ひめてん~姫と天使と悪魔と猫~

こーちゃ

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第三章 愛と勇気の大冒険

第9話 洞窟と言ったら罠だよね

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 ようやく服を着るアイバーン。

「危ない所を助けたんだから、普通ここは熱い抱擁を交わすとこじゃないのかね?」
「ああそうねっ! 僕だってアイ君と合流出来て嬉しかったけど、あの格好を見せられるとねっ!!」
 少し怒り気味に言うユーキ。


「ユーキちゃん……」
 声をかけて来た男達の方に振り返り。

「分かったでしょ? 君達が倒せなかったサイクロプスを僕が倒した……つまり僕の方が強いって事! これでもう勝負しなくてもいいよね?」
「ほとんど私が倒したんだがね」
「アイ君、うるさい!!」

「ああ分かった……今回は引き下がるよ」
「良かった……分かってもらえたか」
(今回はってのが気になるけども)


「そもそもユーキ君は私の彼女なんだ……諦めたまえ」
 そう言って背後からユーキを抱きしめるアイバーン。

「んなっ!!」
 顔が真っ赤になるユーキ。
「この痴漢ー!!」
 ユーキの掌底が、アイバーンのアゴを下から撃ち抜く。
「がはぁっ!!」
「な、な、な、何を言ってんだ君はー!!」

「いや、こう言っておけば諦めるかと思ってね」
「逆に変な噂が広まるだろー!!」
「私としては願っても無い事なのだが……」
「ん? 何か言った?」
「いえ何も」

 再び男達の方に向き直り。

「いや違うからね?」
「そうか……やっぱり2人は付き合ってたんだなー」
「え? いやだから違うって!!」
「ああ、恥ずかしいからって隠さなくてもいいよ……2人のやり取りを見てたら分かるよ」

「完全に節穴だからー!!」

 ユーキの絶叫が響き渡る。


 ようやく納得して去って行く男達。

「ふうっ、やっと落ち着いた」
「さて、とりあえず合流も出来たし、これからどうするね? ユーキ君」

「うん、いきなり大量に魔石をゲット出来たから、今度は景品を探したいな」
「ふむ……どこか心当たりはあるかね?」
「そういうのは洞窟とかに有るのが定番なんだ」
「洞窟か……では行ってみようか」
「行ってみよー!」


 水分補給しつつ、洞窟を探している2人。
 ふとユーキがアイバーンに疑問を投げかける。

「ねえアイ君……」
「ん? 何だね?」
「僕ってかわいい?」
「ブーーーー!!」
 唐突なユーキの質問に口に含んだドリンクを吹き出すアイバーン。
 
「ゴホゴホッ!! い、いきなり何を言い出すんだ? ユーキ君!!」
「あ、いや……ベルクルの闘技場でも今回も、みんな僕に付き合ってって言って来るからさ……そんなに言う程かわいいのかな? ってちょっと思ったから」

「ま、まあ確かにユーキ君は他に類を見ない程かわいい」
「そうなんだ……じゃあアイ君も惚れる?」
 少し小悪魔的な表情で質問するユーキ。

「なっ! あ、いや、その……わ、私はお、王国騎士という立場があああってだね……」
「ええー、じゃあ僕の事嫌いなんだー?」
「い、いやいや! 嫌いなどとは言っていない! も、勿論好きだとも!」

 顔を真っ赤にしながら取り繕うアイバーン。
「フフッ、照れちゃって……かわいい」
「か、からかわないでくれたまえ! ユーキ君!」

 

 そうこうしてる内に、いかにもという感じの洞窟を発見するユーキ達。

「あった! 洞窟!」
「ふむ……では入ってみるとしようか」
「うん、入ってみるとしよう!」

 洞窟の通路は道幅高さ共に3メートル程あり、歩くには充分な広さだったが、灯りが無く奥に進むに従いどんどん暗くなって行く。

「ユーキ君……」
「な、何?」
「さっきから、何故私にしがみついているのかね?」
「ふえっ! い、いや……暗いからはぐれない様に、ね」

 アイバーンの腕にしがみつく様にして歩いているユーキ。

「ユーキ君……」
「な、何?」
「もしかして……」
「な、何だよ?」
「怖いのかね?」
「んなっ! な、ななななな! な、何バカな事言ってんだよ? おお、乙女じゃあるまいし! こ、こんな暗闇が怖い訳ないだろ? ほら! 暗闇なんか平気だって事、証明してあげるよ!!」

 思いっきり動揺しながら、強がってツカツカと前に出て行くユーキ。

「あ、ユーキ君! 不用意に進むのは危険だ!」
「大丈夫だよ! こんなのは多分、イベント用に作られた洞窟なんだから!」

 そんなユーキの言葉を裏付ける様に、突然ユーキの足下の地面が、扉を開く様に大穴を開ける。

「へ?」
「ユーキ君!!」

 体がほとんど穴に落ちた所で、アイバーンに腕を掴まれるユーキ。

「何とか掴めたか……大丈夫かね? ユーキ君!!」
「あ、うん……大丈夫、ありがとう」
「ところでユーキ君……」
「な? 何?」
「何故飛行魔法を使わないのかね?」
「あ……」

 
 フライを唱えて、穴から上がって来るユーキ。

「いやー、普段空を飛ぶ習慣が無いから、つい飛行魔法忘れちゃうんだよね……ハハ、ハハハ……」
「ユーキ君が言うようにイベントの為に作られた洞窟ならば、他にも罠が仕掛けられていると見るべきだろう」
「うん、気を付けて進もう」


 再びアイバーンの腕にしがみつきながら進むユーキ。

「ユーキ君……」
「な、何?」
「魔法で灯りは出せないのかね?」
「うーん……瞬間的に光を放つ事は出来るんだけど、小さい光や炎を持続して出し続けるのは結構難しいんだ」
「そうか……」
「何か燃やす物があれば、火をつけられるんだけど……」

「木の枝でいいなら持っているが?」
「え! 木の枝持ってるの?」
「役に立つかと思って、さっき拾っておいたんだが……」
「もう! それなら早く出してよ!」

「いや、暗闇ならユーキ君が頼ってくれるかと思ってね」
 ほとんど聞こえないぐらいの声で呟くアイバーン。
「え? 何か言った?」
「いや、何も……」

「ファイアー!」
 木の枝に火をつけるユーキ。
「よし! これならしばらくは保つぞ!」


 木の枝をたいまつとして辺りを照らすユーキ。
 その灯りをアイバーンの方に向けると、何故かまた海パン姿になっているアイバーンが浮かび上がる。

「脱ぐなあああ!!」
「ぐはぁっ!!」

 ユーキの華麗な右ストレートが、アイバーンの顔面に炸裂する。
 
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