1 / 3
オープニング
しおりを挟む
神による手違い的なアレによってチート能力を貰って異世界に行くことになった。
簡単に語ってはいるが、憤慨したり喚いたり泣いたりした上の話になる。
見苦しいのであんまり見せたく無い。
別に泣きわめく姿を語るのはいいが冴えない中年男の騒ぐ姿ほど軽蔑されるものもない。
一周回ってコメディだろうか。
それはともかく、どうやら神は例によって中世が好きなようで俺は中世に飛ばされることになった。具体的には百年戦争あたりがmy bestと神は言っていた。
畜生と無能の戦いなんて嫌気がさすのが普通だが、そいつを気にいるなんて神ってやつは性格が歪んでいるらしい。
で、もらった能力っていうのも、そんな性格から来ているのか知らないけれど。
仲間を増やす能力
1ヶ月に1回使用できる能力で、使われたらどれだけ嫌いな奴だろうが最高の友人になれるって話だ。
どっかの猫と鼠はもちろん、犬と猿だって仲良くできる。
犬猿の仲ってアイデンティティの崩壊だ。
能力を行使された側が一方的に行使した側にぞっこんなだけであって俺には実害はない。
都合の良い能力だが、都合のいい友人なんてどちらかの媚びによって作られるものだ。
催眠にかかっている方が幸せだろう。
果たして友人の定義を明確にできる奴はいるんだろうか、手元に辞書はないからなんとも言えないが親しい仲の人とかそんな感じに書いてあるんだろう。
親しいってなんだろうね。
でも神曰く、友人の頼みってなんでも聞けるよねって言っていた。
聞かないからこその友情だってあるんだろうが、そんな王道は求めていないらしい。
神だから許されるけど一個下の階級の天使なら即堕天である。
神なら横暴でもイメージの齟齬はない。
そもそも神が王道好きなら俺のステータスに勇者が入っていたはずだぜ?
正義感に満ちた少年ってプロフィール欄に書かれている事間違いなしだ。
死んだら王が復活させてくれる。
##
物語の多くは目がさめるところから始まるものだ。
なので、清々しい朝を迎えるために瞼を上げる。
目が開いたら何をするのかって?
みんな大好き背景描写さ
またの名を状況確認。
俺は柔らかな白いベッドの上にいる、気温は暑くも無いし寒くも無い、ベッドの横、俺から見て右側には木の窓があり、そこから入る光から察するに早朝だという事が分かる。
ベッドの左にはこれまた木材でできた丸いテーブルがあり上には水差しが置かれている。
さらに左奥には(当然のごとく木製の)机があり厚い書物が数冊、手触りが気持ちよさそうな羽ペンがインクとともに置かれている。
さらに俺から見て左斜め前には重厚な扉があり、自分がブルジョア側の人間であると感じられる。
目の前には十分なスペースがありその先にはクローゼットがある。
床は赤い質素かつ高級感あふれるカーペットが敷き詰められている。
ここから察するに俺は貴族である。
政争に巻き込まれなければ一般人より幾分か都合が良いだろう、もし俺が元々貴族ならそう言えただろうな。
つまるところ俺が貴族であると仮定した場合、全くなんの知識のない状態で放り出されているのだ。
自分の身分すら知らない、そもそも行き倒れのプロレタリアートかもしれないのだ。
と思ったが貴族である証拠を見つけた。
机の上には鏡があって、澄ました若者の顔が写って自我の崩壊を耐えることになったのだが、別にそこまでのダメージはなかった。
胡蝶の夢など我を思っていれば大丈夫。
まあなんだ?
実は描写していなかった部分がある。
申し訳ないとは思ってる。
無意識下における防衛意識がね?邪魔をしたようだ。
けれど防衛意識は降伏したようで。
俺はベッドから右斜め前にかけられた絵を見た。
ちょうど部屋に入ると真っ先に見える場所だ。
油絵っていうだろうか?
独特の色使いで描かれた素人目に見ても見事な絵は、鏡に映った自分によく似ていた。
その瞬間、頭の中に20年分の記憶が入ってきた。
誰の記憶かは言うまでもない。
耐え難い頭痛に這いつくばった。
頭を抱えた。
呻き声を上げた。
頭がオーバーヒートしそうになり、そこらかしこで細胞が悲鳴をあげ。
知識と頭痛で意識が遠のき、世界は黒に染まった。
要約するなら、見事な絵画に惚れ惚れして失神した訳だ。
いや、お恥ずかしい。
しかし真に芸術を理解した瞬間だと俺は思うね。
本物ってやつはこうまで人を痺れさせるらしい、強烈なスタンガンを食らった気分だ。
まあでもスタンガンでよかったよ、本当なら電気椅子に座らされる痛みを感じるところだった。
頭に乗っけるスポンジは乾いてるぜ。
でもそうならなかったのは親友、君のおかげさ。
次からはもっと少しづつ情報を送ってくれよな。
あんまり痛い思いをさせないでくれ。
親愛なるハインリヒ侯爵くん。
以下注釈的なの
●死んだら王が復活させてくれる
死んでしまうとは情けない。
●頭に乗っけるスポンジ
濡らしたスポンジを頭に乗っけて電流を流すと楽に死ねる。
電気椅子処刑の初期はそんなのなかったので楽に死ねなかった。
●ハインリヒ
ヨーロッパの性だが本編はあくまで異世界、深読みはしないように。
●侯爵
貴族の階級で公爵に次ぐ位、多くの場合、国でも有数の権力を持っている。
ここの方々にとっては常識かも知れない。
以下後書き的なの
感想罵倒よろしければ、お願いします。
つまらんとかでも歓迎ですが、どこがつまらなかったのか書いていただけると助かります。
誤字脱字も指摘していただけると非常に嬉しいです。
簡単に語ってはいるが、憤慨したり喚いたり泣いたりした上の話になる。
見苦しいのであんまり見せたく無い。
別に泣きわめく姿を語るのはいいが冴えない中年男の騒ぐ姿ほど軽蔑されるものもない。
一周回ってコメディだろうか。
それはともかく、どうやら神は例によって中世が好きなようで俺は中世に飛ばされることになった。具体的には百年戦争あたりがmy bestと神は言っていた。
畜生と無能の戦いなんて嫌気がさすのが普通だが、そいつを気にいるなんて神ってやつは性格が歪んでいるらしい。
で、もらった能力っていうのも、そんな性格から来ているのか知らないけれど。
仲間を増やす能力
1ヶ月に1回使用できる能力で、使われたらどれだけ嫌いな奴だろうが最高の友人になれるって話だ。
どっかの猫と鼠はもちろん、犬と猿だって仲良くできる。
犬猿の仲ってアイデンティティの崩壊だ。
能力を行使された側が一方的に行使した側にぞっこんなだけであって俺には実害はない。
都合の良い能力だが、都合のいい友人なんてどちらかの媚びによって作られるものだ。
催眠にかかっている方が幸せだろう。
果たして友人の定義を明確にできる奴はいるんだろうか、手元に辞書はないからなんとも言えないが親しい仲の人とかそんな感じに書いてあるんだろう。
親しいってなんだろうね。
でも神曰く、友人の頼みってなんでも聞けるよねって言っていた。
聞かないからこその友情だってあるんだろうが、そんな王道は求めていないらしい。
神だから許されるけど一個下の階級の天使なら即堕天である。
神なら横暴でもイメージの齟齬はない。
そもそも神が王道好きなら俺のステータスに勇者が入っていたはずだぜ?
正義感に満ちた少年ってプロフィール欄に書かれている事間違いなしだ。
死んだら王が復活させてくれる。
##
物語の多くは目がさめるところから始まるものだ。
なので、清々しい朝を迎えるために瞼を上げる。
目が開いたら何をするのかって?
みんな大好き背景描写さ
またの名を状況確認。
俺は柔らかな白いベッドの上にいる、気温は暑くも無いし寒くも無い、ベッドの横、俺から見て右側には木の窓があり、そこから入る光から察するに早朝だという事が分かる。
ベッドの左にはこれまた木材でできた丸いテーブルがあり上には水差しが置かれている。
さらに左奥には(当然のごとく木製の)机があり厚い書物が数冊、手触りが気持ちよさそうな羽ペンがインクとともに置かれている。
さらに俺から見て左斜め前には重厚な扉があり、自分がブルジョア側の人間であると感じられる。
目の前には十分なスペースがありその先にはクローゼットがある。
床は赤い質素かつ高級感あふれるカーペットが敷き詰められている。
ここから察するに俺は貴族である。
政争に巻き込まれなければ一般人より幾分か都合が良いだろう、もし俺が元々貴族ならそう言えただろうな。
つまるところ俺が貴族であると仮定した場合、全くなんの知識のない状態で放り出されているのだ。
自分の身分すら知らない、そもそも行き倒れのプロレタリアートかもしれないのだ。
と思ったが貴族である証拠を見つけた。
机の上には鏡があって、澄ました若者の顔が写って自我の崩壊を耐えることになったのだが、別にそこまでのダメージはなかった。
胡蝶の夢など我を思っていれば大丈夫。
まあなんだ?
実は描写していなかった部分がある。
申し訳ないとは思ってる。
無意識下における防衛意識がね?邪魔をしたようだ。
けれど防衛意識は降伏したようで。
俺はベッドから右斜め前にかけられた絵を見た。
ちょうど部屋に入ると真っ先に見える場所だ。
油絵っていうだろうか?
独特の色使いで描かれた素人目に見ても見事な絵は、鏡に映った自分によく似ていた。
その瞬間、頭の中に20年分の記憶が入ってきた。
誰の記憶かは言うまでもない。
耐え難い頭痛に這いつくばった。
頭を抱えた。
呻き声を上げた。
頭がオーバーヒートしそうになり、そこらかしこで細胞が悲鳴をあげ。
知識と頭痛で意識が遠のき、世界は黒に染まった。
要約するなら、見事な絵画に惚れ惚れして失神した訳だ。
いや、お恥ずかしい。
しかし真に芸術を理解した瞬間だと俺は思うね。
本物ってやつはこうまで人を痺れさせるらしい、強烈なスタンガンを食らった気分だ。
まあでもスタンガンでよかったよ、本当なら電気椅子に座らされる痛みを感じるところだった。
頭に乗っけるスポンジは乾いてるぜ。
でもそうならなかったのは親友、君のおかげさ。
次からはもっと少しづつ情報を送ってくれよな。
あんまり痛い思いをさせないでくれ。
親愛なるハインリヒ侯爵くん。
以下注釈的なの
●死んだら王が復活させてくれる
死んでしまうとは情けない。
●頭に乗っけるスポンジ
濡らしたスポンジを頭に乗っけて電流を流すと楽に死ねる。
電気椅子処刑の初期はそんなのなかったので楽に死ねなかった。
●ハインリヒ
ヨーロッパの性だが本編はあくまで異世界、深読みはしないように。
●侯爵
貴族の階級で公爵に次ぐ位、多くの場合、国でも有数の権力を持っている。
ここの方々にとっては常識かも知れない。
以下後書き的なの
感想罵倒よろしければ、お願いします。
つまらんとかでも歓迎ですが、どこがつまらなかったのか書いていただけると助かります。
誤字脱字も指摘していただけると非常に嬉しいです。
0
あなたにおすすめの小説
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
『伯爵令嬢 爆死する』
三木谷夜宵
ファンタジー
王立学園の中庭で、ひとりの伯爵令嬢が死んだ。彼女は婚約者である侯爵令息から婚約解消を求められた。しかし、令嬢はそれに反発した。そんな彼女を、令息は魔術で爆死させてしまったのである。
その後、大陸一のゴシップ誌が伯爵令嬢が日頃から受けていた仕打ちを暴露するのであった。
カクヨムでも公開しています。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる