ひめてん~姫と天使と悪魔と猫~

こーちゃ

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第四章 某国の姫君

第27話 お天道様は見ているぞ!

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 マルス国王とレナ王妃がもめてる間に、そっと出て行こうとするユーキ。

「どこへ行くつもりだ? マナ!」

 レノの言葉にビクッとなるユーキ。

「あ、いや……パティを助けに行こうかと……」
「今の説明を聞いていなかったのか!? 敵の狙いはマナなんだぞ!!」
「分かってるよ! 分かってるけど、だからってパティを見捨てる事なんて出来ないよ!!」
「誰が見捨てると言った!?」
「え!?」
「パティちゃんの援軍には私達が行く!」

 そう言って準備運動を始めるマルス国王とレナ王妃。

「ええ!? 2人が行くの? だ、大丈夫……なの?」
「私達2人がかりでなら、かつてのマナとも何とか互角の戦いが出来たのだ! 私達が行ってどうにもならなかったなら、マナが行ってもどうにもならん!!」

「いや、でも! それなら尚更僕も行った方が!!」
「君はダメだ!!」
「むうっ!! 今度は誰!?」

 少しムッとしながら、声のした方を見るユーキ。

「久しぶり……と言う程でも無いが、元気だったかね? ユーキ君!」
「アイ君!!」
「ふむ……こちらの話もまとまったのでね、再び戻って来たよ」
「じゃあ例の話は上手く行ったんですかぁ?」
「ああ勿論!」

 マルス国王と正対して、スッと一礼をするアイバーン。

「マルス王! 我がロイ国王より全て承知した、と……」
「そうか!! ならば残った問題はカオスだけだな!!」
「それが一番の問題ですけどね~」

「カオス!? マルス王! まさかカオスが来ているのですか?」
「そうだ! 今パティちゃんが1人で応戦しているらしい」
「パティ君が!? 分かりました! では私も救援に向かいます!」

「アイ君が行ってくれるの!? 良かった! それなら安心だね!」
「ええ~!? マナちゃんってば私達が行くって言ったら不安そうだったくせに~! 酷くな~い!?」

 スネたような言い方でユーキに文句を言うマルス国王。

「オネエかっ!! しょうがないだろ~!? 僕はアイ君の強さは知ってるけど、2人の強さは知らないんだから! いや、知ってたんだろうけど……」
「ならば! 私達の強さ、改めてマナに見せつけてやろうぞ! 行くぞ!! レナ!!」
「ハイ! あなた!」

 マントをひるがえし、勢いよく飛び立って行くマルス国王とレナ王妃。

「あ! 2人共気を付けてねー!!」

「では私も行くとしよう……すでにメルクが向かっている筈だからね!」
「メル君も!? そっか……なら何とかなる、かな!?」
「セラ君! それと……ウノ、だったかな!?」
「レノだ!! 人をカードゲームみたいに言うな!!」

「2人共、ユーキ君の事、よろしく頼む!」
「ハァイ! 頼まれましたぁ!」
「フンッ! お前に言われずとも、俺が必ず守り抜いてみせる! それと、ユーキじゃなくてマナだがな!!」
「すまなかったね……私達にとってはユーキ君はユーキ君なものでね」

「チッ! そういえば、お前とはどちらが真の変態かハッキリさせないといけないからな! だからそれまで……死ぬなよ……」
「勿論だ! 帰って来たら白黒付けてやろう!」
「そんな称号、競って欲しがんなよ……」
「では、行ってくる!!」
「アイ君、気を付けて! パティの事、お願いね!!」
「ああ、任せたまえ!!」

 出撃して行くアイバーンを見送るユーキ達。

「結局、僕はまた留守番かぁ……」
「そもそも王族というのは、そういうものですよぉ」
「うむ、セラの言う通りだ! しかし、こうやって城の中でただみなの無事を祈るだけというのは、中々辛いものだがな……」
「……そだね……」




 そして、カオスと激闘を繰り広げているパティ。
 だがカオスは、魔装どころか魔装具の具現化すらしていない。

「ホーミングアローズ!!」

 9本のアローズを出現させるパティ。
 アローズを従えたままカオスの周りを飛行して、攻撃魔法を放つパティ。

「ウインドソード!!」

 風の剣をカオスに向けて飛ばすが、それを難なく素手で弾き飛ばすカオス。

「この程度じゃ効かねえよ!」
「エアバインド!! マーキュリー!!」

 風のロープでカオスを絡め取ってから、巨大な水の塊を落とすパティ。

「こんなもんで俺を縛れるかよ!」

 エアバインドを力尽くで引きちぎり、落ちて来た水の塊にパンチを繰り出し四散させるカオス。

「それで!? いつになったらその矢を撃つんだ?」

 大きく旋回してからカオスに向かって飛行するパティ。

「やっと撃つ気になったか?」
「フラッシュボム!! アローズ! ひとつ!!」

 カオスの寸前で止まり、目くらましを放ってからアローズを放つパティ。

「並の闇属性の奴になら有効かもしれないが、俺に目くらましなんか効かねえよ! そしてこの矢もなっ!」

 アローズを素手で掴んで止めるカオス。

「ふたつ!!」

 2本目の矢が、カオスの掴んだアローズに寸分違わず当たり、カオスの掴んだ手の平を傷付ける。

「何っ!?」
「みっつ!!」

 更に3本目の矢が2本目の矢に当たり、その勢いでカオスに迫るアローズ。

「くっ!」

 体に当たる寸前で掴んだ矢を投げ捨て、何とか回避するカオス。

「ふ~ん、なるほどな! 前を飛行する矢と全く同じ場所に当てる事によって、貫通力を上げている訳か!? 面白えじゃねーか! だが、それなら何故3本しか撃って来ねえんだ? まだ何かある、という事か!?」

「アクセル!!」

 再び距離を取り、旋回しつつ加速するパティ。

「さあ来な! 言っとくが、無駄な小細工なんかすんじゃねぇぞ! 真正面から受けてやるから、そのまま撃って来な!!」

(何なのあいつ!? 罠? それとも、ただ戦いを楽しんでるって奴?)

 一瞬考えたパティだったが。

「なら逃げずに受けてみなさい! 言っとくけど、もし避けたらパラスの国王はヘタレだって全世界に言いふらしてやるんだからね!!」

 一応念の為に挑発しておくパティ。

「逃げねえって言ってんだろ!? ゴチャゴチャ言ってねぇで、早く撃って来な!」

「もう、ある事無い事ネットに書き込みまくって、社会的に抹殺してやるんだからね!!」

「だから逃げねえって……意外に用心深い、と言うより陰湿だなオイ……」


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