3時間、洞窟の前に到着。入口は意外と大きい。
よく見ると確かに魔力が充満している。これがマジックシュートになっているのか?
「兄さん、頼む」
「解った」
マジックシールドの操りかたも慣れてきたので、無駄撃ちすることなく洞窟の入口に飛んでいく。そして魔力は消滅した。
「兄さん、やった!」
「待て」
一旦消えた魔力が戻って来て、再び入口に充満する。
「どうやらずっと魔力が放出される仕組みらしいな」
「そんな……」
「クロス君、どうする?」
う~ん、どうしようか?俺一人なら入る方法は有る。時の空間に全員入れて入れば済む話だが、そこまで手の内を見せたくはない。……何だ俺が入るのと同じ環境を造ればいいだけじゃないか。
「お前達、耳をかせ……」
入口に充満してる魔力の厚さは3mくらいなので、使うミスリルの球数はこんなもんだろう。
時の空間から入口の前に山積みにして出す。
手を使わずに物を動かすのも知られるわけには行かないので、パチンコ玉程度の大きさのミスリル球を使ってミラ、アン、マリ、ジーナ達が作っているように見せかける。実際は念動力スキルで俺が組み立ているのだが、周りの冒険者には判らない。
出来上がったのは直径1mで長さ5mの筒だ。
これに俺が触れてマジックシールドのを形成する魔力を流せば、筒に触れた魔力を消すトンネルの出来上がりだ。
あたかも俺達で洞窟の入口に運んでいるようにみせて、中へと押し込んだ。
「「「おお~!」」」
「筒が消えないで有るぜ」
「この中を通って行けば変なところに飛ばされないですむぞ」
「いやはやなんとも、これも理屈は解らんが助かった」
次々と冒険者達が中に入って行き、最後に俺が通って終了。
これで残りはサラマンドラだけだ。
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話が面白くて毎日楽しみに読ませていただいています。
ただ、エルフの国王と古代遺跡の回が中身が重複していて気になっています。エルフ語で何が書かれていたのか非常に気になるところです
コメント頂きありがとう御座います。すいません、投稿ミスで話が重複していました。差し替えるますので暫くお待ちを。
古代遺跡の話は後の回にて出てくる予定です。