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第三章 愛と勇気の大冒険
第18話 語尾を伸ばせば、誰でもセラになれる
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「随分と騒がしいが、何事かな?」
エントランスの奥から、リッチが現れる。
「あいつは?」
「奴がオーナーの、ゲルト・リッチだ」
「そう、あいつが誘拐犯の親玉って訳ね」
「お客さんですか……僕に何か御用ですか?」
「とぼけるんじゃないわよ、この誘拐犯が!! 今すぐユーキを返しなさい! そうすれば、半殺しぐらいで勘弁してあげるわ!!」
「誘拐とは人聞きの悪い……彼女は僕の妻とする為に、この屋敷に招待したのです」
「な、ん、で、す、っ、てえー」
今にも怒りが爆発しそうなパティ。
「ロロ君!」
リッチが呼ぶと、奥からロロに後ろ手に掴まれたユーキが現れる。
「ユーキ!!」
「パティ! それにみんなも!」
ウエディングドレス姿のユーキを見たパティ。
「ユーキ……その格好……」
「い、一応言っとくけど、好きでこんな格好してるんじゃないからね!!」
「分かってるわユーキ! こいつらを片付けたら、そのままあたしと結婚式を挙げましょう!!」
「全然分かってなーい!!」
「ああー! パティちゃんずるいー! ユウちゃんと結婚するのはぁ、私なんですからねぇ!」
「いいや、私だ!」
「え? い、いや! 僕とです!」
パティに乗っかるアイバーン達。
「みんなして乗るなー!!」
「いや、俺と結婚しよう!!」
ついでに乗ってくるザウス。
「お前もかよっ!」
「わざわざユーキを連れて来てくれるなんて……これで探す手間が省けたわ」
「おっと! ユーキさんを連れて、旨く逃げようなんて思わない事です……これを見てください」
そう言ってユーキの腕を掴み、手首にある拘束具をパティ達に見せるリッチ。
「この魔道具には魔力を封じる術式が施されていて、これをユーキさんの両手両足の4カ所に着けています。外す為には専用のカギを使わないといけませんが、そのカギは四天王がそれぞれ一つずつ持っています……もうお判りですね?」
「四天王を倒して奪え……という事か……」
「その通り! 僕はゲームが大好きでして、こういう状況になる事を想定して、あらかじめ準備しておいたんですよ」
「揃いも揃ってとぼけていた訳か……ならば我々の事も調査済みなのだろう?」
「フフフ!」
「力ずくで外す、と言う手もあるが?」
「それはおすすめしません……強引に外そうとすると、中に仕込まれた毒針が飛び出す仕組みになっていますので……もしその毒を受けたら、10分と保たずにあの世行きとなるでしょう」
(いいっ! さっき結構強引に外そうとしたけど、大丈夫か?)
リッチの発言を受けて、セラと小声で話すパティ。
「今の話、どう思う? セラ」
「毒針の事ですかぁ? おそらくはハッタリですぅ……でも決定的な証拠が無い限りぃ、うかつな行動は取れないですぅ」
「今はあいつの言うことに従うしかない訳か……」
「実はベルクルの闘技場で闘うユーキさんを中継で見て一目惚れしましてね……みなさんがこの街に来るという情報を入手したので、ユーキさんを誘い出す為に今回のイベントを開催したんですよ」
(マジかっ!)
「何よ! あたしだって初めてユーキと出逢った時に、一目惚れしてるんだからね!!」
「何を張り合っているんだ? パティ君」
「では、ルールを決めたいと思います……四天王達とあなた方がそれぞれ戦って、勝った者は他の戦いに加勢する事を良しとしますが、1度負けた者は回復魔法などで、例え戦える状態になったとしても、他の戦いに参加する事を禁止します……」
「そして見事4つ全ての鍵を奪い取り、ユーキさんを救出できればあなた方の勝ち……その前にあなた方が全滅すれば我々の勝ち……ユーキさんは僕が頂きます」
「ぼ、僕の意志は……?」
「4対4の形式ではあるが、実質生き残り戦という事か」
「そういう事です」
「さて……それではゲーム開始と行きたいんですが、もっと緊張感を出す為に制限時間をもうけたいと思います」
「制限時間ですって?」
「ノーム君!」
「ハイ……デスタイム!」
ノームが魔法を発動させると、ユーキの両手足に着けられた魔道具から、黒いオーラが溢れ出す。
「な! 何だこれ? ……ふあっ」
急に身体中の力が抜けた様に座り込むユーキ。
「ユーキ!!」
「今、死の呪いを発動しました……とは言ってもすぐどうこうなる物では無く、完全に発動するのは約1時間後……それまでに 4つ全ての魔道具を外さなければ、ユーキさんは死にます」
「なん……だって……?」
へたり込みながら、リッチを見上げるユーキ。
「もっとも……それまでにユーキさんが僕のプロポーズを受けてくれれば、すぐにでも外してあげますけどね」
そう言ってニヤリと笑うリッチ。
「何……考えてんだ……あんた」
「いい加減にしなさいよー、あんたー!!」
パティから黒いオーラが溢れ出し、今まさにリッチに飛びかからんとした時、ユーキの後ろに居たロロがリッチの頭部めがけて、突如後ろ回し蹴りを放つ。
「何っ!!」
背後からの突然の攻撃に対処する事が出来ず、直撃を受けて吹っ飛ぶリッチ。
「ぐわあっ!!」
すぐさまユーキを脇に抱えて、凄まじい跳躍力でセラの近くまでひとっ飛びで到達するロロ。
「セラさん! ユーキさんをお願いしますです!」
「こっちへ!!」
ユーキの呪いを解除しようと駆け寄るセラの前に魔方陣が出現して、突如ノームが現れる。
「そうはさせませんよ……あなたは私と来てもらいます」
「なっ?」
そう言ってセラに触れると、一瞬で姿が消えるセラとノームの2人。
「セラ!!」
「セラさんが消えた?」
「転移魔法か?」
「ハッ! ユーキ!!」
ロロにより助け出されたユーキの元に駆け寄るパティ。
「ユーキ! 大丈夫? 苦しくない?」
「パティ……うん、大丈夫ぅ……ちょっと身体に力が入らないだけだからぁ」
「そう……良かった……」
ロロの方を見るパティ。
「もしかして、あなたがロロ?」
「ハ、ハイなのです! 私がただ今ご紹介に預かりました、ロロなのです!」
「誰も紹介してないわよ……それであなたは……味方?」
「私は今回のイベントの為だけに雇われた臨時メイドなのです! でも先程ユーキさんに買われたので、今はユーキさんの奴隷なのです!」
「ユーキ……あなたまた?」
「ま、またってなんだよぉ~……力入んないんだからぁ、ツッコませないでぇぇぇ~」
力無く否定するユーキであった。
エントランスの奥から、リッチが現れる。
「あいつは?」
「奴がオーナーの、ゲルト・リッチだ」
「そう、あいつが誘拐犯の親玉って訳ね」
「お客さんですか……僕に何か御用ですか?」
「とぼけるんじゃないわよ、この誘拐犯が!! 今すぐユーキを返しなさい! そうすれば、半殺しぐらいで勘弁してあげるわ!!」
「誘拐とは人聞きの悪い……彼女は僕の妻とする為に、この屋敷に招待したのです」
「な、ん、で、す、っ、てえー」
今にも怒りが爆発しそうなパティ。
「ロロ君!」
リッチが呼ぶと、奥からロロに後ろ手に掴まれたユーキが現れる。
「ユーキ!!」
「パティ! それにみんなも!」
ウエディングドレス姿のユーキを見たパティ。
「ユーキ……その格好……」
「い、一応言っとくけど、好きでこんな格好してるんじゃないからね!!」
「分かってるわユーキ! こいつらを片付けたら、そのままあたしと結婚式を挙げましょう!!」
「全然分かってなーい!!」
「ああー! パティちゃんずるいー! ユウちゃんと結婚するのはぁ、私なんですからねぇ!」
「いいや、私だ!」
「え? い、いや! 僕とです!」
パティに乗っかるアイバーン達。
「みんなして乗るなー!!」
「いや、俺と結婚しよう!!」
ついでに乗ってくるザウス。
「お前もかよっ!」
「わざわざユーキを連れて来てくれるなんて……これで探す手間が省けたわ」
「おっと! ユーキさんを連れて、旨く逃げようなんて思わない事です……これを見てください」
そう言ってユーキの腕を掴み、手首にある拘束具をパティ達に見せるリッチ。
「この魔道具には魔力を封じる術式が施されていて、これをユーキさんの両手両足の4カ所に着けています。外す為には専用のカギを使わないといけませんが、そのカギは四天王がそれぞれ一つずつ持っています……もうお判りですね?」
「四天王を倒して奪え……という事か……」
「その通り! 僕はゲームが大好きでして、こういう状況になる事を想定して、あらかじめ準備しておいたんですよ」
「揃いも揃ってとぼけていた訳か……ならば我々の事も調査済みなのだろう?」
「フフフ!」
「力ずくで外す、と言う手もあるが?」
「それはおすすめしません……強引に外そうとすると、中に仕込まれた毒針が飛び出す仕組みになっていますので……もしその毒を受けたら、10分と保たずにあの世行きとなるでしょう」
(いいっ! さっき結構強引に外そうとしたけど、大丈夫か?)
リッチの発言を受けて、セラと小声で話すパティ。
「今の話、どう思う? セラ」
「毒針の事ですかぁ? おそらくはハッタリですぅ……でも決定的な証拠が無い限りぃ、うかつな行動は取れないですぅ」
「今はあいつの言うことに従うしかない訳か……」
「実はベルクルの闘技場で闘うユーキさんを中継で見て一目惚れしましてね……みなさんがこの街に来るという情報を入手したので、ユーキさんを誘い出す為に今回のイベントを開催したんですよ」
(マジかっ!)
「何よ! あたしだって初めてユーキと出逢った時に、一目惚れしてるんだからね!!」
「何を張り合っているんだ? パティ君」
「では、ルールを決めたいと思います……四天王達とあなた方がそれぞれ戦って、勝った者は他の戦いに加勢する事を良しとしますが、1度負けた者は回復魔法などで、例え戦える状態になったとしても、他の戦いに参加する事を禁止します……」
「そして見事4つ全ての鍵を奪い取り、ユーキさんを救出できればあなた方の勝ち……その前にあなた方が全滅すれば我々の勝ち……ユーキさんは僕が頂きます」
「ぼ、僕の意志は……?」
「4対4の形式ではあるが、実質生き残り戦という事か」
「そういう事です」
「さて……それではゲーム開始と行きたいんですが、もっと緊張感を出す為に制限時間をもうけたいと思います」
「制限時間ですって?」
「ノーム君!」
「ハイ……デスタイム!」
ノームが魔法を発動させると、ユーキの両手足に着けられた魔道具から、黒いオーラが溢れ出す。
「な! 何だこれ? ……ふあっ」
急に身体中の力が抜けた様に座り込むユーキ。
「ユーキ!!」
「今、死の呪いを発動しました……とは言ってもすぐどうこうなる物では無く、完全に発動するのは約1時間後……それまでに 4つ全ての魔道具を外さなければ、ユーキさんは死にます」
「なん……だって……?」
へたり込みながら、リッチを見上げるユーキ。
「もっとも……それまでにユーキさんが僕のプロポーズを受けてくれれば、すぐにでも外してあげますけどね」
そう言ってニヤリと笑うリッチ。
「何……考えてんだ……あんた」
「いい加減にしなさいよー、あんたー!!」
パティから黒いオーラが溢れ出し、今まさにリッチに飛びかからんとした時、ユーキの後ろに居たロロがリッチの頭部めがけて、突如後ろ回し蹴りを放つ。
「何っ!!」
背後からの突然の攻撃に対処する事が出来ず、直撃を受けて吹っ飛ぶリッチ。
「ぐわあっ!!」
すぐさまユーキを脇に抱えて、凄まじい跳躍力でセラの近くまでひとっ飛びで到達するロロ。
「セラさん! ユーキさんをお願いしますです!」
「こっちへ!!」
ユーキの呪いを解除しようと駆け寄るセラの前に魔方陣が出現して、突如ノームが現れる。
「そうはさせませんよ……あなたは私と来てもらいます」
「なっ?」
そう言ってセラに触れると、一瞬で姿が消えるセラとノームの2人。
「セラ!!」
「セラさんが消えた?」
「転移魔法か?」
「ハッ! ユーキ!!」
ロロにより助け出されたユーキの元に駆け寄るパティ。
「ユーキ! 大丈夫? 苦しくない?」
「パティ……うん、大丈夫ぅ……ちょっと身体に力が入らないだけだからぁ」
「そう……良かった……」
ロロの方を見るパティ。
「もしかして、あなたがロロ?」
「ハ、ハイなのです! 私がただ今ご紹介に預かりました、ロロなのです!」
「誰も紹介してないわよ……それであなたは……味方?」
「私は今回のイベントの為だけに雇われた臨時メイドなのです! でも先程ユーキさんに買われたので、今はユーキさんの奴隷なのです!」
「ユーキ……あなたまた?」
「ま、またってなんだよぉ~……力入んないんだからぁ、ツッコませないでぇぇぇ~」
力無く否定するユーキであった。
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