ひめてん~姫と天使と悪魔と猫~

こーちゃ

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第五章 五国統一

第9話 歩の裏は、とではなく金

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 予選のグループも決まり、いよいよ五国統一大武闘大会が開催される。
 会場である闘技場の周りは、凄まじい数の人で溢れ返っていた。

「ふわああ!! 凄い人!!」
「さすがにこれ程の一大イベントともなると凄いわね!」
「お店の数も凄いですぅ!」
「何でも好きな物買ってあげるよ!? ユーキ姉様!」
「ロロも奢るのです! 太っ腹ロロなのです!」
「大金が入って来るからって、態度変わりすぎ!!」
「いきなり大金を持つと、人ってこうなるのね……」

「何か買い食いしたい所だけど、僕はこれから試合だからなぁ」
「今日試合があるのはユーキさんだけなんですね?」
「そうだけど……でも、1日2試合だけだとすぐ終わっちゃうんじゃないの? 見に来た人は物足りないんじゃ?」

「それは心配ない!」
「アイ君?」
「メインの武闘大会以外にも、観客を飽きさせないように様々な試合やアトラクションが用意されているのだ!」
「そりゃそっか! じゃないと、決勝戦なんてシングルマッチ1試合しか無いもんね」
「そういう事だ」


 ユーキがふと周りを見ると、セラの姿が見当たらない事に気付く。

「あれ? そういえば、セラが居ないんだけど?」
「まあ、あの娘の事だからどうせ屋台を片っ端から食べ歩いてるんじゃないの?」
「ハハッ! 値引き交渉とかしてそうですね!?」

 その通りだった。

「おじさん! 5人前買うって言ってるんだからぁ、少しは割引してくださいよぉ!」
「悪いけど、こっちも商売だからね」
「ぶう~! そんな事言うならぁ、ネットでこの店の悪口書き込みまくってやりますぅ!」
「ちょっとちょっと~! 勘弁してよ~、お嬢ちゃん」
「やめないかセラ!! 王族ともあろうものがみっともない!」

 駄々をこねるセラを、後ろから羽交い締めにするレノ。

「レノが兄という事以上にみっともない事なんて無いですぅ!」
「なにおぅ!!」


 BL隊の面々が出店を見て回っていると、1人の男性がユーキに気付いて近付いて来る。

「あ、あのー!?」
「ハイ?」
「ユーキさん、ですよね?」
「えと……うん……」
「ファンなんです!! サインもらえませんか!?」
「ファンって……別に僕、アイドルじゃないんだけどなぁ……」

 戸惑いながらも、渡された色紙に一応サインを書くユーキだった。

「ありがとうございます!! 応援してます!! 試合、頑張ってください!!」
「やっ! そんな大きな声で言わないで……」

 案の定、それをキッカケに周りの人々に気付かれ始めるユーキ。

「え!? 何? 有名人でも居るの?」
「おい!! あれってユーキちゃんじゃないか!?」
「ああ! ホントだ!! 握手してもらおう!!」
「いや~ん! かわいい~!!」
「サインしてもらお~!」

 たちまち大勢の人に囲まれるユーキ。

「またこのパターン!? 誰か助けて~!」
「この前の中継で、より有名になっちゃったわね!?」
「しかし、あまり手間取っていると試合に影響してしまうぞ?」
「ならばぁ、レノが何とかしてくださいぃ」
「む!? よし、分かった! 何とかしてやろう!」
「アイバーン様!」
「任せろ! メルク!」


 ユーキを囲んでいた人だかりが、何故かいきなり蜘蛛の子を散らすように離れて行く。

「キャー!! 何? この人達!?」
「こ、こいつらやべぇ!!」
「逃げろー!! 変態だー!!」

「あれ? 急に人が居なくなった……うぐっ!!」

 人々が居なくなったそこには、パンツ1枚となってポーズを決めているアイバーンとレノの姿があった。

「な、何でまた脱いでんだよ!? てか、何でレノまで一緒に脱いでんのさ!? しかもそれって海パンじゃなくて、完全にパンツだよね!?」
「この2人に頼った私達がバカでしたぁ」
「アイバーン様……とうとう一線を超えてしまいましたね……」


 そんな様子を、遠くから見ていた猫師匠とフィー。

「ユーキの人気ぶりにも火が付いて来たニャ! そしてあの2人の変態っぷりにも拍車がかかってきたニャ」
「そしてシャル様の嫌われっぷりにも拍車がかかって来ましたね」
「フィー!? 誰が嫌われ者ニャ!?」
「いいえ、機雷を除去しないとって言ったんです」
「掃海艇!?」

「彼女達に会いに行かなくていいんですか?」
「い、今ユーキとパティに会ったら確実にぶっ飛ばされるからやめとくニャ」
「ぶっ飛ばされればいいのに……」
「フィー!? ぶっ飛ばされればいいって言ったのかニャ!?」
「いいえ、仏陀の教えを広めないとって言ったんです」
「お釈迦様!?」

 
 方法はどうあれ、アイバーンとレノの2人によりスムーズに闘技場の中に入る事が出来たユーキ達。

「それじゃあ僕、行ってくるよ!」
「お気を付けて、ユーキさん!」
「うん! ありがと!」

「頑張れマナ!」
「頑張る!」

「1人で辿り着けるかね? ユーキ君!」
「もう! 子供じゃないんだから! いや、充分子供か……」

「ユーキ!? どこの馬の骨とも分からない奴に負けたら、承知しないからね!」
「骨には負けないよ!」

「同じ骨なら豚骨の方が美味しそうですぅ」
「いや、何の話だよ!」

「豚骨……ラーメン屋とか作れば儲かるかな?」
「もう経営の事考えてる!?」

「全国にチェーン展開すれば、ぼろ儲けなのです!」
「2人共、純粋だったあの頃に戻って~!!」


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