ひめてん~姫と天使と悪魔と猫~

こーちゃ

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第三章 愛と勇気の大冒険

第29話 イタズラっ娘、世にはばかる

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「行くわよ!! 姉様!!」

 リンドブルムに向かって走って行くネム。

「え!? 質問の答え……んもうっ!」

 ネムを追うように走って行くユーキ。


「姉様!! ネムが突っ込むから、援護お願い!!」
「え!? 突っ込むってそのまま!?」

 ユーキが聞き返した時、すでにネムは攻撃を仕掛けるべく、10メートル程の大ジャンプをしていた。

「んもうっ! 人の話聞かない娘だなぁ!」

 ロッドを数回回してから、魔法を放つユーキ。

「バーニングファイアー!!」
 
 巨大な炎の塊がリンドブルムに直撃した直後、ネムのかかと落としが頭部に炸裂し、強烈に床に叩きつけられるリンドブルム。

「グフゥゥゥ!!」
「す、凄い威力……」

 ネムの攻撃に驚くユーキ。

「えと……何の質問だっけ? 姉様!?」
「え? あ、えと……なんだっけ!? あ、そうだ! ロロ! ロロって何者!!」


 ネムが質問に答える前に、リンドブルムがネムに向かってブレスを放つ。

「グオオオ!!」
「ネム!!」

 素早い動きでブレスをかわし、リンドブルムに接近して行くネム。

「ムチャするなぁ……マーキュリー!!」

 リンドブルムの頭上から水の塊を落とすとブレスが止まり、その隙にネムがリンドブルムの下に潜り込む。

「姉様、ありがと!!」

 飛び上がり、リンドブルムの下顎にアッパーカットを打ち込むネム。

「ガアアアア!!」

 リンドブルムの頭部が跳ね上がった隙に距離を取り、横っ飛びして胴体部分に蹴りを放つネム。

「やああああ!!」
「グフゥゥ!!」

 再び前のめりに倒れ込むリンドブルム。


「あっ! 質問なんだっけ!?」
「ロロの事!!」


 ネムの戦いぶりを見て、驚いているパティ達。

「凄いわね、あの娘……魔装状態とはいえ、素手の格闘であの破壊力」
「ふむ……しかも、未だ魔法を使っていない……まあ、あれがネム君の戦闘スタイルなのかもしれないが」




「察しの通り、ロロは召喚獣だよ!」
「人型の召喚獣なんてあるんだ? って、キスパーもそうか!?」

「キスパーとロロはちょっと違うわ! もっとも、ロロはネムが召喚したんじゃないけどね」
「え? じゃあ誰が?」


 2人がやり取りをしているとリンドブルムが起き上がり、何故か天井に向けてブレスを放つ。

「ブオオオオ!!」
「あいつ、何を!?」

 崩れた天井の破片が大量に落下してくる。

「あ、危っ! 危なっ!」

 必死に破片を避けるユーキ。

「マジックシールド!!」

 魔法による防御壁を張るセラ。

「ありがとうセラ!」
「ありがとうございます、セラさん!」
「ドンと来いですぅ」


 天井に、空が見渡せるぐらいの大穴を開けると、翼を広げるリンドブルム。

「まさか! 逃げる!?」

 翼を羽ばたかせ、大穴から上空へ飛び立つリンドブルム。


「ホントに逃げた?」
「いけない!」
「ネム?」
「リンドブルムは、空の戦いでこそ真価を発揮するの……並みの飛行魔法では太刀打ちできないわ!」
「え!? じゃあどうすれば……」


「姉様! ネムの魔装、コピー出来てる?」
「え? 何でその事知って……あ、そうか! キスパーの時にずっと見てたんだっけか!?」

「そうよ! だから魔装をコピー出来る事も、ヤマト兄様に変身出来る事も、姉様が元おっさんだっていう……笑えないギャグを言う事も、全部知ってるわ!」
「ギャグちゃうわ!!」


「で、どうなの?」
「あ、うん……ちょっと待って、見てみるから」

 ユーキがロッドのリボルバーを確認すると、中から銀色のカートリッジが出て来る。

「銀色だけど、セットした覚えは無いからこれだと思う」
「じゃあ今すぐ変身して!」

「う、うん……魔装!!」

 理由は分からないが、とりあえずネムの言う通りに召喚士に変身するユーキ。
 だが、魔装具がロッドから魔道書に変わったぐらいで、見た目には大して変化は無かった。


「見た目はあんま変わんないんだなぁ!? それでどうするの? あ! リンドブルムに対抗できる魔獣を召喚する、とか?」

「ウフフ、姉様! ちょっと耳貸して!」
「ん? 何?」


 ユーキの耳元に顔を近付けたネムだったが、いきなりユーキの耳にフッと息を吹きかける。

「ヒャアッ!!」

 驚いて、顔を赤くしながら耳を押さえるユーキ。

「なっ! なっ! なっ! 何すんだよー!!」
「ウフ、ごめんなさい! 姉様のかわいい耳を見てたらつい……」
「ついじゃないよ!! それに、聞かれてマズイ事でもないんでしょ!? 何で耳打ちする必要があるのさ!?」

「だっていきなり見せた方が、みんな驚くじゃない?」
「む……? ま、まあ一理あるな」

 アッサリ納得するユーキ。

「じゃあもう一度耳貸して!」
「うん……」

 再びユーキの耳元に顔を近付けたネムが、今度はユーキの耳をペロッと舐める。

「ヒイッ!!」

 また顔を赤くして耳を押さえるユーキ。

「舐めたー!? 今、舐めたー!?」
「アハッ! 美味しそうだったからつい」
「もうヤダッ!! このままで聞く!!」
「あんっ! ごめんなさい姉様ぁ!! もう絶対やりませんからぁ!!」

 ジトーっと疑わしい目でネムを睨むユーキ。

「こういう時はパターン的に、絶対またやるんだ! 分かってんだから!」
「そんな定番のパターンやらないわよー! ね! 今度こそは真面目にやるから! お願い姉様!!」

 祈る様に手を合わせて懇願するネム。

「もう次で最後だからね……次またやったら殴るよ!」
「ハーイ!!」


 三度ユーキの耳元に顔を近付けるネム。
 少し耐えていたが、ガマン出来ずにパクっとユーキの耳に噛み付くネム。

「キャアッ!!」

 ポカッ!!

「痛あーい!! 姉様が殴ったー!!」
 涙目で頭を押さえるネム。

「次やったら殴るって言ったよね!!」
「だってどうしてもガマン出来なくって……あ、でも姉様、キャアッ! とか言っちゃってかわいい!!」

 ポカッ!!

「2度もぶったぁ!! ロロにもぶたれた事無いのにー!!」
「ア○ロレイかっ!!」



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