ひめてん~姫と天使と悪魔と猫~

こーちゃ

文字の大きさ
244 / 298
終章 いつも楽しく面白く

第37話 進撃のパティ

しおりを挟む
「ヒ、ヒーラーのセラ姉様に似た魔獣を召喚したからって、セラ姉様と同じ魔法が使えるとは限らないのよ! レイス! 行くのよ!」

 パルの命を受け、空間に溶け込んで見えなくなるレイス。

「空間に潜った!」
「あの召喚獣セラちゃんが私と同じ魔法を使えるならば問題ありませんがぁ、はたしてどうでしょうかねぇ?」

「セラ姉様!」
「お任せぇ!」

 ネムの声に反応する召喚獣セラ。

「喋った!? ネムちゃんは自我を持った召喚獣は作れなかったんじゃ!?」
「口パクにそれっぽくアフレコしてるだけでしょ!?」

 召喚獣セラが、自分達3人を囲むように地面に羽を撃ち込み大きな魔方陣を描く。

「サンクチュアリ!!」

 その魔方陣の中心で、数本の羽を指に挟み構える召喚獣セラ。
 魔方陣の状態をセラに確認するパティ。

「セラ! あの娘結界を張ったみたいだけど、どうなのよ!?」
「見た感じではちゃんと聖域が発動してますねぇ。後はレイスに効果のある攻撃が出来るかどうかですぅ」

「でも、それでもしあの召喚獣セラさんが本物のセラさんと同等の魔法が使えたなら、ますますネムちゃんは万能になりますね」
「まったくぅ、商売上がったりですぅ」

 リアルセラが不貞腐れていると、召喚獣セラが張った結界の端が僅かに揺らいだ。

「そこですぅ!!」

 召喚獣セラが手に持った羽をその場所に投げると、羽は何かに刺さったように空間に停止する。

「ピュリフィケイション!!」
「グギャアアア!!」

 召喚獣セラが魔法を発動させると羽が浮いた空間にレイスが現れ、そして断末魔の声をあげながら徐々に消滅して行く。
 更にパル側の残ったサイクロプスの周りに羽を撃ち込み魔方陣を描く召喚獣セラ。

「マジックイレーズ!!」
「グオオオオ!!」

 魔法無効化の結界にかかったサイクロプスが消滅して、紅い魔石が残される。

 パル&チルの召喚獣、残り3体。
 ネム&ロロの召喚獣、残り4体。

「やった! レイスを倒しましたよ!? しかも一気にサイクロプスまで!」
「浄化魔法に続いて魔法無効化の結界まで使えますかぁ。これはもう本物ですねぇ」

「あの様子だとセラ、あんたの魔法は全部使えるんじゃないの? そうなるとあんたもう、要らないんじゃない?」
「ぶう~! パティちゃんのいけずぅ! この根性湾曲水飴女ぁ!」
「その言い回し、懐かしいわね!」

 しかし、レイスとサイクロプスを連続撃破した召喚獣セラだったが。

「ふう~、お腹が空いたから帰りますぅ」

 そう言い残し、そのままスゥッと消滅してしまう。

 パル&チルの召喚獣、残り3体。
 ネム&ロロの召喚獣、同じく残り3体。

「え!? 召喚獣のセラさん、消えちゃいましたよ!?」
「当然ニャ。あれ程強い能力を持った召喚獣を、何のリスクも無しに出し続けられる訳無いニャ。おそらくは、召喚出来る時間が極端に短いニャ」
「そう、でしたね。強力な力には必ずリスクが伴う、でしたね」

「じゃないと、全くリスクも弱点も無い能力なんて、面白くもなんとも無いニャ!」
「いや、面白いとか言う問題では……」

 猫師匠が解説している頃、次の手を考えているパルとチル。

「サ、サイクロプスはおろか、レイスまであっさり倒されたのよ!」
「まだ奥の手はあるの~」

「そ、そうだったのよ。じゃあ奥の手第2弾行くのよ!」
「了解なの~! 奥の手第2弾、アトラス召喚なの~!」

 地に置いた蒼天石を中心に魔方陣が現れ、そこから身長約10メートルはあろうかという巨人が現れる。

「巨人!?」
「10メートル級ニャ!!」
「進◯の巨人かっ!!」

「さあ! ネム姉様! 今度こそ降参するのよ! アトラスの一撃を食らえばただでは済まないのよ!」
「大丈夫だもん。こっちだって奥の手第2弾出すもん」

 負けじと蒼天石を地面に置き、魔方陣を描くネム。

「ネムちゃん、今度はどんな召喚獣を出すんでしょうか? 相手が巨人だから同じ巨人で対抗するとか?」
「セラを出せたんだから、あたしの召喚獣を出せばいいのよ。そうすれば、あんな図体だけの奴瞬殺よ」

「召喚獣、パティ姉様!!」

「へえ、やっぱりあたしの召喚獣もあるのね? ネムの奴分かってるじゃないの。あたしを模した召喚獣なら、さぞかし強くて美しいんでしょうね!」

 そして光を放つ魔方陣から、徐々にその姿を現わす召喚獣パティ。

「あ、あれはパティ君、なのか?」
「パティの特徴を見事に捉えてるニャ」
「パティちゃんそっくりですぅ」
「ネムちゃん、何て恐れを知らない娘なんでしょう」
「な、な、な、な、な……」

 ネムに召喚されたその魔獣は、まるで悪役女子プロレスラーのような格好をした、しかもパル達が召喚した巨人と変わらない程巨大なパティであった。

「奇行種ニャ!!」
「誰が奇行種よっ!! あれのどこがあたしなのよおお!! ネム!! ちょっとこっち来なさい!!」

 怒り狂うパティを見ないようにしているネム。

「パティさんが物凄くお怒りになってるのです」
「見ちゃダメ! 目を合わせたら殺されるわ。この戦いが終わったら速攻で逃げるから」
「怒られるのが怖いならイジらなければいいのです」




しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

【完結】魔法大戦 〜失われた古代魔法で無双する!〜

加瀬 一葉
ファンタジー
 王立魔法学校。高等部に編入してきた冴えない生徒ラフィト。エリートが集うこの学校で、辺境出身のラフィトは落ちこぼれの劣等生なのだが……。  実は彼は、失われたはずの古代魔法を操る一族の末裔。魔族の脅威が増す時代に、ラフィトは人類を救うことができるのか?  過去と現在が交錯する、魔法ファンタジー。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

処理中です...